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夢を・・・夢を見ていた―――
父上が居て―――
母上が居て―――
兄上と姉上が父上と母上のお手伝いをしていて―――
俺は所長と研究員達と魔導工学の研究をしていて―――
皆が考えた魔導具を俺が作って―――
皆が俺の家族に褒められて―――
大勢の、国民の生活が楽になって―――
国がどんどん発展して行く、そんな夢だった―――
俺はその幸福な時間が夢だと気が付いて―――
全てが消えて行き―――
悲痛な叫び声を上げたんだ―――
*
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東の空が白み始め、徐々に明るくなって行く中、白竜が嫌な問いかけをしてきた。
「・・・なぁ、赤竜・・・もし、もしだ・・・主殿が俺達に襲い掛かってきたらお前は、お前なら勝てるか?」
主殿が我等を?そのような事をなさる訳がない。
「馬鹿な事を聞くな・・・主殿が我等を襲う?有り得ぬだろうが」
「だから、もしっつってんだろ。俺も、お前程じゃねぇけど魔力を感じる事位は出来るんだよ。お前も解かってんだろ?主殿がこの小さな身体の中に俺やお前ですら足元に及ばない程の魔力を抱えてるって。魔力が抑えきれなくて暴れちまってもおかしくねぇだろ」
その事か、確かに我も気が付いていたが、その心配も無用の筈だ。
「案ずるな、そのための金属の身体なのだと我は考えている。万が一の時は我が真っ先に主殿を御止めする故、其方は補助を頼む」
「・・・・・ハァ・・・ほんと、敵わねぇなぁ・・・・・解ったよ、その時は二人でなんとか止めよう」
白竜と目を合わせ笑みを浮かべた時だった、主殿の両の目が赤く光り、両手で頭を抱えて叫び声を上げた。
「・・・・・ぅ・・・あアぁぁぁ・・・・・!!」
「「主殿!!」」
我等は主殿の両脇に移動し、そのお身体を押さえ込み只管声を掛け続けた。
「しっかりして下さい主殿!」
「大丈夫です!俺達が付いてます!」
「お気を確かに!」
「魔力を!魔力を抑えて下さい!」
何と言う魔力の波動だ・・・気を抜けば我等ですら意識を持って行かれるだろう。
*
*
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嫌な夢・・・いや、俺の願望が夢として現れ、夢と気が付き消滅する様を見て現実に引き戻された。
「・・・・・ぁ・・・ゥあ・・・・・おわアああぁぁぁ!!」
で、気が付いたら赤と白のドラゴンに捕まっていて、逃げようとしたけど、なんだか様子?と言うか話し掛けられているような?
「抑えて!主殿抑えて下され!」
「主殿なら出来る筈です!落ち着いて下さい!」
え?なに?押さえる?落ち着け?いや、押さえてるのも落ち着くのもお前等だろ?つーか、主殿って誰よ?
「・・・・・ん?え?ナに?お前ら言葉話せるノ?つーか、理性とか知性あんノ?」
色々気が動転してて気が付かなかったけど、こいつら普通にしゃべってるじゃん。どゆこと?
「お、おお、良かった。落ち着いて下さったようだぞ」
「お、おう、俺達が気を失う前に落ち着いてよかった・・・・・」
何か一周回って逆に落ち着いたよ。つーか気を失う?ドラゴンが?なんで?
「え、え~ッと、よく解らナいけど、君等はここで何シてるのかナ?」
如何したらと言うか先ずは情報を手に入れようと、会話が成り立つみたいだし、取り敢えずここで何をしているのか聞く事にした。
「我等は主殿がお気付きになられるのをお待ちしておりました」
赤い方が答えてくれて、白い方が頷いた。つーか主殿って俺の事?何で?
「何で待っテたのかは置いとイて、主殿って俺ノ事?」
「「はい!」」
なんか凄い笑顔?で肯定されたんだけど・・・あ、凄いって怖い方ね。
ちょっとビビりながら首を捻っていると、二人・・・じゃなくて二匹?二頭?がその頭を地面すれすれまで下げて挨拶をしてきた。
「我は赤竜、南の守護を担当しております」
「俺は白竜、北の担当です」
「「以後お見知りおきを」」
「・・・え、え~ッと、俺は・・・俺ノ事は『ロビー』ッて呼んでくれると有り難いかナ?主なんて柄じャ無いし?つーか何で主ナん?」
取り敢えず疑問に思った事を聞いて行くしかない訳で、何で主なのかとか、なんで守護してんのとか聞いてみた。
「主殿が・・・いや、失礼。ロビー殿が生まれた際にその魔力によって我々が生まれたのです」
「だから俺達の『主』と言う訳です」
あ~、俺の魔導核に注入した圧縮魔力の影響で変異したのかな?他に思い付かん。
「そして主たるロビー殿の御身をお守りする事が我等の使命」
「この身に代えても御守りします」
「直に見回りをしている者達も帰って来るでしょう」
「その時は一言お声を掛けて頂けたらと」
何か良く解らないけど他にも居るらしく見回りから帰ってきたら声を掛けて欲しいらしい。あれかな?労ってあげたらいいのかな?でもなぁ・・・・・
「・・・う~ん・・・守っテくれるのは有難いんだけどサ・・・その~、出来れバ『この身に代えても』とか、命に係わるような事は止めて欲しイんだ」
この先一人きりだと思っていたから。慕ってくれるなら尚更失いたく無いから。だからもう、誰一人として身内から犠牲者は出て欲しくないないんだ―――
ここまで読んで頂き有難う御座います。




