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冬の女王の涙
テキストポイ「200文字小説コンテスト」参加作品
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冬の女王が涙を流した。
「女王様!」
駆け寄る雪の精霊達。女王は目を押さえ、苦しそうに呻いた。
「春が……春が来る」
女王は憎々しげに空を睨む。
「あれは春の精霊ども!」
雪の精霊達が、空一面を黄色に染める春の精霊達の姿に慌てふためく。
「女王様、お逃げ下さい!」
鼻を押さえた女王は首を横に振った。
「もう手遅れ……くしゅん!」
春。それは冬の女王が花粉症に苦しむ季節。
そして女王は草花の枯れる冬まで部屋に引きこもる。