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審判の実  作者: 葉月 涼
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 子供の治療をしながらこの子の服を用意してあげないとなぁなんて考えていたら黒い狼を先頭に八頭が帰って来た。


「マリア!」

「マリアは!」

「マリアは無事か!」


「お前達、気持ちは解るが先ずはご挨拶からだ」


 帰って来た者達が口々に子供の心配をしていたがそれを白竜さんが窘める。マリアって名前って事は女の子か。


「まぁまぁ、白竜さん挨拶なんてどうもいいヨ。もう直ぐ治療も終わるし、多分大丈夫だと思うかラ先ずは何が有ったのか話して貰えるかナ?」


「有難う御座います主殿」


「主ってのは止めてね。僕の事はロビーって呼んでヨ」


「は、はい。ではロビー殿と呼ばせて頂きます」


「殿もいらないんだけどなァ・・・まぁ取り敢えず何が有ったのか教えて貰えるかナ?」


「はい。俺達が北の見回りをして暫くして―――」


 狼さんが説明を始め、足りない所を他の皆が補足して行く。この子が凄くいい子だと言うのは解ったから泣きながら喋るのは止めようね。


「申し訳ありませんでした。俺が短気を起こしたばかりにロビー殿にご迷惑をおかけして・・・・・」

「いや、お前だけのせいじゃねぇよ。あの場に居た俺達全員のせいだ」

「そうだぞ、罰が有るなら俺達全員で受けますから」


「罰?何で僕が罰を与えるノ?確かにちょっと短気だったかな?とは思うけど、向こうから攻撃して来たんでしョ?だったら反撃されて文句を言うのはおかしいヨ。沢山の命を奪ったかもしれナいけどこの子を救ったじゃない。そこは褒めるべきだと僕は思うけど、赤竜さんと白竜さんは如何思ウ?」


「そうですな・・・ロビー殿の言う通りかと思われますな。問題が出るとしたらこの後ですが、今はその子?を救った事を褒めるべきかと」

「そうだな、俺も同じ意見だ。お前達よくやったな、俺はお前達が仲間で誇らしいぞ」


「あ、有難う御座います!」

「何か有ったら俺達がしますんでなんでも言って下さい!」


 赤竜さんと白竜さんも俺の意見に同意してくれて狼さん達は泣きながら礼を言った。


 まぁ何か有ったら、と言うかおそらく軍が出張って来るだろう。その時は俺が出ればいいだけだ。一応彼等の主だし、責任は俺が取らないとね。


 この時俺は彼等と共に生きて行く覚悟が出来ていた。異形の者達が作る新しい国がこの大陸の中央に生まれようとしていた。


*


*


*


 国王との連絡が付き、馬車で城へと向かい応接室で国王が来るのを出されたお茶を飲みながら待っていた。


「火急の用件だと言っておいた筈なんですがね・・・・・」


 ティーポットの中身がなくなってしまったのに現れない国王に苛立ちながらも、この国での影響力がまだ低いせいもあるかと嘆息した。


 最後の一杯をゆっくりと飲みながら思考を巡らせ、飲み干した直後に国王と宰相が近衛を伴ってやってきた。


「お待たせしてすまんな」


「いえいえ、何処の国も同様に復興に向けて忙しくされておりますから致し方ない事かと」


「そう言って貰えると助かる。して、火急の用件と聞いたが―――」

「失礼します!緊急事態に付き御容赦を・・・・・」


 散々待たされた挙句に伝令?私も舐められたものだ。


「すまんな聖王殿。モランド、代わりに頼む」

「はい」


 宰相のモランドが入口まで歩いて行き、伝令の兵士からの報告を受けた。


「して、なによ―――」

「なんだと!!陛下!申し訳ありませんが此方へ!」


 が、結局国王が行く羽目になってしまった。


「・・・重ねて申し訳ない。少々席を外させて貰う」


「ええ、構いませんよ」


 何の茶番を見せられているんだと怒りを抑えて冷静に考えてみれば好機なのかもしれないと、鎌をかけてみる事にした。


「デュランダル陛下、魔物が攻めて来たのではないですか?」


「「「なっ!」」」


 国王、宰相、伝令が驚きの表情で此方へ振り向いた。如何やら当たったみたいですね。


「私もその件で来たのですよ。全能神様からのお告げです『我は魔王に囚われ力を封印された。グリム山より魔王の眷属が世界征服のために下りて来るやもしれぬ』と」


「な、なんと・・・・・」

「では聖王殿は討伐の支援を申し出に来て下さったので?」


「いえ、逆です。グランバート帝国が魔王の手に落ちましてね、なので北部の王国が一丸となり抵抗するために周辺国への呼びかけを頼みに参ったのですよ」


「「「「「なあっ!」」」」」


 国王と宰相だけで無くその場に居た近衛までが驚きの声を上げた。後はこのまま畳みかければいけそうだ。


「私と聖王騎士団が帝王騎士団を伴いグリム山へ向かったのですがレッドドラゴンが現れましてね、聖王騎士団は壊滅。帝王騎士団はレッドドラゴンの軍門に下ったのですよ」


「マルクスは魔王に魂を売ったのか・・・・・」


 デュランダル王の呟きに即興で作ったにしては上手く行ったなとほくそ笑み、その場で周辺国への協力要請を取り付けた。後に周辺国から合流した一万近い混成軍が聖王の名の下に集う事となる。


 先ずは魔王の討伐。そしてグランバート帝国を攻め落とし、必ずや大陸全てを掌握してみせるぞ!

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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