56/100
桃の花
桃の花を髪に揺らし、きちりと着付けた和装姿で楚楚と歩く彼女の横顔を目で追うと、不意にその視線が交わった。
「あら、お兄様。どうされました?」
私が答えに淀むと、彼女は口を押さえて小さく笑った。
「桃が咲いていたから髪に飾ってみたけれど、やっぱりおかしいかしら?」
彼女は花を外すと「差し上げますわ」と、私の手に握らせた。
「ではお兄様、ご機嫌よう」
桃の花言葉は“虜”であるという。
桃の香が甘く手のひらに残った。
桃の花を髪に揺らし、きちりと着付けた和装姿で楚楚と歩く彼女の横顔を目で追うと、不意にその視線が交わった。
「あら、お兄様。どうされました?」
私が答えに淀むと、彼女は口を押さえて小さく笑った。
「桃が咲いていたから髪に飾ってみたけれど、やっぱりおかしいかしら?」
彼女は花を外すと「差し上げますわ」と、私の手に握らせた。
「ではお兄様、ご機嫌よう」
桃の花言葉は“虜”であるという。
桃の香が甘く手のひらに残った。