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ほのかにチェリー

バトンで比喩法と擬人法について、質問あったので、


「マグカップとトースターの桜色の恋?」


と書いたら、その話読みたいと言われました。


あ〜…ノリでしたがまあ、…やってみるか。



☆★☆



『比喩法と擬人法の設問からの物語。


ほのかにチェリー』



 桜色のマグカップは、トースターに片思いをしていた。


 陶器の自分は、熱を放つ事はない。


 しかし彼は、電熱線をたぎらせ、情熱をほとばしらせる、爽やかで熱い男だった。


 どこか古風な、それでいてどこにでもいそうな、風景に埋没しがちな、無骨な男。


 しかしひとたび熱くなると、その情熱で周りをも熱くする、一途な男でもあった。


 がしゃん、とレバーが下がり、スイッチが入る。電熱線のうなりが低く静かに始まる。


 そのうなりはやがて、ぶんぶんとした歌になり、大気を震わせながら響き、広がってゆく。


 ゆるやかに大気の色が変わる。奇跡のような、その情景。


 そんな彼の熱さは静かにマグカップに伝わって、冷たい彼女をも温めてくれていた。


 はらはらと、ほろほろと。


 日々、熱は伝わる。歌のように。


 はらはらと、ほろほろと。


 日々、熱は降り積もる。春の日に桜が舞い散り、降り積もるかのように。


 マグカップの中に、暖かさと、切なさを降り積もらせる。


 はらはらと。

 ほろほろと……。


 今日もマグカップは、ほのかな桜色に己を染める。


 寄り添うようにトースターの側に並び、彼の歌を受け止めて、己が身を深く輝かせる。


 静かに深く。

 ただ、優しく。


 はらはらと、ほろほろと。


 花びらが、降り積もるように。





えんど。





比喩法+擬人法。まゆさん、書いたよ〜



2010年 11月 16日活動報告「リクエストあったので」より。




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