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装備を回収し終えて戻って来たが、精神的に疲れ過ぎて暫く休む事にした。
『随分と短い間に幾度も帰って来たが、一体何が有ったんだい?』
大きく息を吐き壁に凭れ掛かるように座ると奴が問いかけてきた。
正直相手をする気分ではなかったが、こ奴なら何が起こったのか解るかもしれないと忌々しい青い宝玉を睨みつけながら問いに答えた。
「・・・装備を保管していた港町の教会の地下室が完全に水没していた・・・外に出るまで息が持たなかったから上が、町が如何なっているのか見当もつかん」
『水没?海水でかい?教会は左程海に近くなかったと記憶しているが・・・・・』
「ああ、町の北部だ。だが、間違いなく出入り口の階段の上部まで海水で満たされていた」
私の返答に奴は暫く考えた後にとんでもない答えを出した。
『ふむ・・・考えられるのは地揺れの影響か・・・・・となると大陸全土で同様の事象が起こっている可能性が高いな。海岸付近の町村はほぼ全滅。国によっては王都が壊滅しているかもしれないな』
「なっ?!一体何が起こったのだ!」
『大陸の揺れで海が押されてその反動で戻って来た海に飲み込まれた・・・のだと思う』
正直脳が理解を拒んだ。大陸中の沿岸部その全てが海に飲まれた等と誰が信じられると言うのか。
『町の北部が水没する規模の海水が押し寄せたとすると建造物は殆ど残っていないだろうね。全く想定外だよ』
「・・・・・それが全て私のせいだと言うのか」
『いや?地揺れの影響で海が押し寄せて来るなんて私も予想してなかったからね。流石にそこまでは言わないよ』
まるで他人事のように話す奴に怒りが込み上げた。
「・・・貴様は・・・貴様は自分が何をしたのか解っているのか!」
元はと言えば貴様等が起こした事態だろうがと宝玉を睨みつけ怒鳴り声をあげて詰め寄った。
『何を言ってるんだい?それもこれも君達が我々を追い詰めた結果だろう?私達には時間が無かった、だから碌な検証もせずに踏み切った。まぁ何方の責任とかそんな事を言っても時は戻せないからね、手遅れなのには変わらないさ』
「貴様・・・・・」
『なんだい?気に入らないならこの宝玉を破壊したらいいじゃないか。尤も、それが如何言う事かは君も理解しているだろうけど』
「クッ・・・・・」
こ奴の言う通りどれ程憎くても私には破壊する事は出来ない。それは私自身の死を意味するのだから。
奴に背を向け転移魔法陣の部屋へと入り、南以外の町を確認するために東から順に転移した。
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朝日が昇り始め、続々と戻って来た者達と挨拶をしていて違和感を感じた。
「え?みんナ名前無いの?不便じゃナい?」
そう、挨拶なのに誰一人?として名を名乗らなかったんだ。
「いやいや、俺達如きが名前なんてなぁ」
「そうそう、旦那や白竜さん位強くないと」
「烏滸がましい?つーか、そんな感じだし?」
「若しくはなんか功績を上げないとダメなんじゃね?」
「そういや赤竜さんは強いだけじゃなくて功績も上げてんだよな」
「おう、そういやそうだ。流石だよな」
なんか彼等のとって名前は特別な物らしい。ってか赤竜さんが上げた功績って何だろ・・・・・
「・・・いや、別に名前位好きに名乗ってもいいと思うけど・・・・・あの、赤竜さんの功績ってなにしたの?」
俺を守る事が使命だと言う彼が成したと言う功績が気になって聞いてみる事にした。まさか麓の森周辺で大虐殺とかしてないよね?
「戴した事では御座いません。南で広い縄張りを持つ者達の主と会談の約束を取り付けただけの事。九日後に返答を聞かせて貰う予定になっております」
「そ、そうナんだ」
南で広い縄張り?国の事かな?今は国境とか如何なってるんだろ。
「はい。その際その者達と交戦中の者達を三百程蹴散らして恩も売っておきましたので色よい返事が聞けるかと」
やってる~!既にやらかしてるよ!蹴散らしたとか軽く言ってるけど、それって殲滅して来たって事だよね?!
「そ、それはちョっと拙いかナ?国同士の・・・縄張りの取り合いに介入しちゃッたって事でしょ?しかも三百って結構ナ数よ?」
「心配には及びません。なんでもそ奴等は人の物を奪う輩、野盗だと言っておりましたし感謝もされましたので」
野盗か、悪人だったら大丈夫かな?でも三百人規模の野盗って有り得るのか?
「う~ん、それナらまぁ―――」
「最悪敵対する者は全て消し、彼等の縄張りにしてしまえばよいのです。それで問題は全て解決するかと」
ちっとも安心出来ねぇ~!これ間違いなく国境沿いでの戦闘とかだろ!攻め込まれてた所を助けたとかそんな感じじゃねぇの?!
「と、取り敢えず、その九日後に俺も連れて行ってくれないかナ?相手の主と話をスる前に色々聞いておきたイんだ」
「ふむ・・・我等から話を聞くだけよりも直接話をした方がより理解を得られると・・・・・」
「そうそう、俺も現状ヲ知っておいた方がいいと思うんだヨ。赤竜さんには面倒掛けるけド宜しく頼むヨ」
「いえ、面倒などと言う事は・・・解りました、九日後は我と共に参りましょう」
登り切った朝日が照らす中、一抹の不安を抱えながら戻って来た者達からの挨拶に答え続けた。
顔色とか表情が変わらなくって良かったわ・・・・・
ここまで読んで頂き有難う御座います。




