ステータス
今回は長めです。………たぶん
ステータス、その言葉を聞いてクラス全員がざわついた。
かく言う僕も少し興奮している。
仕方ないだろう。僕だってお年頃の男だ。
ステータスというものに反応してしまうものなのだ。
ローブを着た人が蒼く輝く水晶のようなものを持ってきた。
「これは、『蒼き月の輝き』という魔道具です。これで皆様のステータスを測ります」
ローブの人が言った。
「皆様、これに手をかざして下さい。それで皆様の現在のステータスが、分かります」
みんなは、それに列をなして並んだ。僕は当然1番後ろだ。
時々小さな歓声が上がるが、僕には見えない。
そんな中、ひときわ大きな歓声が上がった人が4人いた。
委員長の大久保さん、クラスの陽キャの女子の頂点、浜塚詩織さん、それに榊に鈴木だ。
きっとステータスが良かったのだろう。
「これは素晴らしいステータスです!しかも鈴木さんは天の因子を持っていらっしゃる。これならば必ずや魔王を討伐できましょうぞ」
なんと鈴木が天の因子を持っていたらしい。
それに榊も良いステータスだと?
もしこちらでも殴られたりするのなら、僕も良いステータスを持っていないと、もしかしたら死んでしまうかもしれない。
これは、なんとしてもそこそこのステータスを、とらなければならない。
そう考えていると、とうとう僕の順番が回って来た。
「次の方、どうぞ」
ローブの人が声をかけてくれた。
「分かりました」
さあ、頼むから良いステータスが来てくれるように……
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名前 : イツキ・シノミヤ
種族 : 人族
レベル :1
HP : 400/400
MP : 20/20
攻撃力 : 60
防御力 : 20
魔攻 : 10
魔耐 : 5
俊敏 : 30
<スキル>
無し
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……?なんだこれは?スキルが無いし、ステータスも高いとは思えない。
もしかしたらこれでも高いのかもしれない。
自分にそう言い聞かせて、わずかな可能性に縋るようにローブの人に聞いてみる。
「すみません。僕スキルが無いのですが……。それにこのステータスは高いのですか?」
……。少し待つが返事はない。
次は少し強めに言ってみた。
「あの、すみません!聞いてますか?」
……それから、ローブの人はポツリと喋った。
「嘘だろ……。スキルも無いし、ステータスも平均以下だ……」
その言葉を聞いて、僕は思わず立ち尽くしてしまった。
「うわっ、これ、お前のステータス?スキルないじゃんww。ステータスも数値低いし、お前、そこら辺の小石でも踏んだら死ぬんじゃね?ww」
榊が煽ってくる。
僕は堪えきれずに榊に掴みかかった。
「あれ?逆らうの?こんなに弱いのに? へぇ、お前、死にたいんだ」
しかし、やはりステータスの差が既にあるのか、僕は床に叩きつけられる。
「ガハッ‼︎」
背中を強く打ち付けてしまって、上手く息が吸い込めない。
「やっぱりあいつってすぐキレるよね」
「ほんと、キモオタって感じだよね」
みんなからは、また僕が悪いように言われている。
「やめなさい」
……そこに1人の声が上がった。委員長の大久保さんだ。
「榊くん、篠宮くんは気が動転しているのだから、そんな挑発はやめなさい」
「へいへい、分かりましたよ」
榊は不服そうだが矛を下ろした。
「篠宮くん、あなたもよ、いきなり殴りかかるなんて、人として最低の行為よ。謝りなさい」
謝る……か。まぁそうだろう。僕はクラスではセクハラ野郎だ。
特に女子からの嫌われようは凄い。そんな中、仲裁だけでもしてくれた大久保さんには感謝をしよう。
「榊……」
「あぁ?」
榊はニヤニヤ笑っている。
しかし耐えないといけない。折角大久保さんが収めてくれた場だ。ここで台無しにするわけにはいかない。
「ごめん」
「あぁ、そうか、以後振る舞いには気をつけな」
榊はニヤニヤ笑ったまま、そう言った。
「みなさんにもご迷惑をおかけしてすみませんでした」
僕はみなさんにも謝った。
「ああ、よ、よい許す。してそこの……シノミヤよ少し別室にて話がある。ーーアメリアよ!この方へ話をして差し上げろ」
「わかりました。それではシノミヤ様、付いて来てください」
