4/100
先見の壺
テキストポイ「200文字小説コンテスト」参加作品
http://text-poi.net/vote/56/
壺を覗いたのは失敗だった。
「この壺を覗くと、貴方の未来が見えるのです」
この骨董品屋の主人の言葉に好奇心をくすぐられた私は、ついその壺を覗いてしまったのだ。
「ほら、未来が見えるでしょう?」
ああ、見える。
頭から血を流して死んでいる私の姿が。
木刀で私の頭を打ち砕く、骨董品屋の主人の姿が。
「人の未来は全て死です」
衝撃。
「おお、壺よ。血に濡れるお前は美しい」
うっとりとした主人の声。
壺を覗いたのは失敗だった。