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遺跡での最終局面

ショコが扉に向かい走っていった。

そのスピードにドンドランドが驚く。


「おい! 早すぎるぞ! 1人で突っ込んだら…!」


その後をすぐに追うようにドキサが続く。ドワーフとは思えないほど早くタンタンと跳ねるように進む。

とてもじゃないが、ゼディスやドンドランドが追い付ける速さではない。

すでにショコにより扉は開かれ虚を衝かれた連中が立ち上がっている。


「大丈夫だろう。今の二人なら……。とりあえず急ごう。」


軽い感じで走る。






元は王の間だったと思われる広間に戦士数人と盗賊、神官、獣人が今後のことを話していた。

玉座だった場所の上に座っているのはローブを着ている者。

その傍らには気を失ったエルフが手足を縛られ転がっている。


「旦那……そのエルフをどーするんですかい?」


ローブを着た者に対して盗賊が尋ねる。

戦士と盗賊は傭兵だ。お金で雇われているだけで目的などは聞いてはいない。

はじめ「軍を襲う」と言われた時は正気かと疑いもしたが、ゴブリンやスケルトンを大量に抱え込んでいた。その数、100を超えていた。

不意打ちでスケルトンなどを壁のように使い、道を作りエルフ1人だけをかっさらってくるだけの仕事。

それで傭兵たちは1年は遊んで暮らせるようなお金が入ってきた。

もっともゴブリンとスケルトン、それにオーガ数体失うことになったが、ローブを着たモノはどうでも良さそうだった。


「生贄に使う。」


ローブを着たモノは被っていたフードを外す。

ハスキーな声のせいか分かりずらかったが、女性だった。しかも肌の黒いエルフ。


俗に言うダークエルフ。悪魔に魂を売ったエルフである。

一度でも悪魔と取引をすると肌が浅黒くなるらしい。真実は定かではない。

激情的で人の生死に対して無頓着。自分本位でわがままである。

しかし、ダークエルフに身を堕とすとその能力は普通のエルフよりも高くなる。

筋肉や精神力、瞬発力に精霊魔法。どれをとっても上回り厄介な存在だ。


傭兵たちがその姿に驚く。ワータイガーと神官は知っていたらしくクックックと声を殺し笑っている。

何かの拍子で自分も殺されてしまうかもしれないという恐怖。

そして、その美貌と肉欲的な体つきに見とれていた。

傭兵の一人が生唾を飲む。恐怖か肉欲かは判断しかねる。

その様子をみたワータイガーが男の肩を叩き忠告する。


「変な気は起こさないことだ。彼女に手を出そうとした男は首と体が生き別れだ。」


すでに何人もの男を殺している。一応、忠告はしてから殺す。

優しいからではない。少しでも長く戦闘を楽しみたいからだ。

彼女は戦闘狂でもあった。


「このエルフを殺せば魔王が呼び出せるハズなんだけどな。」


ぶっきら棒に神官にその続きを促す。


「問題は場所……。正確な場所がわからなければなりませんからな~」


王の間で間違いはないだろうというわけで、ここまで来ていた。

神官は当然、邪神の信仰者である。

自分の経典を何度も読み返し魔王を呼び出すための書物を再度確認し始める。


そのとき、大きな音を立てて扉が開いた。

一匹のワードックが踊り込んできた。一瞬なんにごとか理解できず立ち上がっただけだった。


そして次の瞬間、傭兵の一人は喉から血を流し前のめりに倒れていく。

ナイフが刺さっていた。

気付くのが遅いと思った。ダークエルフはすでに臨戦態勢はいっているのに傭兵はボーっと突っ立っていたのだ。

二撃目のナイフはワータイガーに飛んだがギリギリのところでかわしていた。


「何をしている! 敵襲だ!!」


神官が声を張り上げたところで目の前に起きている現実を思い出したようだった。

それでも一足遅い。ショコは剣を抜こうとしている戦士の一人に鎧の隙間から短剣を刺しこんでいた。


「クズどもが! 外敵を打ち滅ぼせ! トゥースウオーリア!」


神官が呪文を唱え牙のようなものをまき散らすと、それが武器持参のスケルトン兵士となる。

数は十数体、感情を持たないガイコツ戦士は躊躇なくショコに剣を振り上げる。

難なく後ろに飛び退きその一撃をかわすと、後ろから入ってきたドキサと入れ替わる。


「何体いるのかしら?」


ショコと入れ替わった瞬間、斧を大きく横に振る。

スケルトンは盾でそれを受け止めようとした、が、そのまま真っ二つにされる。

そして、その斧を返すようにして向かってくるスケルトンも上から振りおろし破壊する。


振り下ろしたときに一瞬の隙が出来たように見えた盗賊がナイフを投げようとしたが、それを見計らっていたショコが先にナイフを投げている。

その隙はワザと作られたものだと気づいた時には盗賊は事切れていた。


「チッ!ドワーフとメス犬だ!油断しなけりゃたいしたことねぇ!」


ワータイガーが叫ぶことで味方の士気上げる。確かに立った二人だ。

不意をつかれただけだと思いなおせば一時的にも勝機を感じることが出来るだろう。


ダークエルフはあの二人の前では自分以外まともに太刀打ちできないであろうことを悟っていた。

神官とワータイガーもいるが彼らでは役者不足だ。


神官の作ったスケルトンはドワーフの一振りで壊されていき、傭兵たちもメス犬に倒されていく。


「死に晒せ! メス犬!」

「ネコ科のくせにイヌ科に勝てると思ってるんですか!」


