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肉欲中毒

15禁で大丈夫か心配。


大丈夫くらいに書いているつもりですが……。

 そんなわけで、エキドナにセッティングされて、ゼディス一人でノコノコと山奥の怪しい小屋にやってきたらしい。


 アイツはバカなのか? と思ったが、優秀なエキドナのことだ。それなりに色々、策を講じたに違いない。それでゼディス一人を誘き出すことに成功したのだろう。一体、どんな策略を使えばこうもあっさり、こんな人気のない山奥の小屋に一人で来ることを承諾するのだろうか?

 興味深いが、それは後で、エキドナに確認することにする。


 完全に小屋の中に入ったのを確認してから周りに結界を貼る。この結界はエルフの王国に貼られていたものと類似の結界である。小屋に近づこうとしても迂回してしまうようなものだ。

 強力な術者でもいない限りこの中に入ることは出来ないだろう。


 今現在、この結界内にいるのは、私とエキドナ、それとゼディスのみだ。動植物は別とする。

 エキドナが私に近づいてくる。


「上手く誘き出すことが出来ました」

「ふむ、どうやったか聞きたいところだが……」

「それは後回しですね。まずはあの男を肉欲の事しか考えられない家畜にしてしまうのが重要です」

「なんというか……どうしても家畜にしたいのか?」

「いいえ、ルリアス様の思うようにして頂ければ私は構いません」

「う……む」


 やはり心苦しい。私専用の奴隷? 愛人? にしようとしているのだ。エキドナが思うような苦痛を与える気などサラサラない。彼女はゼディスを憎んでいるだろうに……あとで、誤解を解いておかなくては……。


「差し出がましいと思ったのですが……」


 エキドナが申し訳なさそうに語りかける。なにか、ミスがあったのかもしれない。あまりいい気はしないが今までよく働いている罰するわけにもいくまい。


「なんだ、問題でもあったのか? よほどでなければ罪には問わん。言ってみろ」

「はい、実はゼディスに惚れ薬を飲ませてあります」

「なに!? そんなモノを!」

「も、申し訳ありません。ルリアス様の魅力があれば十分でしたのに……なにとぞお許しを……」


 そんな便利なモノ使ってくれていたとは! まさに至れり尽くせりじゃないか! なんて優秀なエキドナだ!


「私の魅力でゼディスを落せると思うか?」

「もちろんでございます。それなのに、私としたことが余計なことをしたばかりに……」

「気にすることはない。私のことを気遣ってのこと、むしろ好ましく思うぞ。これが上手くいった暁にはそれなりの地位に取り立ててやろう」

「勿体ないお言葉ありがとうございます」


 エキドナにはこれからも、私の右腕として役立ってもらおう。ここまで使える魔族がいたなど思ってもみなかった。

 いやいや、エキドナを褒めるのもこの辺でいいだろう。早く、ゼディスを我がモノに……。小躍りしたい気分だが、まだ、エキドナが見ている。威厳ある態度はとっておかないとな。


「どうぞ、小屋の中へ」

「そうだな」


 エキドナに促されて、ゆっくりと小屋に向かい歩きはじめる。走り出したいのを我慢しながら……。

 考えてもみろ。もし、ここで誰か他の女があの小屋に駆け込んだとしよう。そうしたら、惚れ薬を飲んでいるゼディスがその女のことを好きになってしまうかもしれないんだぞ!急がねばなるまい。だが、私が嬉々として小屋に飛び込むのをエキドナにみられるわけにもいかない。


 なんたる、ジレンマ!

 一歩、一歩が物凄く長く感じる。そのおかげで扉に着いただけで、この達成感。何もやり遂げていないというのに……。

 扉を開けるのが怖い……この私にまだ『恐怖』という感情が残っていようとは……。なかなか扉が開けられない。

 思わず、エキドナの方を見返してしまう。


 『早く入ってください』と声を出さずに口をパクとジェスチャーで訴えてくるエキドナ。

 そうは言っても、心の準備があると、ジェスチャーで訴える私。

 誰もいないからいいようなものの、傍から見たらマヌケな光景だろう。

 意外と勇気がいるぞ、コレ!


 しかし、いつまでもココにいるわけにもいかない、エキドナの方を再び見るとプラカードを持って『さっさと入れ!!』と書いてある。メガホンも持っている。……アイツ、楽しんでないか?


 意を決して扉を開ける!


「こ、ここに居るのはわかっているんだぞ!」


 ……。

 我ながらどんな登場の仕方だ……。


 予定通り、中にはゼディスが机に座り何か飲み物を飲んでいた。桃水?薄桃色の液体……あれがエキドナの言っていた例の惚れ薬だろう。


 ゼディスが立ち上がり近づいてくる。それだけで、私の心臓が高鳴ってしまう。久しぶりに会ったせいだろうか。昔、見た時よりも遥かにカッコよく美しく見える。見ているだけで、この男に惹かれていってしまう。


 見惚れすぎていた。目の前に来たのも気づかないほど……彼が私の唇を奪う。頭の中が混乱しそうになる。

 そうか……すでに、惚れ薬の効果が表れているのだろう。だから、今、現れた私に惚れたに違いない。もう、ゼディスは私のモノになる。こんなに嬉しいことがあるだろうか……!


