第0話『まったく、VTuberは最高だぜ!』
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
『理想の箱を作ろう!』レビュー
評価★★★★☆
通称”はこつく”。2018年3月を舞台としたVTuber育成シミュレーションゲーム。
プレイヤーはプロデューサーとなって好きなVTuberをスカウトし、次々と起こるトラブルを解決していくことが主な遊びかた。
ゲームとしての出来は非常によいが、マニアックな要素が多いのが玉に瑕で――。
――はぁ~~~~っ! まったく、VTuberは最高だぜ!
「~~♪ ~~~~♪」
俺は無意識に鼻歌がこぼれていたことに気づき、あたりを見渡した。
駅のホームは人に溢れていた。ここ最近、終電帰りばかりで人が少なかったから気が緩んでいた。ただでさえひとりごとが多いと言われがちなのだ。気をつけないと。
にしても、今日は19時に仕事あがれてほんとよかった。これなら推しの3Dお披露目配信に間に合う。発表から1週間、必死に仕事をがんばったかいがあったというものだ!
その分、月曜日から木曜日まで終電帰りだったが……そんなの、今となっては些事に過ぎない。
……いや、ごめん。それは見栄を張った。普通に毎日定時で帰れる仕事に転職したいよぉおおお!
ともかく。あとは40分ほど電車に揺られれば自宅だ。
急げば配信前にシャワーを浴びる余裕すらある。やっぱり記念配信の前には身体を清めて、お酒とおつまみを用意して、全裸待機しなくちゃいけないからな!
ん~、なかなか電車が来ないな。
新しく投稿されていたVTuberの切り抜き動画を見終えてしまった。となればやることはひとつ。
――ソシャゲだ。
さて、アプリを起動して……っと。
……。
…………。
『――1番ホームに電車がまいります。黄色い線の内側におさがりください』
ゲームをプレイしはじめて数分。ようやくアナウンスが聞こえる。
「お、ようやく来たか」
携帯端末から顔を上げると、暗闇の奥から強い光が近づいてくるのが見えた。
そのまばゆさに一瞬、目が眩み……。
――トンっ。
「は?」
それはあまりに軽い衝撃だった。
背中になにかが、あるいはだれかがぶつかった。それだけ。
それはあまりに不運が重なっただけの偶然。
ソシャゲ中で手がとっさに出なかった。長時間のデスクワークで身体が凝り固まっていて足の踏ん張りがきかなかった。運動不足で反射神経が鈍っていた。
そんな些細なことが重なって――端的にいえば”俺”は線路に飛び出した。
そして。
――俺の身体はすさまじい衝撃とともに、バラバラに断ち切られた。
自分が自分でなくなっていく。
そんな壮絶な感覚に苛まれながら俺が思ったのはただひとつ。
「――まだ3D配信見れてねぇええええええええ!!!!!!!!」
ほぼ自分用に描いてるので、知名度の高いキャラクターじゃなく自分が好きなキャラクターを登場させていきます。
けど、せっかく読んでくれた人が「知らないキャラクターばっかりだ」と十全に楽しめないのもしのびない……ので! 新しいキャラクターが登場した際はあとがきかなにかで、まったく一切微塵も関係ないVTuberの紹介をしていく予定。