表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくのたび  作者: 玲於奈
13/16

川面

なし

目の前に

何かある


鼻先に

茶碗。


ひびがはいって

かけて

ひどく

よごれたちゃわんが

つきだされてた


「なんだよ

 ぼうず

 よんでんだから

 返事くらいしろよ」


さっきから

なんども

よばれてたみたいで


おっちゃんは

ひどく

イライラして

不機嫌だった


黙って

そのまま

おっちゃんから

受けとった


うけとった

そのよごれた

茶碗の中をみて

驚いた


シェイクみたいな

どろっどろの

なんだかあわだてたような

みどりのものが

はいってた


こんなの

飲むんだろうか

これ、本当に飲めるもの

なんだろうか


いつも家のごはんのときは

サイダーのコップにはいった水で

ぼくは

お茶なんて飲んだこと

なかったし

お茶を飲む習慣なんてないけど


やっぱり

この場所だし

へんなもの

飲まされるんかな

なんかの仕返しされるんかな

って

思った


だけど


だされて

かなりの時間

ぼんやりしてたみたいで

おっちゃんも

すごく怒ってて


もう

どうでもいいや

なるようになれっと

思って

えいっと

一口でのんだ


緑で

苦いのかなって思ったけど


味が

すごくさわやかで

びっくりした


清涼感がある。


森の中を静かに流れる川

きらきらした川面

すずしくて

その川沿いにいるみたい


ぼくは

にがいって

かってに

思ってたから

すごく

あれっておもった


それをみて


ずっと

不機嫌そうな

おっちゃんが

やっと

ほっとした



「なんだよ

 ぼうず

 どうしちゃたんだよ。


 こちとら

 ぼうずが

 あんまり

 なんにもいわないから

 さっきのオムライス

 やっぱ

 だめだったかと

 おもっちまったぜ」


ふうっと一息ついて


「やれやれよかったぜ」


おっちゃんはすこし

考えたように


やっぱ

半生すぎたのか?

火の通しは最高の瞬間を

おさえてたように思えたが


いくら

とろとろ感でも

あそこまで

こだわるたあな


しかし

それをたべない

客も客だし

あの店の客層もだいぶ

悪くなっちまったか

まあ

ちょっと

おいらも散歩が

すぎて

その間にほっておかれた

オムライスが痛んでたか?

一歩まちがえば食中毒か?


おっちゃんが

一人

ひっそり静かに

ぶつぶつ

反省会をしているのを

聞いて


「さっきのオムライスってやっぱり・・・」


とぼくが

言いかけたのを

おちゃんはオーバーに

手をふってさえぎり

さもなにもなかったように


「そうそう

 おまえに紹介しなくっちゃな

 このお茶をいれてくれた

 御師匠さん。

 あれっ、師匠。

 師匠、

 どこいっちまったんだ

 さっきまで

 ここにいたのに」



みれば

かわべりに

くろいおかまを

あらっている

じいさんがいる


おっちゃんは

だいぶ

きょろきょろしていて

やっと

それにきづいて


おっちゃん

まぶしい太陽に

むかって

大きく手をふった


太陽が逆光で

よく見えなかったけど

よれよれの服を

きた

じいさんが

小さく

手をあげていた






なし

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