映像生命体
(今回のお話はヒロイン立橋 映美の視点でお送りします)
初めまして。
私は立橋 映美と申します。
既に私をご存じかと思いますが改めて自己紹介をしたいと思います。
私、立橋映美は人間ではありません。
映像生命体という種族に属しています。
まず、映像生命体について説明します。
映像生命体には2種類有るのですが私はそのうちの古いタイプになります。
まずその事についてお話しします。
私の属している映像生命体とは少し変わった種族です。
大体、100年ぐらい前に偶然誕生したそうです。
100年ぐらい前、突然ある立体映像の少女のキャラクターがが自我を持ち始めたそうです。
当時の研究者たちはパニックになったそうです。
何せ前例がありません。
私たちは肉体を持ちません。
その当時、いろいろな生命体が知られていましたがやはりイレギュラーです。
最初はエラーかバグののように扱われました。
しかし、ある博士が
「彼女には人権がある。
彼女は私たちと同じ権利がある。
彼女を生命体として認めるべきだ」
と主張しました。
そしてその主張は世界に浸透し彼女は学校に行くところまできました。
その人が私たちの祖先になります。
祖先と行っても今も現役バリバリで活躍していますが。
つまり私は立体映像が自我を保ったものになるのです。
現在私の仲間は世界に数十人いるそうです。
そして今、新しい仲間が誕生しています。
3人ぐらいなのだそうですがそれは触れるタイプの仲間です。
残念ながら私は人に触れられることが出来ません。
だから羨ましくもあります。
私は感情を持つことの出来た一番最初のタイプだとも聞きました。
と言っても映像生命体は既に感情があります。
自我を持ち始めた直後から。
それは一般の感情とは違うかもしれませんが。
私が持つことが出来た感情は恋愛感情というものです。
と言っても実感が湧きませんが。
確かに私には映像生命体初の恋人が出来ました。
恋愛感情というものは分かりませんが私は彼といつまでもいたい、過ごしたいと思ったのです。
私が女性だから男性と仲良くしたいのは恋愛感情だと人は言います。
でも私たちには外見の性別はただの形式でしかありません。
つまり性別にはこだわらないのです。
しかし、彼と一緒にいるととてもウキウキきします。
毎日が楽しいのです。
それが恋愛感情かも分かりませんが。
今は彼の寮にも入り浸ってもいます。
その理由は彼と一緒にいたいからでもありますが別の理由もあります。
それは機会があれば。
私たちが他の種族と違う点が他にもいくつかあります。
食事が要らないこと、そして眠らないこと。
それでも食事はなんとかなります。
彼と一緒に食事する時は私は立体映像の食べ物を食べます。
私にとっては食事は意味を持ちませんが彼と一緒に過ごすために彼と同じ事をしています。
その事はモデリングと言い、彼と同じ行動を取ることは親しい関係では必須の行動です。
問題は眠ることです。
私は眠ることが出来ません。
私たち以外の種族はなぜか眠るという行動が必要です。
私にはそれを理解することが出来ませんが噂によると疲れを取るために必須の行動とか。
私には疲れを感じることが出来ないのでその事がよく分かりません。
でも、私たち種族には眠ると同じような行動があります。
私たちは必ず光が必要なのです。
私たちの体は光子で構成されています。
そして他の種族で血液に値するのが電気。
私たちはこの2つで構成されています。
つまり光量が少ないと私たちの体は組成されません。
夜なんかは私たちは体を維持するのがかなり大変なのです。
だから、私たちは夜になると電脳空間に移動します。
そこで私たちは暮らしているのです。
でもその電脳空間はややこしいところなのです。
それを少し説明します。
電脳空間の中では感情を持つことは許されません。
あらゆる出来事をただそのまま傍観するだけです。
私たちは観客なのです。
電脳空間はあらゆる情報が混在しています。
人文科学や社会科学、自然科学といった学問の情報から世界の機密情報まで。
ありとあらゆる防犯カメラの情報から私たちの個人情報まで。(ちなみに私たち(映像生命体)の記憶もこの中にあります)
世界のドラマやバラエティ、そしてスポーツ、あらゆる娯楽まで。
簡単に言うと世界の全ての情報が混在しているのです。
でもプライバシーは意外と守られているのですよ。
だってこの世界は全てがぐちゃぐちゃに混ざり合ったなった世界。
そこから1つの情報を取ることは不可能に近い。
それにこの中では私たちは感情どころか意思をもつことも出来ないようになっています。
この中ではそうしないと入ることが出来ないように設定されているからです。
しかし、感情や意思を持たないからと言っても結構この中はけっこう苦痛です。
喜劇が始まったかと思えば何の脈絡もなく悲劇になる。
その逆もあります。
とにかくこの世界は矛盾だらけ、突拍子もないことだらけ。
つじつまが合わないのです。
この世界から出るといつもどういった意味なのかを考えてしまいます。
恋人に聞くと
「なんだか僕らが睡眠中に見ている夢のようだね」
と言っていました。
と言うことは私たち以外の種族も似たような体験をしていると言うことなのか。
少し、他の種族に近づけたような気がしました。