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服が着られなかったマリアはシーツの両端を首の後ろで縛ったちょっと見膝丈のドレスっぽい見た目に収まった。
「う~む、本当に面倒な者だな人間と言うのは」
「・・・なぁ、俺達が鎧って奴を着たらもっと強くなるんじゃねぇ?」
「ふむ、それも一理あるが、我等用の鎧は存在していないのではないか?」
「ああ、そうか・・・そもそも俺達身体の大きさも違い過ぎるし全員分とか無理な話か」
「うん、まぁ無理だかラ今後の話でもしようか。先ず縄張りの事なんだけど、何処から何処までなのかナ?」
先ずは縄張りの明確な範囲を決めた方がいいだろうと話を始めた。
「この山を中心とした周囲の森の全てですな」
「それって結構な広さだと思うけド全部必要なの?」
北とは揉める事になるだろうし、場合によっては譲歩する事も検討しないとね。
「必要とは言いませんが長期的に見て食料を得る事が不可能になる可能性が有りますな」
「ああ、そうか。う~ん、いっそ壁を作っテその中に獣を飼って増やした方がいいかもしれないなァ」
「「「「「かべ?」」」」」
皆は壁が何なのか解らないらしいので実際に見せる事にした。
「え~っと、今全員山頂に居るネ?」
「はい、居りますが?」
「じゃ、その場かラ動かないように・・・・・『アースウォール』っと」
探査魔法で周囲を調べ山頂の平らな部分を高さ3m程の壁で囲った。
「「「「「おお~」」」」」
「とまあこんな感じで囲っタ中に同じ獣を入れておく訳。そうしたら勝手に増えてくれるでしョ」
「成程。そして減り過ぎない程度に食べると言う訳か」
「流石ロビー殿。俺等じゃ思い付かないですよ」
「・・・済みませんロビー殿。俺が言えた義理じゃないんですけど、先に縄張り全部を囲う訳にはいきませんか?」
皆が感嘆の声を上げる中、狼さんが提案をしてきた。
「おいおい、それは流石にロビー殿の負担が過ぎるだろう」
「で、でも・・・・・」
白竜さんが狼さんを諫めようとするが狼さんは何か懸念があるようだ。
「ん~?ああ、北の連中が攻めて来る心配をしてるんだネ?」
「はい・・・・・」
「ん~・・・ちょっと待ってネ・・・・・」
確かに狼さんの言う事も一理あると、探査魔法の範囲を限界まで広げてみた。
ここを中心に北側の森の切れ目までは届かないが他の切れ目までは何とか届く。南は友好的みたいだし、探査範囲の少し内側を高めに囲えば外部からの侵入はほぼ不可能だろう。
「いけそうだね。高さは~・・・赤竜さんより高くするけどいいかナ?」
「・・・・・可能なので?」
「高さは赤竜さんより少し高い位デ厚さは赤竜さんの横幅位ならなんとカ」
一番体が大きい赤竜さんが高さ8~9m横幅5m位だから彼に合わせて高さが12m厚さ7mで魔力消費を試算してみたがなんとか行けそうだった。
「その、ロビー殿がやると言うのであれば否は無いのですが、それ程の魔力を一度に使用した後のお身体の方が心配なのですが・・・・・」
「そうですよ!俺達のためにロビー殿が倒れるような事が有ったら俺達ゃ・・・・・」
「心配はいらないよ。僕は無理はしないシ、出来ない事は出来ないってちゃんと言うかラ」
ほんと皆優しいんだよなぁ。
「ですが・・・・・」
「う~ん、解った。じゃぁ四回に分けようカ。それなら負担も少ないし、皆も心配いらないでしョ?」
「それなら・・・・・」
「まぁ・・・・・」
とまぁ、皆の優しさに譲歩して渋々だけど納得してくれたので翌日から北、東、西、南の順に四日掛けて縄張りの外壁を造り、更に四日掛けて飼育場を東西南北に設置した。
そして飼育場へ入れる獣を皆が集めたりしている内に南の代表者、クライブさんとの対話へと赤竜さんと向かう日がやってきた。
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窓の隙間から差し込む朝日に起こされて突っ伏していた机から頭を上げる。
副長はまだ寝ているがまあいいかと冷め切ったポットからお茶を入れて飲んでいると短く声を上げて副長が目を覚ました。
「・・・ぅ・・・・・」
「おはよう副長。先ずはこれでも飲んで頭をすっきりさせたまえ」
「・・・え?・・・・・だ、団長!」
カップにお茶を注ぎ、副長の前に出しながら声を掛けると副長は驚き声を上げた。
「言いたい事は沢山あるだろうが先ずはこれを飲め。その後簡単にお互いの状況を話し合おう」
「・・・はい、解りました」
「取り敢えずは良くやってくれているようで安心したよ」
そう言ってお茶を飲み始めた副長に私は労いの言葉を掛けた。
「・・・フゥ・・・まぁ、なんとかですが」
「いや、十分だ。では、情報のすり合わせからだな」
「はい」
お茶を飲み終えた副長と情報交換をし、お互いが知らない最新情報を頭の中に叩き込んだ。
「さて副長、これからの最優先事項だが、聖王の確保に尽きる。教会本部内外を徹底的に捜索し、隠し部屋を探し出せ」
「一応隠し部屋の捜索はさせていますし関係者の取り調べも行ってはいるのですが・・・・・」
「解っている。そう簡単に見つかるとは思っていない。最悪教会自体の取り壊しを陛下に進言するつもりだ」
「そ、そこまでですか・・・・・」
「ああ、聖王の、奴の不老不死が如何言った物かが解らん以上は生きていて何かを画策してると見るべきだと思う」
「解りました。聖王の件は国家反逆罪の手配と共に王都中に情報提供を呼び掛けておきます」
「うむ。では、私は陛下へ報告を上げねばならんので後の事は頼む」
「ハッ!」
副長との話を終えて城へと向かい、陛下への面会を取り付けた。
陛下の居られる会議室へと廊下を進む。如何か陛下が判断を誤りませんようにと祈りながら。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




