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エピローグ

 第二次魔将大戦が終わってから一年の歳月が過ぎていた。


 だが、戦火の爪痕は酷く、どこの国もまだ完全復興には至っていない。

 あの大戦で出てきた魔族はアンデットと高を括っていたが、時間が経つにつれ凶悪なアンデットも多く徘徊していたため、壊滅した村や街も少なくない。

 人々が蘇っても、壊れた村や街は戻らない。それでも人々は逞しい。徐々にではあるが確実に元の……いや、それ以上の国にしようと努力していた。


 王が代替わりしている国も少なくない。

 というか、大きい国は大体、新王体制が敷かれている。

 一つの要因は、魔族が北側にいくつもの国を作り、人間たちと共存を始めたため、、古い王たちでは国交を結ぶのが難しいと考えられたためである。


 グレン王国はリン女王陛下からリンリル王女が新女王へ。

 いまだ、婿となる男は決まっていないらしい。が、引く手あまた。ただ、どの男も寄せ付けないようなそっけない態度である。

 現在は城が崩壊しているため、個人宅の屋敷を借りそこから指揮を執っている。

 個人の屋敷と言えど、かなりの大きさがある。別名『テレサの王宮』と呼ばれる場所だ。

 守護霊に守られているという噂もある。

 騎士団に新たに将軍が加わっている。ドワーフの将軍である。

 それと、城より先に新しい神殿が立てられている。管理者は女性の大神官。今大戦でも活躍したことと、人々の心の支えになるように……とのことだ。


 グレン王国の同盟国、エルフの王国。ここの新王も女性だ。

 七人の勇者の一人だということだが、もともとはユニクス王国の将軍だったらしい。前王が『是非とも』ということで、彼女は渋々承諾した。

 というか、了承せざる得ない状況だった。エルフを纏めるのにどうしても名声が必要だったからだ。

 大戦中、もともと数の少ないエルフがさらにバラバラになってしまい、孤立しがちなのを、大陸中に彼女の名を使い集めることが目的の一つだ。

 集まってから、エルフの村なり、街なりを作っていった方が効率がいい。

 彼女は、女王というわりに玉座に座っていることがない。ほとんどは現地に出て指揮している。

 おかげで、側近は彼女を探すことに苦労をしている。


 ユニクス王国の新女王はドワーフだった。

 彼女は愚痴は多いわ、手は早いわで、過激な女王として国民に親しまれていた。親しまれているのである……。彼女もエルフの女王同様、現場や街中に出回ることが多い。

 彼女自身は事務作業が苦手で、部下にさらに手の早い上 級 悪 魔(グレーターデーモン)を秘書として置いている。

 人々は恐れていると同時に心強いとも感じていた。子供などは全く恐れることを知らない。

 この秘書のおかげで北部との交渉は上手くいっていると思っている。

 もちろん、女王の功績は大きい。

 おそらく、もっとも多くの人種がいる国になることは間違いない。


 ユニクスの同盟国となるラー王国も女王となる。

 王位継承権第一位は王子だったが、一番下の妹に王位を譲る。

 今回の大戦の立役者、勇者の一人ということと7魔将に顔が効くということからだ。

 どこの国も、勇者を有している国は新王を勇者にしているのだ。ラー王国だけこれを避けると他国に後れを取るのは目に見えている。

 代りに第一王子は宰相という地位についている。いや、第二、第三王子もそれぞれ優秀で大臣や将軍となっている。

 女王の姉は宮廷魔術師に……大戦中からなっている。

 彼女曰く。「あの男? もちろん私の夫にしますわ!」

 姉はプライドが高いから『好意』を表に出さないのだということをあの男は気付けなかったのだ。女王は、自分の中に『あの男の魔力が残っている』と感じていたが間違いではなかったらしい。


