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遺跡から出た後の相談

「神託です。」

「ウソつけ!」

「説明、面倒臭ぇーんだよー」

「これは重要なことだと思いますから、ゼディス様ぜひともご説明を……。」


ゼディスの言葉に注目が集まる。本当に面倒臭そうだった。


「色々と言えることと言えないことがあるんだが……。」


と前置きをする。もちろん魔力のことは説明できない。

ゼディスは善人ではない。

どちらかと言えば悪人である。卑怯な手段で女性を恋に堕とすことに躊躇いはない。

だが、これはあくまでも手段なのである。


「本当に面倒くさいな……。どこから説明しようか。

そもそも、考古学者だった。いや、考古学者というには大げさだな。

ただ、単に古城や遺跡に興味があったと言った方がいいだろう。だから冒険者になった。

ある遺跡で魔王に関する壁画を発見した。」

「千年前の大戦の壁画じゃな。」


髭のドワーフが納得しながら口を挟む。


「いや、違う。おそらく2千年前のモノだろう。」

「え!? それっておかしくないですか!? だって……。」

「おかしい……そう考えるのが普通だ。そして、千年前の文献をある洞窟で見つけ前の遺跡の壁画と照らし合わせてみた。」

「話がかみ合わないわけね? 要するに千年ごとに魔王が新しい7魔将を連れて地上に這い上がってくる……そんな結論に達したわけね。それで今がおよそ千年後……新しい7魔将を連れた魔王が出てくるだろうと……。そして目の当たりにしたってことね。」


エイスは合点がいったというよだ。だが、目はゼディスを疑っている。

ゼディスは短くため息を吐くと話を続ける。


「そんなわけで、神様にすがったわけさ。7魔将を倒すための力をもらうようにと……。」

「まて!おぬし、7魔将を倒せるほどの力があるのか!?」

「7人の勇者の力を受け継いだ者たちを探すように言われた。そしてそいつらを仲間にする力を与えられているわけだ。」


本当は色々と間違いがある。7人の勇者の力を受け継いだもののほとんどが、女性だと知った時に入信してピンク色の魔力の祝福を受けた。

もちろんタダで入信をさせてくれないので、それなりの代償は払ったが…。

それのおかげで、見つければ仲間にしやすい。


「ワシも入信したいんじゃが?」

「あー、ドンドランド。それは無理なんだ。ウチの神様一人に対して一人の信者しか受け付けてないんだ。一神一体!」

「意味……違いますよね~」

「だから、俺が信者であり大神官であり、唯一の信者となる。」

「しかし、それだと神の力が弱くなるんじゃないか?」


ドキサの疑問は当然のモノだった。

神は信仰心を力に変える性質のものである。信者が多いほど信仰心が多く集まり魔力も大量に捧げられ、それを神聖魔力や奇跡の力などに変換して信者に与える。


「まぁウチはマイナーだから、力はあんまないけど、力を受け継いだ者たちを仲間にする事には長けているから問題はない。というか、仲良しに出来るうちの神様じゃないと勇者の力を受け継いだ者たちを仲間に出来ないだろうな。」

