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ぼくのたび  作者: 玲於奈
5/16

きいろあたま

なし

「おひけえなすって」


「てまえ、両国を発祥としまして

 帝釈天で産湯をつかい

 姓は車、名は寅次郎

 人呼んでふうてんのとらとは

 私のことでございます。」


とつぜんはじまった

何か


おっちゃんは

かたまったまま

身動きしない


ぼくも

きをつけしなくちゃ

いけなかったと

思ったけど

おっちゃんが

手を出して

とまっているので

どうしていいかわからない。


がにまたのまま

怒った目つきで


「ぼうず、これしらんのか?」


「おまん、あの有名な

 とらさんだぞ」


「とらさん、しらんのけ」


「なに、しとん」

「なに、しとん」と


両手を交互にぼくのあたまをたたく


おっちゃんのぎゃくしゅう


おっちゃんが

目にものをみせている


おっちゃんに

本気でなぐられながら


黄色あたまの小学生が目に入る


なんだか

チャイムが鳴った気もした


「かえらなきゃ」


やつらにつかまる前に

家にもどらなければ


おっちゃんの手をふりよけ

むちゅうではしりだせば

ぼくの背に


「おーい、

 にげるのかーーー」と


おっちゃんのこえ


うしろをみれば

おっちゃんが一言


「あすもこいよ、

 まってるかんな」


そう言うなり

こちらもみずに

片手をあげながらすたすたと

去っていく


服には

おっちゃんのにおいが

した




なし

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