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使徒戦記  作者: タンバ
第四部 小国動乱編
145/147

プロローグ




 流れに身を任せるのは簡単だ。

 逆に、流れに逆らうのは困難だ。


 ましてや時代の流れに逆らうというのは並大抵のことではない。

 多くの人が見ている方向とは別の方向を向けば、白い目とバッシングを一斉に浴びる。


 だが、それでも! と歯を食いしばる人がいるならば。

 そんな人たちを助けてあげたいと思う。


 それが力を持った者の義務なのだろうと思うから。


「あの国はもう終わりだ! お前が行くだけ無駄だぞ!?」


 そう言うのはエリオット王子。

 その横にはフィリス殿下もいる。


 二人は俺が止まることを望んでいる。いや、二人だけじゃない。

 国の要職につく者たちはみんなそれを望んでいる。

 だがしかし。


「無駄でも行くと決めました。兵は一兵もつれていかないのでご安心ください」

「安心できるわけないわ!? 今から行くのは多数の小国を敵に回した国なのよ!?」


 俺が行こうとしているのは、地図上で見ればアルシオンの上。

 小国が密集している地域だ。そこの一国が複数の国によって滅びようとしている。

 俺はそこに行くと言っているわけだ。


 止めるのはわかる。

 わかるが退くわけにもいかない。


 もう決めたことなのだ。


「お二人にはご迷惑ばかりかけて、本当に申し訳ないと思っております。ですが、これまでの武功に免じてお許しください」


 そう言って俺は頭を下げると、その場を後にする。

 着慣れた青いマントも、二人の使徒から貰った魔剣もない。

 俺は何者でもない者として、戦地に向かうのだから。


 こんなことになっているのもマグドリアのせいだ。いや、テオドール・エーゼンバッハのせいか。

 奴が仕掛けた策のせいで、大陸の情勢は一変してしまったのだ。


 ただそれでも流れに逆らう人たちがいる。

 その人たちのために俺はアルシオンを離れることを決意したんだ。

 たとえそれが愚かな選択だったとしても。


 行かなければ後悔すると知っているから。

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