退屈な日常
あぁ、つまらない。
つまらないつまらないつまらない。
この世のすべてが退屈だ。
何もかもが暇。
何か楽しい事でもないかなー……。
人混みの中をぶらぶらと歩いていても何も変わらない。
少し視線を下に向けてため息を吐くと肩が何かにぶつかった。
「いってぇなぁ!!」
「てめぇどこみて歩いてんだ!!」
「……はぁ」
退屈なのも面倒なのも嫌いだ。
こんなありきたりなガキのようなやつに構ってあげるほど俺も暇じゃない。
「おいおい謝罪もせずにどこ行くんだよ!」
「なめてんのか!?」
胸ぐらを掴んできた男と目を合わせる。
「うるさいんだけど」
ぽつりと呟くと目の前の男達が一層わめきだした。
「あーうるさいうるさい」
頭にカッと血が上って目の前の男を殴り飛ばす。
「俺の邪魔しないでくれる」
もう一人の男の腹にも蹴りを入れてその場を通り過ぎる。
「これがもしすっごく強い人ならまだ楽しかったんだけどなぁ」
俺は別に喧嘩が強いわけじゃないからきっとボコボコにされるんだろうな。
それならそれでちょっと面白いかも。
そんな妄想もすぐに飽きてイライラする。
何で、何でこんなにつまんないんだ。
何をすれば良い?
でももう楽しそうな事はし尽くした。
こうなったら犯罪にでも手を出してみるか?
いやいや、流石にそれはまずい?
いや、でも警察に追われるってのも楽しそう?
でも人の事を傷つけるのはなぁ……
喧嘩売られりゃ買うが、何もしてない人を傷つけても楽しくない。
そういうのは不愉快だ。
となるとどうする?
「ん?」
公園のブランコで泣いてる女の子発見。
女の子っていっても成人はしているだろう。
非日常発見。
「ねぇ、どうしたの?彼氏に振られちゃった?」
「……何よあんた」
涙を拭いこちらをにらみつけてくる女ににやける。
結構可愛いじゃん。
「泣いてる女の子はっ放っておけないなぁと思ってね」
「ナンパならお断り」
立ち上がり歩き出す女に付いていく。
「ふふ、違う違う」
「じゃあ何、ただの偽善者?」
いきなり立ち止まって振り返るものだから少し驚いた。
「さぁ、もし俺が偽善者だとしても話す事によってすっきりするなら良いんじゃない?」
「……」
あぁ、少しだけ暇つぶしができた。