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改竄された王家の歴史に頭を悩ませながらも、次から次へと送られて来る各地からの被害報告に目を通し騎士団と連携して各町村へと支援物資の配送指示を行っていた時に急報が入った。
「失礼します!騎士団と教会が交戦状態に入り、騎士団が教会本部に突入しました!」
「「「「「なっ?!」」」」」
何れ潰すつもりではあったが早過ぎる。北の地で何が有ったと言うのだ・・・・・
「クライブ・・・一体聖王との間に何が有ったのだ・・・・・」
「解りません・・・ですが緊急事態を知らせる『フレア』が放たれた事実には間違いありません」
「そうか、フレアが・・・こうなると情報の伝達速度が遅いのがもどかしい・・・聖王は?クライブが仕掛けたのだ、聖王騎士団ごときに負ける筈がない。不老不死の奴が如何なったのかだけでも知りたいのだが頼めるか?」
奴の存在は王家の、この国の根幹を揺るがしかねないのだ。可能ならば捕らえて牢獄にでも閉じ込めておきたい所だ。
「ハッ!直ぐに副長に訊ねて参ります!」
だが戻って来た伝令からは騎士団の方にもまだ何も新しい情報は入っていないと言う物だった。
そしてその翌日。クライブからの知らせで赤竜と呼ばれるドラゴンと接触。彼等の主、おそらくは魔王との会談を申し込まれた。
赤竜の話ではお互いの縄張りを侵さぬためのものらしいが・・・・・信じて良いのか判断がつかん。
如何返答した物かと大臣達と頭を悩ませた。正直やる事が多過ぎて全てを投げ出して逃げてしまいたいがそうもいかんよなぁ・・・・・
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主殿の下へ帰ったのは夕方だった。
「早かったじゃねぇか」
白竜に声を掛けられたが一瞥もせずに主殿へと視線を送った。
「主殿はまだ起きぬか・・・・・」
「ああ、ピクリともしてねぇよ・・・・・」
白竜の言う通り主殿は倒れた場所から全く動いていなかった。
「・・・もう直ぐ日が落ちる、皆は周辺の警戒を」
「「「「「へい・・・・・」」」」」
「「「「「解りやした・・・・・」」」」」
同胞達が項垂れながら散って行く。皆やっと会えた主が倒れてしまい気落ちしている。その原因が自分達かもしれないのだ無理もない。
「取り敢えず向こうの主の返答を聞きに十日後に行く事になったが、その前にお目覚めになるだろうか・・・・・」
今回起こった件を白竜に話しておく事にした。彼とは情報の共有が必要だと感じたのだ。
「十日?随分かかるんだな、もしかして舐められてんじゃねぇの?」
「いや、それはない。あちらの者は我等からすれば戴した力を持ち合わせていないのだ。移動にも時間が掛かるのだろう」
「偶々弱い連中だったって事は?」
「それもおそらくないな。今回偶々敵対勢力と対峙しておってな、金属の棒を持って向かい合っておった。敵方を我が一掃したのだが碌な反応も出来なかった事から考えるに、おそらく同胞で一番弱い者でも二百位は相手を出来る程度が一般的だと思う」
「は?なんだそりゃ?俺やあんたからしたら居ても居なくても変わらねぇって事か?そんなんでどうやって獣から身を護ってんだ?」
「おそらく数と知略で圧倒しているのだろう。今回我が倒した連中は二百以上おったしな」
「って事はだ、総数で言ったら俺等の何倍も居るって事か?」
「おそらく。数が多ければ増える速度は早く量も多い。だが我等の総数が増えるかどうかは主殿次第だ。と考えるとある程度は味方につけておかんと主殿の平穏は保たれまい」
「だな。改めてあんたの思慮深さには感服するわ。俺だけだったら侮って全て敵に回して囲まれてたかもしれねぇ」
「何にしても先ずは十日後。その時は宜しく頼むぞ白竜」
「おう、あんたが居ない時は俺、俺が居ない時はあんたがここを護る。北側は俺の仲間が、南側はあんたの仲間が見回るって役割分担でいいか?」
「うむ、それでよかろう。ある程度見知った土地の方が護りやすいであろうしな」
当面はこれでよいだろうと白竜と頷き合い、未だ眠り続ける主へと視線を送った。
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帝都に向けて馬を走らせ続けた。途中で出会った補給部隊に馬を取り替えて貰い、可能な限り休息も取らずに移動を続けたが帝都に着いたのは二日後の深夜だった。
教会の接収が行われたと言うのに帝都の様相は落ち着いており、副長が良くやってくれた事が伺えた。これならば私に万が一の事が有っても彼さえ居れば帝都の治安は守られるだろうと安堵の息を漏らした。
自宅で休息を取りたかったが、ベッドで眠りについてしまえば丸一日は目を覚まさないかもしれんし、この時間に城へ行く訳にもいかんと騎士団本部へと足を運んだ。
ここへ来るまでもだが衛士や騎士団員に会う度に驚かれ挨拶を交わした。私が戻って来るとは思いもしなかったようだ。
本部に入り副長は?と聞くと会議室だと思いますと言われ会議室へと足を運び扉を開いた。
「副長、今戻った・・・・・」
会議室に入ると同時に声を掛けたが副長は書類や地図が置かれた机の上に突っ伏して寝ていた。少し話をしておきたかったがこのまま寝かせてやろう。今回はかなり無理をさせてしまっただろうしな。
「失礼します。お茶を―――」
「静かに・・・悪いが日の出まで誰も近付けないで貰えるか?」
お茶を持ってきてくれた部下からお茶を受け取り、日の出まで起こさないようにと暗に告げて私も副長と同じように空いている椅子に座り机の上に腕を組んで眠りについた。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




