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ぼくのたび  作者: 玲於奈
6/16

学級の和

なし

母は

町工場につとめていた。


とても小さい

家族経営のこうばで

ねじとかいろいろな部品を

作っていた


母さんは

社長の奥さんと一緒に

事務やら雑用やらをしていた


ぼくは

ねじだかが

焼ける匂いが好きで


学童が終わった後

よく母さんを

迎えに何回か町工場に行った。


そして

母さんの仕事が

終わるまで

事務所でお菓子を食べているのが

常だった

社長さんは、

本当にわるいことをしなそうな

見るからにいい人で

頭がまん中だけ

はげていて


いつも

事務所の机に置いてある

菓子盆にはいった

あんこのお菓子を

ぼくにすすめた


ぼくが中学にあがった時


こうばのおじさんが

母さんを

元請けの大きな工場に紹介してくれた



それから

こうばは

何か月かしてつぶれた


こうばには

だれもいなくなって


何枚も風に飛ばされそうに

なりながら

敗れた紙がべったりと

扉に張り付いていた



あたらしい工場は遠い街にあり

朝の早い時間

工場のバスに乗って母さんは

出かけていく


出かけるとき

玄関の上がり框で

母さんは


「腰がいたい。いたい。」


と言いながら

今朝も出かけて行った



母さんは

帰ってきても

なにも言わなかった

ぼくの

においも気に留めなかった


「おそくなったね」


と言って

すぐに

ぼくを背にして台所に立つ


しばらくして

野菜を切る音がしてきた


いたたまれなくなって

階段をあがる



階段をのぼりながら思う

ぼくがまじめすぎたかもしれない


小学生のこと

先生がいないときに

調子にのるやつは

かならずいる


しかしながら

それが小学生かもしれない


目立とうとするやつ

なんか

しゃべって注目を集めたいのか

ものまねをするやつ


くだらない


しかしながら

多くの人は

おもしろくもないテストより

そちらの方が

よっぽどいいので

とめはしない


そのときぼくは


「隣の先生にしかられてしまう」


「やめろ。やめろ。静かにしてくれ」


「おれは、静かに勉強がしたいんだ」


ただただ

黙ってテストを見つめる


その小さいな心の声は

誰にも聞こえない


でも、学級の和に

同調しない者を見つける


目ざとい手下


そういうくだらないやつは


やはり

どこの世界にもいた


なし

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