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洋食屋のオムライス
なし
はじめてのこととはいえ
しばらく
倒れたままだった
そして
涙がとめどめなくあふれた
冬がちかづき
一台も自転車のない小屋で
空をみあげた
おもわず
ああ
あの自習の時
「頭がいたい」とか
「ねむいから、ねる」
なんて言って
頭をふせてればよかった
そう思った
気をつかうの
つまんないなあと
思いつつも
それが
学級の和
もしくは掟かとためいきがでた
もって生まれた性格
なんなのか
その頑固さがわざわいしてしまった
そして
ころがるような生活がはじまった
いまさらながらの
遠い過去をぼんやり
思い出す
なんだか昨日のことがきになって
いつもとは違う
土手に座って
ぼんやりしていた
突然
橋の方から
大きな声がする
大男が叫びながらこちらに
やってくる
「おーい、きょうは
おそかったなあ」
「半分だけど、オムライスだぞーー」
「老舗の洋食屋のやつだぞーーーー」
声がだんだんちかづく
おちゃんの声に
おもわず力がぬけた
そのまま
土手にへたりこんでしまった
雨がふってきたのかと
思って
そらをみあげた
ほうを
なみだがつたった
なし