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活動報告小話集。  作者: ゆずはらしの
どうやらギフトらしい小話
1/6

BLに挑戦。(妖精たちのいるところキャラ)

煮詰まりました。


妙なギャグばかり出て来るのに、本編進まない。


そういう訳で、(どういう訳)BLに挑戦してみました。ただし、ゆずはらの書く物ですので、あんまり期待しないように。



『妖精たちのいるところ』キャラでBLに挑戦。

サブタイトル、「桂まゆさんデビュー良かったね記念SS」



……こんなのデビュー記念にもらっても、あんまりうれしくないかも。



登場人物


瀬尾隆志

トリスタン

触手



☆★☆



 隆志は眉間に皺を寄せ、目の前でうごめく、ぬるつく群を見下ろした。

 触手だ。

 どう見ても触手だ。それが山ほどいる。

 穏やかな日差しと緑美しい妖精郷に、それは恐ろしく不似合いに見えた。


「ってかこれ、どうしろって言うんだ」

「私の配置もよくわからないね」


 トリスタンがにこやかに言った。白い妖精の騎士は、隆志と触手を見比べた。


「鬼畜、という役所らしいが。私の役はただ、君達を見ているだけのようだ」

「見てるだけ?」

「そうらしい。見るより、する方が楽しいと思うのだがね」

「するって何を……や、良いから。言わなくて。で、何なのコレ。俺は何すりゃ良いわけ」

「そこの触手と戯れれば良いらしい」

「戯れって……」


うねうねにょろにょろずるずる。


 何かを期待するように、触手が一斉に震えた。隆志の眉間の皺が深くなる。


「ヤなんだけど」

「君が動かないと、話が終わらないよ」

「見てれば良いだけの奴は、楽で良いよな」

「私もそう思うよ。何なら、私と逃避行するかね? せっかく出て来たそれには悪いが」

「悪いなんて、微塵も思ってないくせに白々しい。放置して大丈夫なのか、これ。って言うか、何なの、こいつ」

「人の想念が凝った物さ。主に女性」


 隆志が沈黙した。次の瞬間、愕然とした風に叫ぶ。


「女の子がこんなモン、何で想像するの!?」


 おそらく、腐のつく女性たちの物であろう。しかし女性に何やら夢を抱いている隆志には、衝撃が大きかったらしい。


「はあ。まあ良いけど。でもさ、逃げられるの? なんか俺、ロックオンされてるっぽいんだけど」


 触手は明らかに、隆志に狙いを定めていた。隆志が右に動けば右に、左に動けば左に、一斉にうぞうぞとうごめく。


「この想念が生まれた目的は君だからね。ああ、大丈夫。放置しても別の誰かを区別なく襲うだけで、満足したら消えるよ」

「それじゃ、逃げられないだろ!」


 うがーっと叫んで髪を掻きむしると、隆志は顔を上げた。


「俺が相手してやりゃ良いんだな……ああもう仕方ない」

「相手をしてやるのかい」

「うん、もう良いや。考えるのめんどくさい」


 そう言うと躊躇なく、ずかずか触手の群の中に歩を進める。


 どかっ。

 ぎゅむっ。

 べしっ。


 思いきり蹴飛ばし、踏み付けながら。


「容赦がないねえ……」

「コレに容赦する必要があるか」


 どかっ!


 押し寄せた触手を回し蹴りで地に這わせると、口の端を上げ、不敵な表情で隆志は言った。


「相手してやるとは言ったがな。優しくしてやるなんて言ってないぜ」


 その瞬間。


 ぶるぶるぶるぶるっ!


 触手の群が一斉に震えた。


「何?」

「あ〜あ。スイッチ押しちゃったよ、君」


 なぜか頬を染め、トリスタンが言った。


「は? スイッチ?」

「わからなくて良いから。がんばってね」

「え……うおわっ!」


 いきなり勢いを増して押し寄せ出した触手を、隆志は蹴り倒し、踏み付けた。げしげし踏み付け、踏み付け、踏み付ける。勢いは良いのになぜか、触手たちは呆気なく倒される。

 倒されてもまた起き上がり、踏まれに行くのだが。


「まだ来るかっ!」


 どかっっ!


「しつこいんだよっ!」


 がしがしっ!


「寄るな触るな気持ち悪ィィィィィッ!」


 どけぐしゃがしっっ!


 蹴倒され、踏み付けられ、罵倒されて触手は、ふるふると震えた。


「がんばれー」


 生温い笑みを浮かべてトリスタンが言う。ぜえぜえと荒い息をつきつつ、振り向いた隆志は、ぎっと睨み付けて叫んだ。


「がんばりたくないわ、こいつら、Mかーッッッ!」


 叫ばれ、隆志の足の下で触手が震えた。心なしか、恍惚としているようだ。


「だからさっき、スイッチ入ったって言っただろう? さっきの微笑がやっぱりねえ。色っぽくて」

「俺に色気なんかあるかーッ!」

「え〜? あるよ。私でもドキドキしたもの。免疫ないお嬢さんがたには、衝撃だったと思うよ」

「何の衝撃!? 何の!?」

「蔑む眼差しに冷笑。優しくしてやれない、なんてセリフ言われたらもう……お願い、もっと蔑んで〜! って言いたくなるよ」

「おまえらの趣味に巻き込むなッ! 俺はノーマルだーッッッ!」


 げしげしげし。


 悶える触手。踏み付ける美青年。眺める鬼畜設定らしい、妖精騎士。


「なんで俺の周りはMばっかりっ! 寄るなって言ってるだろ、馬鹿触手ッ! 何が楽しいんだ貴様らーッッッ!」

「君の資質の問題じゃないかね」


 もう嫌だーッ! と泣きながら踏み付け続ける隆志に、トリスタンはぼそりと言った。だって君、なにげに女王様気質だし。


「まあ、あれだ。足の裏には、ツボがたくさんあるらしいし」

「青竹踏みかいっ!?」

「体には良いのではないかね?」

「精神には大打撃だよ! 自発的に踏まれに来る青竹の群だぞ、しかも喜ぶんだぞ、踏むと!」


 確かにあまり、見たいと思うような物ではない。

 トリスタンはちょっと、首をかしげた。

 そして、言った。


「ファイト〜」

「それだけか!?」


 何気に鬼畜である。方向性がちょっと違っているが。


「そういう奴だよおまえは! だあもう、寄るんじゃない泣くぞ俺はああああああッ!」


 げしげしげし。


「平和だねえ」


 トリスタンは微笑んだ。妖精郷はとりあえず、今日も平和だ。




fin.



※禁断の、触手受け。



そういう訳で! 桂まゆさん電子書籍デビューおめでとう(^O^)/


存在意義が健康サンダルな触手ですが、もらって下さい!



2009年12月18日活動報告「突発小話。BLに挑戦。~桂まゆさんに捧ぐ」より

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