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夏恋

 風のよく抜ける旧校舎への渡り廊下で、あたしは夏の放課後にたたずんでいた。

 部活動の声が遠くに聞こえる。蝉が鳴き始めて間もない夏は、鈍い暑さを引きながら、間延びするように地面に白い日差しを投げている。

 その日差しの中を遠ざかる人影。


「あーあ」


 あたしの好きだった結城くん。


「ふられた」


 夏なんて知るもんか。あたしは太陽を睨みつけ、日差しの下へと走り出す。


「わぁぁぁぁーっ!」


 叫ぶ。汗が泣くように流れた気がした。

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