テンプレ
まだ短めです。
目を醒ますと、僕は大きな広間の真ん中にいた。
クラスのみんなも同じ広間の中にいる。
「一体ここは⁉︎」
「何々?映画の撮影?」
みんな慌てふためいている。
一体ここはどこなんだろう。
「落ち着いて下さい。勇者様方」
誰か女の人の声がする。
「私は、聖ニコラス王国第一王女、アメリア・ニコラスです。まずは、突然お呼び出しした非礼、お詫び申し上げます」
よくある金髪碧眼というものなんだろう。とても綺麗な人だ。
「つきましては、勇者様方には、詳しい話を謁見の間にて行わさせていただきたいのですが、それで宜しいでしょうか?」
「ちょっと!ここはどこなんですか⁉︎」
「いきなり連れてくるなんて、誘拐じゃないか!」
みんなは、まだ動揺しているようだ。
そりゃそうだろう。いきなり知らないところに連れて来られたら、誰だって驚くに決まっている。
「貴様ら!王女殿下が、お話しになられているのだぞ!」
兵士らしき人が叫んだ。途端にみんなが静かになる。
「良いのです。無理もない話です。ーー皆様、話は皆様が落ち着いてからでも良いですからまずは落ち着いて下さい」
再度、王女様がみんなに語りかける。
「質問をしても宜しいでしょうか?」
誰かの声が上がる。
奴だ。鈴木だ。
「まず、聖ニコラス王国という国に聞き覚えがありません。ここは一体どこなのですか?」
「ここは、オケアノスと呼ばれる世界です。我が国の名に聞き覚えがないのは、皆様が異世界から召喚された、異世界人だからです」
みんなにざわめきが走る。
どうやら僕達は本当に異世界に来てしまったらしい。
「嘘でしょ!」
「やりかけのゲームがあったのに!」
「家に……帰れないの?」
「その件に関しましては、非はこちらにあります。本当に、申し訳ありません。しかし、こちらにも譲れない事情があるのです。ーーそのことに関して我が父、聖ニコラス王国第184代国王、グレン・ニコラスから話があります。皆様、私に着いて来てくれませんか?」
そう言って王女様は歩き出した。
クラスのみんなは渋々、といった感じでついて行っている。
王女様についていくと、広間よりも広い空間に出た。
一段上に玉座らしき物が有り、そこに人が座っている。
おそらくあの人が国王様なのだろう。
「勇者様方、我が聖ニコラス王国第184代国王、グレン・ニコラスである。この度は突然の召喚による非礼、誠に申し訳ない。まずはこの世界の状況について、知っていただきたいと思う」
そう言って、国王様は話を始めた。この世界のは、500年おきに、魔王が現れるらしい。
と、言うのも、どうやら魔王というのは、魔の因子を取り込んだ者のことで、魔王が倒されると、魔の因子は一時的に消えるが、500年経つと世界のどこかにまた現れるらしい。
そして、今回はもう魔の因子を取り込んだ者がいて、倒すためには異界の勇者の力が必要だという。
そこで鈴木がこう言った。
「国王陛下、我々はまだ幼く、また、戦う術も持ち合わせておりません。一体どうやって魔王を倒すというのですか?」
真っ当な質問だ。僕達はみんな、平和な日本で生まれ育って来ている。
いきなり戦えと言われてもそもそも出来ない。
「これまで召喚された勇者様方は、みな、戦う術を持ち合わせてなかった。しかし、異界の勇者の中には『天の因子』を持っている者がいるはずだ。他の勇者様も特別なスキルを持ち、ステータスもかなり高い」
なるほど、まさにテンプレってやつだ。
ステータスまであるとは。
ということは……
「勇者様方には、これからステータスを、こちらの魔道具にて測らせて頂きます」
きた!ステータス測定だ!