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審判の実  作者: 葉月 涼
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 白竜さんが飛んで行ってからは挨拶の終わった皆と雑談をしていた。主な話の内容は名前に関してだけど。


「ん~やっぱりサ、名前が無いと不便だと思うんだよネ。だから赤竜さんや白竜さんミたいに見た目から名前を付けたらどうかなって思うんだけど如何かナ?」


「いやぁ、そりゃあ名前が有ったら嬉しいですよ、でもなぁ・・・・・」

「う~ん、俺も嬉しいけど、やっぱりなぁ・・・・・」

「だよなぁ、何かこう成果を上げないとだよなぁ・・・・・」

「そうそう、俺達なんて『おい、そこのお前』とかそんな感じでいいんですよ」


 とまぁ皆が皆及び腰と言うか恐れ多いって感じで埒が開かない。


「じゃぁもうこれかラは僕が勝手に見た目から取って呼ぶ事にするかラ。そうだな、例えば君の事は~・・・・・」


「いや、そんな・・・ロビー殿に付けて頂くなんてそれこそ―――」

「これから緑虎って呼ぶネ。で、隣の君は~・・・・・」


 ってな具合で目に付いた者から順に名前を付けて行ったら五頭に付けた時点で他の皆が逃げ出してしまった。


「いや、逃げなくてモいいじゃん・・・・・」


 つーか、付けて上げた五頭もなんか申し訳なさそうに項垂れてるし?喜びたいけど他の皆に申し訳ないとかかな?


「ロビー殿、主から名を頂くと言うのは我等にとってそれ程までに恐れ多いと覚え置き下され」


「でも僕って皆の生みノ親みたいなもんなんでしョ?だったら名前を付けるのも僕の仕事なんだヨ」


 彼等と僕、と言うか人間との常識の差を埋めるために会話は必要だ。どんな些細な事でもお互い話し合って理解し尊重し合えなければ必ず争いに発展してしまう。僕を護ると言う彼等が麓の人間達と争わないためにも会話は必要な事だと思う。


「ふむ、そう言うものですか・・・ああ、白竜が戻って参りましたな」


「ん?あんな遠いのによく解ったね」


 赤竜さんと会話を続けていると白竜さんが戻って来たみたいなので北の空を見ると遥か遠くに豆粒位のって・・・あっと言う間に大きくなったよ・・・早ぇなぁ・・・・・


「お帰り白竜さん。あれ?他の~ッて、その抱えてるのは?」


「只今戻りました、ロビー殿。帰って早々申し訳ありませんがお願いが」


 帰って来た白竜さんは小さな人間らしきものを抱えていて僕に願い事が有ると言ってきた。


「詳しい事情は仲間達が戻り次第説明させますので、今は何も聞かずにこの者の治療をお願いしたいのです。俺に出来る事はしたのですがこのままでは・・・・・」


 白竜さんは今までの砕けた口調ではなく真剣な口調と眼差しで僕を見て、その胸に抱えていた人間の子供を僕の前にそっと置いた。


「解っタ・・・・・」


 その子供はちょっと見では怪我なんてしていないように見えるが着ていた服は焼け焦げ肌に張り付き頭髪も殆ど無くなっていて、口から漏れる吐息は掠れていて何時死んでも不思議ではない位に弱っていた。帰って来てない者達が見つけたのかな?


 僕はその子に両手を翳し右手からは解析魔法を、左手からは治癒魔法を掛けた。


 体内の魔導核から魔導回路を伝って圧縮魔力が両腕に移動し、掌に描かれた全属性対応の特殊魔法陣に魔力が注がれていく。


「「「「「おお・・・・・」」」」」


 その場に居た皆が感嘆の息を漏らす中、解析魔法から得た情報を治癒魔法に紐づけて治療して行った。


*


*


*


 転移陣を使って東と西の各町に設置した教会の地下室へと転移したが、何方も出入り口の隠し扉が開かなくなっていたので地下への階段を完全に封鎖して北の街へと転移した。


 ノーフェスト王国の教会は王都にかなりの金額を使って設えただけは有って無事だった。


「聖王様!御無事で何よりです。帝都は如何ですか?こちらは漸く落ち着いて来た所で―――」

「国王に会談の申し込みを、火急の用件なので内密に頼みますよ」


 私に気が付いた信徒の言葉を遮って国王との会談を申し込むように告げた。


「・・・・・は、はい!直ちに!」


 元々大陸制覇の足掛かりにするつもりで建てた教会を本部にする事になるとはと苦笑いをして椅子に座り天井を仰ぎ見た。


「・・・さて、如何してくれようか・・・クライブ、貴様だけは許さんぞ・・・問題はあのレッドドラゴンとの関係だが・・・・・」


 クライブがレッドドラゴンと会ったのは私達と別れた後だろう。その後直ぐに私達を追いかけて来たのだろうから戴した話はしていない筈だ。にしてはお互い砕けた会話をしていたような気がする。


「・・・・・勝てる・・・のか?」


 両手に嵌めた籠手と腰に下げた剣を見て呟いた。


 冷静になって考えてみれば体高だけでも私の四倍はあった。地面に叩き付けられた一瞬に視界に入ったのは、あの巨体が霞む程の速さで騎士団の面々を薙ぎ払ったと言う絶望的な事実だ。


 あ奴の考案した魔導具の籠手と剣が何処まで通用するか解からない。しかも敵があのレッドドラゴンだけとは限らない以上、最低限の兵が必要だ。


「最悪国王に頭を下げるか、治癒術師を数人貸出してでも兵を借りるしかないか・・・・・」


 国王から兵士を借りるための方策を練っていると、部屋の扉が叩かれ信徒がお茶を持ってきた。


「失礼します。聖王様、お茶をお持ちしました」


「ああ、有難う」


 何にしても国王を如何にして騙すかだけは考えておかないといかんなと、目の前に置かれたお茶に手を付けた。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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