「うん? なんでですか? 世界のピンチならみんなすぐに仲間になるんじゃないんですか?」

「戦争してなきゃね。」

「なるほどな。」


魔族が出てきたという噂があるのに、この前まで戦争をしていたわけだ。

しかも、勇者の弟子の一人がすでに争っている。敵国に勇者の生まれ変わりの王女がいるのにだ。

もっともすでに停戦にはなっているだろう。


「そこで、本題に入りたいんだがいいかな?」


面倒臭いがこれは言わなければならないとゼディスは休憩場所に座りなおす。

なんとなく、緊張感が場の空気を張り詰める。


「ここに勇者の力を受け継いだ者がいる」

「!?」「!?」

「エイスの事か。彼女は弟子というだけで…。」

「エイスはもちろん。ドキサとショコもだ。」

「!? 待て! 待て! 待て!! ありえんじゃろ! こんな簡単に3人も揃うなんて!」

「それに王女様も勇者の生まれ変わりとかだと、都合よくこのあたりに集まり過ぎな気もしますぅ」

「いえ、そんなことないわ。」


指を振りながらエイスが自分の考えをまとめる。


「もしも、ここが魔王の城だったのなら、それを監視するためにそれぞれ国を作ったのよ。

むしろ近くに集まっている方が自然。力を受け継ぐ者もこの近辺に限られてくるはずじゃないかしら?」

「ムムッ。たしかにそう言われてしまえばそうだが、ドキサとショコが運よく一緒に見つかるというのはどういうことじゃ?兵士なんてラー王国だけでも何万といるぞ?」


さらに兵士じゃない可能性もある。現にアルスの生まれ変わりとされるのは女王。

平民などに生まれ変わる可能性すらある。


「偶然……と纏めるのは無理があるが、俺が助言をして人事異動をするように仕向けていった。

あの中隊長に現在の状況を聞かれた時、それとなく指摘しておいた。力とスピードがあれば……みたいなことを言って…。」

「待って、そうするとその時から私たちが怪しいって思ってたの?」

「昔話をかき集めた結果だけどな。」


他の町で情報をかき集めていた。例の方法で……。

ドキサとショコの過去を……。大した過去ではなかったが可能性は高いと踏んでいた。

それから、同隊に入り観察していた。それから他の情報として入ってきたのがエイス。

だから、仲間を助けるのと同時にわざと捕まりエイス本人に会ってみたわけだ。

想像以上にエイスはエリスに似ていた。女性と男性の差はあれど……。


そしてこの洞窟が昔の魔王の城だと思った時には、3人が7人の勇者の力を受け継ぐものの可能性がいかに高いか考えるまでもなかった。


「しかし、私は今はお前たちの敵だ。一緒に行動するつもりなどない。」


エイスが残念そうに首を振る。結局はそうなってしまうのだ。

それでも力を借りないわけにはいかない。結論は力づくということになる。

そのために、必要な力は自分の私兵団にしてしまうのが手っ取り早い。

王国に仕えるのではなく、ゼディス本人に仕えさせてしまえばいいのだ。


(おぬしも悪よのう……いえいえ、お代官様ほどでは……。)


などという脳内会話を一人二役で続ける。


「たしかにそうだ。だが、バラバラに勇者の力を受け継いだ者が闘って勝てるもんではないぞ」


ドンドランドが一致団結を訴える。

その間に魔力を少し強くして、部屋の中に充満させていく。

少しエイスは異変を感じたが、わずかな違和感は会話の中で、すぐに忘れられていく。

ドキサが畳み掛けるように話す。


「確かに敵国だったが今はそんなことを言っている場合ではないだろ!私もこの神官を尋問した後、軍に7魔将の存在を明らかにして、ゼディスに同行していくつもりだ。

彼は仲間を集める能力を神様から授かっているなら好都合じゃないか。」


そう言えば敵の神官捕まえていたなーと、猿ぐつわをされている神官を眺める。

ゼディス一人だったら忘れていたかもしれない。


「そうですよ! ゼディス様は良い人です。是非一緒に仲間を探しに行きましょう!」


なんだかテンションが上がってきているのがわかるエイス。

だが、それが変だとは気付けない。

まるでお祭りの中にいるみたいに身体が熱くなりハイな気分になっていく。


「確かに彼には興味深いところはあった。」


そう話しているうちに自分の言葉が確信へと変わりゼディスに興味が湧いてくる。


「もちろん、私も7魔将を放っておくつもりはない。そうね。確かにそうだ。

いいでしょう。でも私も自分の立場や領地があるからおいそれとは行けない。

準備をしなければいけない1ヶ月……半月時間を頂戴。

それまでに領地の経営を他の人に任せて、国内の内政に出来るだけ信頼できる人に移して……あと、フィリップ将軍の死を魔族の責任にして……。」

「ん?そんなことが可能なのか?」

「フィリップ将軍の死が魔族のせいになった方がゼディスも助かるでしょ。それに国としても魔族に対して弔い合戦という名目も付けられるし、休戦もしやすくなる。ひょっとしたら同盟すら考えられる。」


彼女が言うにはゼディスがフィリップの首を刎ね逃げた後、すぐに魔物の軍勢に襲われたらしい。

エイスはゼディスが出ていって時間を空けようと思ったが、そこに隙が出来た。

敵の急襲に気づけず、一気になだれ込まれ捕まってしまったらしい。

だから、ゼディスが逃げたときにすぐにユニクスの追手が出てきたのは、ゼディスにではなく魔族を探してのことだったのだ。


「もう少し時間をかけるつもりだったんだけど、申し訳なかったな。」


エイスが済まなそうにゼディスに言う。構わないというとホッとしたような顔になる。

魔力が浸透していっている。

ドンドランドはエイスが大人しくゼディスの言葉を聞いていることに驚きはしたが、神様の能力だろうと勝手に納得していた。

とりあえず、半月後ココの洞窟前に集合ということで話を付けると、休憩を終えみんな立ち上がり出口を目指す。

色んな死体が転がっている道を通っていく。

エイスは彼らの力を感心していた。正確にはゼディスのやることが好意的に見えるようになっていた。


(彼らはどうやら実力もあるようだな……できれば私の部下に……なんなら副官に誘ってみるのも……)


だいぶ魔力がエイスを蝕んでいったらしく眼差しが熱くなってきている。

ショコが面白くないと言った顔で睨み付けると、慌てて顔を反らす。

ドキサはヤレヤレと言った感じだ。だが彼女も気にならないわけではないようだ。


「ところで どーすんの? ゼディス達は? 私たちも今回のことの報告と7魔将の討伐に派遣してもらうように頼んだり、駄目だったら除隊したりと忙しいけど……。」

「ふむ、ワシはもう少し冒険者ギルドで働いておこうと思っておる。」


冒険者ギルドで働くのが妥当な選択だろう。

今回のゴブリン退治でお金は入るだろうがそれでも安心して暮らせるほどではないだろう。

エイスはゼディスに声をかける。


「もし行く当てがないなら、少し私のところに寄っていかないか?」「そんなのダメです!」


即答でショコが拒絶する。


「待て。お前に聞いているわけじゃないぞ。ワードック。」「ダメなモノはダメー!!」


エイスとゼディスの前に立ちはだかるショコ。

ゼディスは行先は決まっていると言って、エイスの申し出を断る。


「まぁ、半月後にまた会えばいいだろう?

俺は剣神アルスの生まれ変わりの王女様に会って来ようと思ってる。」

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