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花の見る夢

 美しい夢を見た。

 花の夢だ。血のように赤い花となった私が受粉し、実をつけて種を弾かせる夢だ。

 この夢の話を妻にすると、妻は私を指して笑った。


「だってあなた、花になっていますもの」


 鏡を見ると私は花だった。血のように赤い花だ。

 妻は私に水を与え、丁寧に世話をした。そして花は受粉して枯れ、実をつけて熟した。


「もうすぐですわ」


 妻が私の実をなでる。

 私は弾ける。抗いがたい衝動。これが花の夢。


「ああ――」


 私が弾けた。

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