鋭い閃光で円を描くように放たれたワータイガーのバスターソードの一撃を横にかわすと、ショコは間合いを詰めていく。

短剣を突き刺そうとしたが、わずかに身体を捻ったため鎧に当たり短剣が折れて、すぐに飛び退く。


「そんな短剣じゃぁ、鎧の隙間を縫うなんてそう簡単に出来ないぜ。」

「困りましたね~。」


ショコは顎に指をやり小首をかしげる。

その態度が癇に障ったのかワータイガーはバスターソードを右へ左へ振り回す。

それでも、ショコには当たらない。紙一重でピョンピョン跳ねながら後退していく。

だが、途中からワータイガーの攻撃のスピードが上がり頬をかすめた。

風邪の精霊魔法がワータイガーにかかり速度が上昇している。

それだけではないバスターソードがかなりの高熱になっている。

そのことにショコは気付き、ダークエルフを睨み付ける。


(あのダークエルフ……2種類の精霊魔法を同時に使用できる!?)


呪文は一回の詠唱で一つ、それが基本的な呪文だ。

二つ同時に使うには、二つ同時に唱えるしかない。そんなことが可能なのだろうか?

疑問に思ったが、今は目の前のスピード攻撃力の上がったワータイガーの方へ意識を集中した。




神官の周りにはスケルトンがいる…ドキサは先ほどまで一撃で屠っていたが今はそうもいかなくなっている。

スケルトンに土の防御魔法がかかっている。

神官がかけたのではないだろうと思っていた。

すでに目の前の神官はスケルトンを出すことで疲弊しきっている。

スケルトンを押し切ってしまえば、神官はもはや戦力としては成り立たないだろう。


「ダークエルフか……。」


だが、いまのドキサからすればスケルトンの防御力が上がったところで、面倒が少し増えた程度だった。

動きも見極められ、回避も余裕を持って行える。

しかし、精霊魔法をかけたばかりのダークエルフから水の矢が飛んでくる。


「チィッ!」


スピードも威力もある。直撃こそ避けたものの肩当てが粉々に吹っ飛んでいる。

雑魚を片付けてからダークエルフと闘いたいが上手くいかないもんだと嘆く。

が、その瞬間スケルトンが突然破裂したかのように、バラバラと砕けだす。


「ジャジャーン! ターンアンデット!」


ゼディスがポーズを決めてスケルトンを破壊していたのだった。


「そのポーズ……ダサいわよ。」




残った傭兵たちはワータイガーの加勢をしようとしていたがドンドランドによって倒されていた。

そもそも敵がいきなり入ってきた女性二人だと勘違いしていて、ドンドランドが来たとき対応できなかった。

残りはダークエルフとワータイガーそして神官だけだ。


「ドンドランド! 俺があのダークエルフと対峙する!」

「ワシはエルフの娘を助けよう!」

「私がたかが1匹で引きつけられると……!?」


途中でダークエルフは言葉を切り、ゼディスを見て、目を丸くする。


「なんだ、貴様は…!?」

「それは……こっちの台詞だ。お前、ただのダークエルフじゃないな。」


周りが事態を飲み込めず、闘いながらもその状況を気にする。

そして、ドキサとショコは気が付く。

自分たちがゼディスの力で他人の体から発する魔力を見れることを……。

ドンドランドとワータイガーはほとんど魔力を持っておらず、わずかに光が漏れる程度。

神官は、まだ魔力が残っているらしく糸のように身体から光が出てくる。

そして、ダークエルフは信じられない量の光を発している。だが、それに対をなすようにゼディスも大量の魔力を放っている。

両者の魔力は同等に思えたが、力を開放していない状態では計り知れない。

そんなことよりも、ダークエルフが驚いたわけはゼディスの魔力だけピンク色の魔力である。

ダークエルフが驚くほど異質なのか、初めて見るので理解しがたい。


とりあえず、ドキサとショコは目の前の敵に集中することにする。


ゼディスはダークエルフを見て、その魔力の多さに感嘆する。


「お前、新しい7魔将だな……。」


ゼディスとダークエルフ以外の人間がギョッとする。

神官もワーウルフさえも7魔将だとは思いもしなかったようだ。

その昔、滅ぼされたはずの7魔将が蘇ったのかとも思ったが、「新しい」という言葉に違う7魔将なのだと理解する。

しかし、そんなにポンポン、7魔将は出来るのだろうかという疑問もあった。


「そうだとして、貴様は何者だ。見たことのない魔力をまとっているな。」


神官やワータイガーはもとより、ドキサたちもさほ「見たことのない魔力」には興味が無かった。

それよりも、7魔将インパクトの方が遥かに大きい。

だが、ダークエルフだけは違った。

力を抑えているとはいえ、自分と対等に見せるだけの魔力があるなど7魔将として許しがたい。

それどころか、見たこともない魔力など馬鹿にされているような気分になっている。


「貴様の力見せてもらおうか!」


手の平を前に出す。

そこで初めてわかる。彼女の手のひらには「口」が付いている。魔法か魔法のアイテムかはわからない。

同時魔法詠唱は3ついっぺんに行えるわけだ!

火と風の混合精霊魔法がゼディスめがけて飛んでくる!


「外敵から我が身を守れ! プロテクション!」


身体の周りに魔法の防御壁が精霊魔法より早く組み立てられる。

が、その防御壁は風により穴があけられ、炎の矢がゼディスに突き刺さる!

ダークエルフが高笑いをする!


「それくらい読んでいたさ!!」

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