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灰色の海の波の間に

 灰色の海の波の間に白いビニール袋が浮いている。

 高くそびえる工場の煙突で汚れた空から降る雨に僕はぐっしょりと濡れながら、なすすべなく立ち尽くす以外に何もできないでいた。

 寒さなんて感じない。僕は死のうと思っていたから。けれど波の間に白いビニール袋が浮いていた。だから僕は立ち尽くす以外に何もできなかったんだ。

 護岸に流れ着いたビニール袋が死んだように波に洗われている。

 雨が寒さとなって僕の身体を流れ始めた。

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