「うんぐっ!? げほっ、げほっ!?」


 突然、口の中に何か、液体が流れ込んできて咽返ってしまう。


「な、何を飲ませた!?」

「何だと思う?」


 そんなもの、一つしかない。あの薄桃色の液体……惚れ薬だろう。

 どうなっている? エキドナが飲まし損ねたのか? いや、彼女の優秀さから考えればそんなことはないだろう。むしろ、この男に惚れ薬に対する耐性があるのではないだろうか?


「俺が飲んでいたコレがなんだか知っているか? 騙されて飲まされたんだがな」

「なぜ、お前に効果が無い?」


 エキドナは飲ませることには成功していたようだが、ゼディスに効果は無い!

 心当たりがある。この男は私に『好意の矢』を撃ち込んでいる。あれの正体は不明だが、人や魔族の心を操っているのだ。現に私がこれに犯されている。でなければ、こんな男に行為など……。ダメだ、だんだん考えられなくなってくる。

 目の前の男の顔や体から目が離せなっていく……そうじゃない、免疫だ。この男は惚れ薬に対する免疫があるのでは……だから、私だけがこんな辛い思いを……。


 目眩がしてくる。

 ゼディスに引っ張られて、ベットへと運ばれていく。






 ルリアスが小屋に入ってから数時間。そろそろ、ゼディス様とルリアスの様子を確認した方がいいかとおもうわけですが……。まだ、ヤッているとしたら、ゼディス様はともかく7魔将と言えどルリアスの体力が持つとは思えません。

 それに、上手くいったのなら私にもご褒美を頂かなければ割に合いません。

 どちらにしろ、ルリアスが張った結界のおかげで、しばらくは誰も入ってこれないでしょから、私も楽しませてもらいましょう。


 蛇の足で音を立てず気配を消して、素早く小屋に近づいていきます。万が一、ルリアスがゼディス様を虜にしている可能性も考えて、慎重に行動するべきでしょう。

 もっとも、そんなことになるはずもありませんが……。なにせ、惚れ薬と偽って飲ませていますが、あれはゼディス様の魔力を薄めたモノ。

 おそらく、勘違いした脳は肉欲に溺れ、魔力により精神も乗っ取る。まさに身も心もゼディス様に逆らうことが出来なくなるハズです。これで、抵抗する力が残っているとすれば、私の読み違いとなるでしょう。

 その場合の次の手も考えていないわけではありませんが、大丈夫でしょう。


 少しワクワクしながら、小屋の外からそーっと窓を覗いてみます。すぐには見つかりませんでしたが、かなり凄いことになっているようです。部屋の中は荒れ、あちこちでヤッたようですね……ごくっ……。

 はやる心を落ち着けて、ルリアスを探し出します。ベットに倒れています……ピクリとも動きませんね。おそらく、気を失うほど凄いことを……。

 もっともゼディス様は外道なのでそれ以上にヤッている可能性もありますが、これなら小屋の中にはいてもルリアスが起きることはないでしょう。いいえ、起きたところで無害。


 ゆっくりと扉を開け中へと入って行きます。

 中にはゼディス様が椅子に腰を掛け、水を口にしております。まだまだ余裕があるようです。さすが私のご主人様。


「おう、ここまでは作戦通りだが……これから、どうすればいいんだ?」

「もう十分です、ご主人様。むしろやり過ぎともいえますね。これでルリアスは身も心もご主人様のモノです」

「そういわれても、いまいちピンっとこないんだが……」

「ご主人様自身、自分の力をよく理解していらっしゃらないようですね。ご主人様自身に中毒性があるのです。一度、抱かれただけで、脳が働かなくなるほどご主人様を求めずにはいられない。それをここまで激しく行われたら……」


 周りの状況を確認する。

 どんな、命令でも聞くだろう。ご主人様の為なら何でもすると思える。それに7魔将だ。ご主人様以外のことなら冷静な判断ができるだろう。

 ニンジンさえぶら下げれば馬の手綱を引くのはそう難しくはないだろう。私でもご主人様を餌にすれば、7魔将のルリアスを扱うことが出来そうだ。


「これで、魔王より俺に忠誠を誓うと思うか?」

「思います」

「ずいぶんあっさり肯定するなぁ」

「問題は、他の7魔将ではないかと……」

「うん? 言ってなかったっけ? 他の7魔将はもう味方で俺の言うことを聞いてくれるよ。ある程度は」

「……」


 そういうことは早く教えて欲しい。その場合、私が色々準備しなくとも最悪の場合、力づくでどうにでもなるんじゃないだろうか?


「ゼロフォーは力ずくでなんとかしたし……」

「……」

「こちらの方がスマートだから、良いと思うよ。いや、ホント、ホント。何か怒ってない?」

「別に怒っていませんが……」


 怒っていませんが、本当にもっと楽な手がいくらでも思いつくのですが、考えるだけ無駄なのでやめましょう。


「疲れてるね~」

「おかげさまで……ですが、これはご褒美を頂ける状況なのでしょうか?」

「そりゃぁ、お前の手柄だからな。好きなだけ褒美を取らそう!」


 私が手伝わずとも、ゼディス様だけでもなんとかできたと思うのですが、頂けるというのであればゼディス様から甘美な果実を頂きましょう。

 それはもちろん、ルリアスなどに負けないほど愛してもらえるなら、それに越したことはありません。とっくに私はゼディス様中毒なのですから……。

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