02
本当にいいのかい?
ええ、勿論ですよ
しかし君はまだ若い、万が一失敗すれば命の保証は無いんだよ?
所長、あいつ等に目を付けられた時点で僕等には真面な人生なんて歩めない・・・違いますか?
だが
それに僕は他の方達よりも魔導技師としての才能は無いですし、他の誰かが被験者になれば研究が滞りかねないじゃないですか
すまない・・・ロビー
止めて下さい所長。僕は貴方に救われた時点で貴方のためなら何でもすると決めていたんです。所長を恨むような事は無いですし後悔なんてしませんよ・・・寧ろ―――
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長い階段を下り、その先に見える扉を開けて中へと入ると部屋の中央に置かれた台座の上にある巨大な青い宝玉を睨みつけた。
『おや、久しぶりだね』
宝玉がぼんやりと光を放ち、室内に声が響く。
「ああ・・・私が何故来たのかは解っているね?」
『勿論さ。私の予想が当たったんだろう?』
全く持って忌々しい限りだ。本来ならば口も利きたくないがそうも言っていられない。
何故ならば、今はこ奴の持つ知識が必要だからだ。
「そうだ。貴様が五年前に予言した『大災害』が起こった」
『それで少しは聞く耳を持ったと?』
「そうだと言っている!勿体付けずに貴様が知っている事を全て話せ!何が起こっている!これから何が起こると言うのだ!!」
『いや、呆れるね。それが人に物を訊ねる態度かねぇ?五年も前に教えてあげたのに、戯言だと片付けて対策所か聞く耳すら持たなかったじゃないか。全て君の責任だろう?少しは反省して真摯な態度を取る位はすべきなんじゃないかね?』
「貴様あ!!」
『クックックッ・・・いいねぇ、人間はそうでなくっちゃ。普段は人としての感情を殺して〝聖王〟と言う仮面を被って生きているんだろう?私の相手をする時位は〝人間〟であるといいさ・・・同じ不死者として何時でも付き合ってあげるよ?』
「フン!身動ぎ一つ取れない貴様と一緒にするな!無駄話は終わりだ、私の問いに答えよ」
『ふむ、まぁいいか。先ずは正確に何が起こったのかを知りたい。どの程度の地揺れが起こった?他に異変は?』
「人が立って居られぬ程の地揺れとグリム山山頂から光の柱が立ち上がった」
『ほうほう、それは想定以上の出来事だな・・・・・次に予想されるのは~、まぁ人災だな。建物の倒壊や火災から逃れた連中が食料を求めて商店に押し入る位は想像出来るだろう?王侯貴族の対応次第では暴動も起きるだろうね』
「それは想定範囲内だ。それが解っていて余計な話をするな」
『いやいや、一応言っておかないと後で何を言われるか解かったもんじゃないからね。で、ここからが本題だ、光の柱と地揺れは密接な関係が有るのは解るよね?』
本当に忌々しい。聖王たるこの私を小馬鹿にしたこの話し方が気に入らない。
「ああ、だから何が起こるのかを聞いているんだ!」
『光の柱は圧縮された高濃度の魔力さ。地揺れはその魔力から発せられた魔力波の影響だよ』
「だから何が―――」
『生まれたのさ』
「・・・・・生まれた?何が生まれたと言うんだ!」
『いちいち怒鳴らなくてもいいじゃないか・・・そうだな・・・君達からしたら〝魔王〟って所かな。何しろ・・・彼は君の、君達の事を物凄く忌み嫌っているだろうからねぇ!ハハハハハ!!』
「・・・・・貴様か・・・貴様がソレを創り出したのだな!我々が潰した他にも研究施設が有ったのか!!」
あの日、こ奴の甘言に乗ってしまった自分を殴ってやりたい。
『クックックッ・・・それは少し正確ではないね。あの日、君達が襲撃した場所は研究所ではなく君達を欺くための偽物だったのさ。碌に調べもせずにこの私以外は全て焼き払ってしまったのだろう?それも君が命令したんじゃないか。だから『全て君の責任』だって言ったのさ。ハハハハハ!!』
見ていろ・・・いつか必ず貴様の呪縛から逃れてやるからな。
「それだけ解かればもういい・・・直ぐにでも周辺国と連携して部隊を編成し、グリム山全域を虱潰しにしてやる!」
『フッ・・・まぁ頑張ってくれたまえ。あ、そうそうまだ言っていなかったね』
「・・・なにをだ・・・・・」
嫌な予感がする・・・だが聞きたくなくとも聞かない訳にはいかなかった。
『やだなぁ、君が聞いたんじゃないか『何が起こるのか』って』
「なっ!まだ何か起こると言うのか!!」
『高濃度の魔力にさらされた地で何が起こると思う?』
「だから何だと聞いているのだ!!」
『動物が魔物に変化したり、魔物がより強力な魔物に進化したり?まぁ大量発生した魔物同士縄張り争いが起こって逃げ惑った弱い獣や魔物から山を降りて来るだろうね』
「なんだと!」
『居もしない神の住まう地だからと禁足地にしたのは君だろう?だからこれから起こる惨劇は全て君の責任なんだよ!百年以上経って増えまくった獣が魔物に変わり、殺し合う事で更に強力な魔物へと進化する・・・クックックッ・・・・・私達を襲撃した時以上に苦戦するだろうねぇ・・・プッ・・・ハハハハハ!』
「貴様ぁ・・・・・」
『ほらほら、私に構っている暇なんて無いんじゃないの?どうせ私はここから動けないんだし、急いだ方がいいんじゃないかな?麓付近の町村は早ければ明日にでも被害に遭うと思うよ。じゃ、頑張ってね?研究所の捜索なんて無駄な事をしている暇は無いと思うよ。アハハハハハ!!』
忌々しい奴の笑い声を背に足早に部屋を出ると階段を駆け上がった。
クソが・・・この私に力を与えた事を必ず後悔させてやるぞ・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




