22
全身を炎に焼かれて私は意識を失った。
あの時〝私〟と言う個人は死んでしまった。
そして柔らかく暖かな光に包まれて私は生まれ変わった。
私がこの世に生を受け、そして一度死の淵に瀕し生まれ変わった全てが定めであり、運命と言う流れの一つだと知った。
全てはこれから起こる新たな時代を築くための序章に過ぎないのだ。
私は私の成すべき事を成すだけ。
それが新たな生を受けた私の使命。
お父さん、一人にしてしまうけど許してね―――
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狼さん達との話も一段落したのでマリアの服を用意しないとと立ち上がった。
「ロビー殿?」
「ちょっと下に戻ってこの子が着れそうな服を探してくるヨ」
「ふくとは?」
「ふくって何だ?」
そこからか~。まぁ簡単にでも説明しとこう。
「あ~・・・人間は身体を護る鱗とか毛が少ないでしョ?だから代わりに服とか鎧とか必要なんダ」
「ほぅ・・・中々興味深いですな」
「弱いなりに工夫してんのか・・・・・」
「・・・ロビー殿、俺等が倒した奴等は顔以外皆同じ見た目だったけど、そう言う事なのか?」
「む、そう言えば我が倒した者達も同じ見た目であったな」
「戦う必要がある人は鎧を着るのが一般的だネ。この子は戦えないかラ服を着て小さな怪我とか病気にならないようにするんダ。戦う人が同じ見た目なのは敵と味方を区別するためなんだヨ」
「「「「「おお~」」」」」
「それじゃ行って来るけど、その子が起きたら木の実でも食べさせてあげテ。間違っても生の獣の肉なんかあげちゃだめだからネ」
「「「「「え?!」」」」」
「人間は生肉を食べると病気になっちゃうんだヨ、それじゃ」
「・・・何か人間て面倒?な生き物だな・・・・・」
「うむ。基本的に我等よりも色々と弱いと認識しておかねばならんな」
白竜さんと赤竜さんのやり取りを横目に室内に入り、扉を閉めて椅子に座った。
「うわアあぁあァぁぁ・・・・・!」
物凄い速度だったの忘れてた・・・つーか、上りより下りの方が何倍も怖かったよ・・・・・
地下に到着し固定具が外れて立ち上がり、カクカクとした動きで部屋を出て研究員唯一の女性のエリンさんの部屋へと向かった。
部屋に着くと所長の部屋同様に鍵が掛かっていたので「エリンさん済みません」と一言謝ってから扉を抉じ開け中に入った。
『なぁに、ロビー。お腹でも減ったの?』
誰も居ない部屋に彼女の冗談が聞こえた気がした。
部屋の中を進み、彼女が使っていた机の前に立つと『ロビーへ』と書かれた手紙が置かれていて、俺は泣きそうになりながら封を開けて手紙を読んだ。
『ロビー、今この手紙を読んでいるのは貴方だと信じてこの手紙を残すわ」
『貴方を一人にしてしまってごめん』
『勝手に助けてこれからは家族だなんて言っておきながら死に目に会わせる事も出来ないなんてほんと酷いわよね』
『酷い序にこれだけは言わせて頂戴。生きて、生き続けてロビー』
『出来る事なら復讐なんて考えずに幸せになって欲しいわ』
『貴方の姉として、母として、貴方の未来が平穏でありますように。エリン』
『追伸。私の下着漁るんじゃないわよ』
「ブハッ!台無しだヨ!最後の一言で台無し・・・じゃねぇか・・・済みませんエリン姉さん、服とか一式持って行きまス・・・・・」
快活だったエリン姉さんらしい手紙に元気を貰い、謝りながら部屋を漁って何とか服やら下着やらを見付け、木箱に詰めて山頂へと向かった。
流石に二回目だし下り程怖くなかったけど、何度も経験したいもんじゃないな、これ。
山頂に着いて扉を開くとマリアちゃんが山のように積まれた木の実や果物に囲まれて、もしゃもしゃと頬を膨らませて果物を食べていた。
「「「「「お帰りなさいロビー殿!」」」」」
「・・・あ~っと、ただいマ・・・・・で、何が有ったのか教えて貰えル?」
確かに治療する前は五、六歳位だったマリアちゃんが如何見ても十二、三歳位になってて困惑して固まり、皆からお帰りと言われて我に返った。
「はい。ロビー殿が下へ向かって直ぐにマリア殿の身体に異変が起き、我等と同様にと言いますか、我以上の存在に変異致しました」
「お初にお目に掛かりますロビー様。私の事はマリアとお呼び下さい」
「・・・・・は?」
赤竜さんからの説明とマリアちゃんからの挨拶を受けて更に困惑と言うか、混乱した。何故なら深々と頭を下げた彼女の背中には一対の真っ白な翼が生えていたからだ。
「え、え~と、取り敢えず着る物を持ってきたから部屋の中で着て来て貰えるかな?」
「はい。ご配慮感謝します」
服の入った木箱を渡し、部屋の中へと入って行くマリアちゃんを見ないようにして赤竜さん達の前に座り大きく息を吐いた。
「え~っと、取り敢えず皆と同じように変異したって言うのは解ったヨ。仲間が増えた事に関しては喜ぶべきだと思うシ。でだ、赤竜さん以上ッて如何言う事?」
赤竜さんて三百の兵を蹴散らせるんだよね?それ以上って想像出来ないんだけど。
「ああ、それは『魔力の質と量がロビー殿に一番近しい存在』と言う意味になります」
「例えば俺は光、水、風属性で、赤竜は闇、地、火、風属性だけどマリア殿は光、地、水、火、風属性で総量が俺と赤竜を足した位なんです」
「うむ。一番の特徴はロビー殿と同じ〝目〟を持って生まれて来たと言う所ですな。本来あれ程の魔力量をあの大きさの身体に内包するのは不可能なのです」
「・・・同じ〝目〟ッて・・・・・」
彼女の目が魔導核と同じ役割って事か?だとしたら圧縮魔力を使い熟せるって事になるんだけど・・・・・
「済みませんロビー様・・・背中に羽が有るので着られないのですが・・・・・」
とんでもない事になったと思考を巡らせていると背後から声を掛けられ、振り返るとマリアちゃんが出入り口から顔だけ出して服が着られないと言われて慌てて研究所まで行ってシーツを大量に抱えてヘロヘロになりながら戻って来た。
九日後まで装備作りたかったけど、暫く下に戻りたくねえなぁ・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




