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冬の女王の涙

テキストポイ「200文字小説コンテスト」参加作品

http://text-poi.net/vote/56/

 冬の女王が涙を流した。


「女王様!」


 駆け寄る雪の精霊達。女王は目を押さえ、苦しそうに呻いた。


「春が……春が来る」


 女王は憎々しげに空を睨む。


「あれは春の精霊ども!」


 雪の精霊達が、空一面を黄色に染める春の精霊達の姿に慌てふためく。


「女王様、お逃げ下さい!」


 鼻を押さえた女王は首を横に振った。


「もう手遅れ……くしゅん!」


 春。それは冬の女王が花粉症に苦しむ季節。

 そして女王は草花の枯れる冬まで部屋に引きこもる。

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