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ぼくのたび  作者: 玲於奈
9/16

ケチャップのかくし味

なし

おっちゃんが

なかまをしょうかいするというので


あまり乗り気ではなかったが

ひまで

ぼんやりしていただけなので

ついていくことにした


おっちゃんが

大急ぎでもってきてくれた

オムライスは

たまごが半熟で

なかみのごはんが

すごくおいしかった

ケチャップ味が

おいしくてそれがあじのひみつかなと

おもった


あるきながら

おっちゃんにそのことを

いうと


「おお、おおお

 よくきづいたな。

 あのおやじ、ケッチャップに

 こってるけったいなやつでな。

 いろんな調味料いれてんのや。

 しっかし、よくわかったな。ぼうず

 まあ、おれっちにはすぐにわかるんだが、

 こんどその中身でもおいらと

 見に行くか」


とかえしてきた


店の秘密をうちらみたいな

あやしい者にそう簡単に

ばらすかなあと思いつつも

おっちゃんと一緒にいくのも

わるくないかなと

思っていた


だいぶ土手をすすんだころ


まえから

きになっていたことを

きいた


「おっちゃん、

 きのうの寿司、今日の半分のオムライス

 どうしてるん」


にっとしたおっちゃんの笑顔のあと


「ひろってくるんや、店の裏のゴミ箱から」


ぼくが一瞬ぎょっとした顔を

してかたまってしまうと


「あほかい、みんなそういう顔するがや。

 でもな、これを手にいれるのに

 どれだけの苦労してんのか

 きみ、わかってないんや」


なんのこともないように

ぼくに言う


しかし、ぼくはホームレス

おじさんは自由人というが

その人たちが

よくわからず


思わす走り出してしまった


おっちゃんも

あわてておいかけてくる


「おーーーーーい、ぼうず

 運動するならするで一言いえよーーーー

 走るならはしるでいえよやーーーーー」


とかすれながらさけんで

それっきり声はとぎれた


とぎれたのもおかまいなく

走りながら

ぼくはいつもにげてばかりいたから

そういや走るの苦じゃないんだなあと思った


そんなことを考えながら

急におっちゃんが気になって

土手で止まって

おっちゃんをみれば


半分演技のような気もするけど

やたらとぜいぜいしながら

いつのまにやら

そこらで拾った

棒をつえによたよたと

歩いていた

ぼくが立ち止まったのを

みると


その棒で


「あっちだ、あっちだ」


と言わんばかりに

いつも電車がゴーと音を立ててわたる

橋のたもとを

よたよたしながら

指していた








なし

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