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ぬいぐるみ族

(今回のお話は犬伏いぬぶし たくまの視点でお送りします)


 とりあえず自己紹介するぜ。

俺ッちの名前は犬伏逞、一流の男を目指すものだぜ。

俺ッちはちょっと変わった種族の出身で簡単に言うとぬいぐるみ族。


 ここで俺ッちの種族ぬいぐるみ族について少し話をするぜ。

俺ッちはいわゆる犬のぬいぐるみ。

自立しているぬいぐるみというか、自ら思考が出来るぬいぐるみというか、とにかくそういった種族だぜ。

詳しく言うと俺ッちの種族は人形族ぬいぐるみ科と言ったような所だ。


 ただし、人形族のほとんどは女が主流だ。

人の形をしたものはすべからく女が多い。

動物の形をしたものは違う。

男女半々と言ったところか。

正確にはぬいぐるみ族には性別がないのだけど心の性は別。

俺ッちはれっきとした男なのだ。


 そういえばこの学校は昔は人型ひとがたでないとは入れなかったと聞いていた。

今はそういった差別もなくなり俺ッちも普通に登校できるようになったから時代は変わったのだと思う。

ほんの少ししか生きてない俺ッちが言うのも変だが。


 さて、ここで重大報告があります。

それは俺ッちには彼女がいると言うこと。

世の中の女性の失望感が目に見えるぜ。

俺ッちの彼女は猫村ねこむら 雨里あめり、猫のぬいぐるみ族だ。

俺ッちたちのラブラブぶりはクラスの人たちから妬まれるほどだぜ。


 ところで俺ッちには悩みがある。

それは俺ッちが女の子たちに人気がありすぎること。

いつも朝は俺ッちの取り合いになる。

なんか、可愛いとかキュートだとか言われている。

1回で良いからかっこいいと言われたいぜ。

そして最終的には女子たちにもみくちゃにされる。

それからが大変だ。

この後彼女にめっちゃ説教される。

色目使っただの、浮気してただの。

自分だってされてたくせにかなり怒られる。

そう、彼女は嫉妬深いのだ。

その度に俺ッちは世界中で愛しているのは君だよ、浮気なんて絶対しない、一生を君に捧げているのだから。

と説得している。

いつも、このやりとり。

正直疲れるぜ。


 この学校は俺ッちも含めていろんな種族が存在する。

俺ッちたち人形族みたいに食事を必要としない種族はある程度いるがほとんどの種族は食事をする。

俺ッちが暇つぶしに食堂に行った時は結構カオスだったぜ。


 人間たち、つまり人型ひとがたの種族は大多数なのだが、中には獣人、鳥人の人たちもいる。

そういった人たちは人型ひとがたで食事するより元の姿で食事した方が楽なのだそう。

食堂の一角がさながら動物園みたいになっている。

ハリネズミ、フクロウ、ペンギン、カワウソ、さながら一角はなんとか喫茶みたいになっている。


 俺ッちはこれでも一応は男の友達がいるんだぜ。

共にクラスメートで雷神と水神と氷魔の友達がいる。


 雷神は彼女持ちでいつも彼女のノロケ話。

そのくせ怒ると教室に強力な雷雲を発生させる。

かなりやばい奴だ。

とにかく彼の前では彼女の悪口は禁句。


 水神は世話焼きタイプの委員長。

いつも面倒なくらい僕の面倒を見たがる。

確かに俺ッちはかなり背が低い、何せぬいぐるみだからな。

その背丈のハンデを気にしてかよく俺ッちに声をかける。

こいつも怒らせると教室に河が出来るぐらいやばい能力の持ち主だ。


 氷魔は無口タイプ。

ほとんどしゃべったことを見たことがない。

でも、こいつも怒らせると教室を凍らせるぐらいの能力がある。


 とにかくこの3人は俺ッちの友達でもあり目指す男像でもある。

それにしてもなぜ高も能力が暴発する奴が多いのか。

俺ッちが怒らせやすい性格なのも一因だと思っている。

その点については今は深く反省している。


 それにしてもこの3人、俺ッちが見てもかなりの能力者なのだが実はお互いの能力を把握していないとも言っていた。

お互いの種族は分かっているのだけどもその能力は一度も見たことがないと。

一度も見たことがないというのは大げさだと思うけど。

何せ実技の授業で能力を発揮するのだから。

つまりお互いに本気を見たことが無いと言うことか。

俺ッちは怒らせる天才だから3人の本気を垣間見ているけれど。


 俺ッちたち背の低い種族はそれ専用の机と椅子が用意してある。

背が低いと言っても俺ッちの背丈は人間で言う赤ちゃんぐらいの背丈。

ぬいぐるみ族の背丈では大体平均ぐらいだ。

大体、他の種族がでかすぎるのだ。

人型ひとがたの人形族は人と同じぐらいの背丈になる時いている。

俺ッちたちはなぜか背丈は伸びない。

そして、今日もいつものように女子たちにいじられる。


 女子たちに何で俺ッちたちが構われるのか聞いてみたことがある。

子供の時に持っていたぬいぐるみに似ているとかなんとか。

とにかく見ていて癒やされるというのがアンケートの第一位だった。

つまり俺ッちは男としてみられていないと言うこと。

熟熟つくづく悲しくなるぜ。


 そういえばその女子の中で俺ッちよりも背の低い女子がいたっけ。

人型ひとがたの時は一般の人間に比べれば低い方らしいが俺ッちよりも背は高い。

でも、本体は俺ッちよりも背の低いよくしゃべる小鳥だ。

小鳥の状態では会ったことはないが俺ッちはそれをよく知っている。

俺ッち彼女にだけ優越感を持っている。

密かな優越感だが。


 とにかくこれからも俺ッちは一人前の男を目指して頑張るぜ!!




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