 港の王国ベルベッサ

 ここは相変わらず前体制のまま王位の移行もないが、新将軍として獣人の女性を入れた。

 はじめは、将軍という地位でも来る気は無かったらしいが、復興の手伝いをしているうちになんとなく居ついてしまって将軍となってしまった。安定収入が魅力的だとか……。

 友達の国に行こうと思っていたらしいが、彼女にも考えがあったらしい。

 誰かはわからないが、探し人がいるので大陸の色々な場所に情報網を張っていた方が探しやすいだろうということ。

 『彼女を王に』という声も上がったが、さすがに血族でもなければ現王も生きているのにそれはない! と彼女自身が国民を説得。

 ただし、王と対等ともいうべき将軍となっている。王自身も彼女を頼りにしている。


 神聖ドートピオ王国は

 相変わらずの態勢。ただ大神官ゼティーナⅡ世の力が大きくなっていることは言うまでもない。

 現在は王より権力をもっているが、神官たちの政治的権力を抑えつけているのはゼティーナⅡ世自身であり、国民から高い支持率を受けている。

 大戦での活躍により、ゼティーナの再来として、国民に認知されている。

 もっとも、本人はゼティーナ本人はグレン王国にいることを知っているのだが、口止めされているため、国民に対し後ろめたいところもある。


 剣の道を究めようとする少女は

 各諸国を回りながら、男探し……と言うと、男漁りでもしていそうだが『命の恩人というか、酷い男というか……そんな男でござる』と、町や村で語っている。

 村人などは『男に逃げられたのか』と思っていた。

 彼女の腕前は確かなもので、暴れている魔族がまだいる洞窟などでは、彼女に頼めば即時解決として有名なS級ランク冒険者だった。

 噂では勇者の一人ということだが、この辺で見ない格好だということと、男に逃げられたということで、同情がてらに気軽に話しかける人が多かった。


 バベルの塔の図書館

 再生していた……塔と棚は……二人の女性が唖然としている。

 彼女たちがこの塔の図書館を壊したのだが、その罰は、世界を回り全ての本をこの図書館に戻すことだった。

「一体何をいっているのやら……」

「全部って……」

 無限と言って差し支えない数の本である。全部回収など百万回、生き返ったって無理な相談だ。が、コツコツやるしかない。

 運がいいのか悪いのか、この塔からありとあらゆる世界には行ける。

 場合によっては、知ってる人間に会えるかもしれない。

 流石、腹黒い塔だ。やることがエゲツない。ゲッソリとした顔を見合わせながら、世界に通じる扉を開けていく二人。


 7魔将はエールーン王国を乗っ取っていた……というと聞こえは悪いが、エールーンの王政は最悪ともいえる悪政だったため、魔族が乗っ取ったところで国民からの反発は無かった。

 むしろ『好意の魔力』を受け継いでいる魔族たちが仁政を施せば人気はうなぎのぼりというわけだ。

 大半の王族貴族を没落させ、能力のある者を取り立てる方針に変わっている。

 エールーン王国を主に回しているのはダークエルフ。

 もちろん、隣国に7魔将自ら出向き、国交を開き……というよりは、便利屋として派遣されていた。


 北のドワーフ王国ガイナにはアイアンゴーレムが出向き、なにやら新技術の開発をしているらしい。

 デュラハンは野良魔族を退治するのに駆り出されている……もはや、北では名うての冒険者。多国間の将軍とまで言われている。

 一番便利屋として活躍しているのは半身蜘蛛の女性。ほとんど建築家じゃないかというくらい、北にある城という城の修復工事全てに関わっている。

 北の防衛線を巡回しているのは、数多くいるドラゴニュート。人数が多いのと上空から監視できるのとで一役買っている。国民が一番目にする7魔将である。

 逆にサイクロプスの7魔将を除き、一番表舞台に出ないのが上 級 悪 魔(グレーターデーモン)。彼女が7魔将の動きを制限したり、指示を出したり動かしている。


 北の大地は王国が数多く存在していたが、近いうちに7魔将により巨大な帝国か共和国になりそうだとグレン王国より南の国々は恐れていた。


 世界は千年後の大戦にそなえて、地上の人間と魔族が手を取り合い始めた。

 おそらく千年後にでてくる魔王も神魔になることを望んで地上の生き物を全て排除しようとするのだろう……。

 遊んでいるわけにはいかない。

 新しい、対抗策を練らなくてはならない。

 しかし、勇者と7魔将、『聖』と『魔』が手を組めば、どんな魔王も倒せると人々は確信していた。









「デ、ドウイイ訳スルツモリダ?」

「まったくですよ……こんな方法があったなんて……」


 大柄な鬼のようなオーガの女性と下半身が蛇で上半身女性のエキドナが一人の男性を責めたてる。


「そんなこといっても、闘ってる最中に説明する時間なんてなかったから、アイツにバレても困るし……それに『全員蘇る』って言ったけど、ユニクスの王様の体を解体しちゃってるわけだし……」


 エキドナは、男が魔王と闘っている最中に連絡を受けていた。一人ではユニクスの王の灰の封印を解くことができず、男の指示でバベルの塔の番人のオーガに助けを求めた。


 ユニクスの王の灰は、男と魔王の魔力が封印されていた。

 その封印を解くことで、一年ががかりではあるが、この男が再生したのである。


「シカシ、ナゼ魔王デハナイ?」

「魔王がわざと封印させるために見せかけの魔力を先に送ったんだろう。自分の魔力じゃなく、俺の魔力を少しだけユニクスの王に送り光らせて、目を眩ませてる間に他の魔物の体を自分の魔力で乗っ取ったんじゃないかな?」

「私は光に目を取られ過ぎていたわけですね。しかし、魔王が復活する可能性もあったのではないですか? 半分くらいは魔王の魔力だったはずですから……」

「そうならないためにわざわざ『呪壁の指輪』で貫かれるはずの背骨の一部をお前に渡したわけだ。俺の骨と魔王の魔力と俺の魔力があれば俺の比率が増えるから大丈夫」

「それにいつの間に『魔瘴気の指輪』をかすめ取っていたのですか?」

「ソイツは偶然だったんだけどな。羽交い絞めにした時、運よくとれた。魔王が魔法をガムシャラに撃つ際に外れたんで『呪壁の指輪』の転移魔法陣でココに送りつけておいた」


 もし『魔瘴気の指輪』がなければ、目の前の男の復活はもっと遅くなっていただろう。

 魔力を少しずつ吸収し元に戻ったのだが、魔瘴気を当てることで一年足らずで何とかなったのだから……とはいえ、この指輪を使うにも魔力は使う。

 オーガとエキドナの苦労は大変なモノだったことが容易にわかる。

 

「タダ問題ハ、勇者ヤ7魔将タチガコノ状況ヲ知ッタラ大丈夫ジャナイコトダナ」

「殺されるんじゃないですか?」

「……ヤバイかな?」

「ヤバイダロ」

「先に天界に行ってから、彼女たちに話すか?」

「天界にいくんですか?」

「美人とか居そうだろ?」


 呆れるオーガとエキドナ。

 彼の話だと、次に来る魔王は天界の魔力に弱いらしい。しかも魔()王……やりがいがあるとか……。



 まだ、ハーレムの人数が増えていく。

これにて終演。


いままで、お付き合いいただきありがとうございました。


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