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もうすぐ雪が降る

 街に吹く風は冷たい。

 灰色に陰る雪雲の下をつれあいと歩く。もうすぐ降り出すとの予報だった。


「どこいくの?」


 肩をすくめて返す俺に、彼女はため息をつく。


「なんでこんなのと一緒になっちゃったんだろう」


 失業したら金も家もなくなった。しかし家はなくても家族はいる。


「捨てんなら今だぞー」


 そう笑う俺の手を彼女が握った。


「もう手遅れでしょ」


 雪が降ってきた。


「そうだな」


 風は冷たい。

 けれど笑う彼女の手はあたたかかった。

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