3:其の二、のち悟る
本格的に偏見と戦うことになったのは、仙台で暮らし始めてから。
とりあえず仕事と住む場所!と思ってキャバクラの寮に入って、適当に昼間のバイトをした。
3日。3日で首になった。
「病気があるとね、その……うちは女だけの職場だから風紀がね……」
ああ、病気があると言っただけで、しこりになるのか。
はいはいすいませんでしたって、辞めて。
彼氏が出来て、うちに住んでいいよって言ってくれたのをきっかけにキャバクラ辞めて、今度は某チェーン店のコーヒーショップでバイトをした。
2ヶ月。
店長が変わって、持病での体調不良とパニック障害の広場恐怖(外が怖い、人が怖い、何故かすべてが怖いという恐怖感に侵略される)で休みがちになっているから、シフトを減らしてほしいと頼んだ時。
「病気とか正直ドン引きだわー」
持ってたバケツぶん投げてやろうかと思った。
お前に分かるか、体が痛くて、頭の中がぐちゃぐちゃで、だけど働かなきゃ病院に行けないんだ。
そう思った時、スーッと。さめた。
そのまま、今月いっぱいでやめますって言って、辞めた。
キャバクラは、休んだら罰金。売り上げあげたら給料増える。単純な事。仕事内容は決して楽じゃないけど、持病に振り回される私にとっては、体調不良で休みます、がお金で解決する世界に、頼るしかなかった。
そして知った。
精神疾患への偏見から身を守る最大の自己防衛は、相手に理解を求めないことだと。