僕は言われるがまま、王女様の後に付いていった。
そして小さな部屋の中に入って椅子に座った。
「どうぞ、おかけになって下さい」
「はい」
話とはなんだろうか。おそらく、ステータスのことであろうが……。
「話というのは、ステータスのことについてなのですが……。正直に申し上げますと、シノミヤ様はこの国の一般兵よりも弱いです」
「そうですか……」
ステータスが平均以下ということは、そういうことなのだろう。
「ステータスを測った後は皆様に、この世界について、少し学んでもらってから戦闘訓練に入っていただく予定です。しかし、シノミヤ様は戦闘訓練についてこれないのではと、私は考えております。そこで、シノミヤ様には、勉強が終わった後、城に残るか、それとも、出ていかれるのかを決めていただきたいのです」
「出て行くと決めた時には、仕事や住居などは紹介してくれるのですか?」
「いえ、紹介はできませんが、お金なら、ある程度は渡せます。しかし、出て行く場合には、自分が勇者であることを口外しないように魔道具で契約させていただきます。というのも……」
「自分みたいな奴が、勇者だって知られたら、勇者の評判が落ちると?」
「……仰られた通りです。勇者とは常に人々にとっての希望であることが求められています。ですので……」
「弱い僕はいらないと、」
「端的にいうと、そうなってしまいますね……」
僕は異世界でもいらない人間らしい。
いろんな感情が頭の中に渦巻いて、そんな気分になる。
「………………………………。」
僕が黙っていると王女様がこう提案して来た。
「いきなり決めろと言われても、困ってしまうでしょうね。決めるのは勉強が終わる日まででいいですよ」
どうやら、僕を気遣ってくれたようだ。ここはお言葉に甘えよう。
「ありがとうございます。では、そうさせていただきます」
「そうですか。ーーでは、戻りましょう。皆様を部屋に案内しなければなりません」
そう言って、王女様は戻っていった。
大久保さん、浜塚さん、榊、鈴木のステータスです。
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名前 : マイ・オオクボ
種族 : 人族
レベル : 1
HP : 1200/1200
MP : 1800/1800
攻撃力 : 240
防御力 : 130
魔攻 : 360
魔耐 : 120
俊敏 : 90
<スキル>
『大魔導士Lv.1』・・・魔法の展開速度、威力、属性適正など魔法に関する全てのステータスを大アップさせる。
『無詠唱Lv.1』
『全属性使いLV.1』
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名前 : シオリ・ハマツカ
種族 : 人族
レベル : 1
HP : 800/800
MP : 600/600
攻撃力 : 360
防御力 : 180
魔攻 : 120
魔耐 : 60
俊敏 : 180
<スキル>
『隠密Lv.1』・・・全ての防御力、耐性を大アップする。
『無音Lv.1』
『瞬殺Lv.1』
『偽装Lv.1』
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名前 : ショウゴ・サカキ
種族 : 人族
レベル : 1
HP : 1800/1800
MP : 400/400
攻撃力 : 700
防御力 : 60
魔攻 : 100
魔耐 : 30
俊敏 : 110
<スキル>
『格闘士Lv.1』・・・攻撃力の数値を極大アップその代わりに魔法系統の数値を小ダウン
『格闘術Lv.1』
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名前 : タカヒサ・スズキ
種族 : 人族
レベル1
HP : 3600/3600
MP : 3600/3600
攻撃力 : 1200
防御力 : 200
魔攻 : 400
魔耐 : 150
俊敏 : 200
<スキル>
『天の因子Lv.1』・・・全ステータスに極大補正。また、スキルが取りやすくなる。
『全属性使いLv.1』
『偽装Lv.1』
『???Lv.1』
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ステータス後で変えるかもしれません。