44/100
冬座敷
冬日の差し込む座敷にはイグサの香りが満ちている。
「お嬢様。そんなお姿、また旦那様に怒られますよ」
着物の乱れも気にせず座敷に寝転がるお嬢様は、顔だけを動かして私の顔を見上げた。
「あなたはお父様ではないでしょう。あなたはだぁれ?」
「しがない使用人でございます」
そう答えると、お嬢様は笑いながら私を手招いた。
「枕が欲しいわ。膝を」
膝を貸す。
「暖かいわね」
「はい」
そのまま眠るお嬢様の髪を、私はそっとなでた。
冬日の差し込む座敷にはイグサの香りが満ちている。
「お嬢様。そんなお姿、また旦那様に怒られますよ」
着物の乱れも気にせず座敷に寝転がるお嬢様は、顔だけを動かして私の顔を見上げた。
「あなたはお父様ではないでしょう。あなたはだぁれ?」
「しがない使用人でございます」
そう答えると、お嬢様は笑いながら私を手招いた。
「枕が欲しいわ。膝を」
膝を貸す。
「暖かいわね」
「はい」
そのまま眠るお嬢様の髪を、私はそっとなでた。
特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。