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ガイドと旅人「一本足」
テキストポイ「200文字小説コンテスト」参加作品
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ガイドと旅人シリーズ第十六弾
土地のガイドの話だと、この荒野に一本足がいるという。
「あちらです」
そこそこに白い岩が転がる乾いた土地に、巨大な一本足が生えていた。地響きを立てて動く足は、雲の上まで伸びている。
「あ」
その時、足がぐらりと揺れた。岩に躓いたのだ。
足は転んだ。
「立てるのかね?」
土煙に沈む足を指差しガイドに訊く。
「いいえ。一本足ですから」
ここの白い岩は全て足の骨だそうだである。
転んだら最後。足の一生は一度も挫折できない。




