01
ピッ・・・・・
ピッ・・・・・
ピッ・・・・・
ピィー!
転送作業完了、転送作業完了
魔導核異常無し
SK-01、通称〝ロビー〟起動準備開始
魔力圧縮装置起動開始
圧縮装置内圧正常
魔導核への圧縮魔力注入開始
圧縮魔力充填率10%・・・20%・・・30%・・・魔導核異常無し
充填率60%・・・70%・・・80%・・・魔導核及び魔導回路異常無し
圧縮魔力充填完了
充填装置及び腰部肩部固定具解除
魔導核接続回路異常無し
全行程正常完了、SK-01〝ロビー〟起動開始
起動まで10秒・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・〝ロビー〟起動
ヴォン
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
*
*
*
皇帝歴百四十九年末、三日後に百五十年の節目とその記念式典を控えた日にそれは起こった。
大陸中央に聳える標高2000mを超える御山、グリム山の地下より大地震が大陸全土を襲ったのだ。
この震災により建造物の倒壊や火災に地割れや地盤沈下が起こり、沿岸部では10mを優に超える津波に襲われ大陸全人口の80%以上が何かしらの被害に遭った。
グリム山南部に位置する大陸最大の国家、グランバート帝国では帝王マルクス・グランバートが執務室で政務に励んでいたが、この衝撃で椅子から転げ落ちて倒れ込んだ床で混乱しつつ身体を起こした。
「・・・・・ぅ・・・ぁ・・・い、いったい何が・・・・・」
「陛下!御無事ですか!」
未だ余震が続く中、執務室の出入口で控えていた近衛が動き出した帝王へとよろめきながら駆け寄り声を掛けた。
「あ、ああ・・・私は問題無い・・・・・だが、これは何と言う事だ・・・・・」
部屋中に散乱した書類に倒れた書棚や椅子や観葉植物。更には魔法で強化された壁や天井の一部が罅割れた様を見て帝王は困惑しつつ近衛へ返答した。
「へ、陛下、兎に角避難をしませんと」
この唯事ではない有様に近衛が帝王に避難を進言するが帝王はそれを拒否した。
「・・・いや、この堅牢な城がこの有様だ、下手に避難しない方が安全だろう。それよりも早急に城内・・・いや、国内の被害状況を知りたいのだが伝令を頼めるか?」
「しかし・・・いえ、解りました。可能な限り声を掛けて参ります・・・・・暫くお一人にしてしまいますがこの場から動かぬよう願います」
「うむ、解かっておる・・・其方こそ気を付けるのだぞ、取り乱して居る者もおるであろうからな」
「ハッ!お気遣い感謝します!」
帝王の命に近衛は部屋を出ようと扉に手を掛けたがビクともしない。
「クッ!・・・陛下、失礼します・・・ハッ!」
傾いで開かなくなった扉を全力で蹴り飛ばし、室外へと出た近衛が廊下の窓の先に見えた光景に息を飲み足を止めた。
「・・・な、なんだあれは!」
「ど、如何したのだ?・・・一体何が有ったと・・・・・」
我に返り驚きの声を上げた近衛へと近づく帝王が見た物は遥か北方に聳えるグリム山の山頂から立ち上がる真紅の光の柱だった。
「御山から光が・・・・・」
「・・・・・急ぎ聖王に連絡を!彼等の力を借りる事になるかもしれん!」
「ぁ・・・ハッ!」
呆然とする近衛に帝王はこの国の要とも言えるもう一人の王〝聖王〟へと連絡を取るように告げると振り返り、執務室内の惨状に大きな溜息を吐いた。
「・・・ハァ・・・・・何が起こっているのか解らんが・・・書類だけでも片付けておかんとな・・・・・」
*
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その頃グランバート帝国の実質的最高権力者である聖王は教会内の自室の窓からグリム山から立ち上がる光の柱を渋い顔で睨んでいた。
「聖下!御無事ですか!」
「ああ、私は問題無いよ。それよりも神殿内の被害報告と、大司教達を会議室に集めておいてくれるかな?私は暫くの間瞑想に入るから声を掛けるまでは誰も近寄らせないようにね」
「は、はい、解りました」
部屋の外で見張りをしていた護衛の騎士が室内へ入って来ると、聖王は誰も近寄らせないようにと伝えて部屋の奥へと歩を進めた。
「・・・本当に予言通りになるとはね・・・全く忌々しい限りだよ・・・・・」
聖王は書棚の裏に隠された扉を開け、先の見えない長い下り階段の闇を見据えると呟きながら階段を下りて行った。
*
*
*
「・・・・・あッ・・・たマィてェ・・・・・」
目が覚めると激しい頭痛と眩暈に襲われた。
風邪でもひいたのか声もなんだかおかしい。
「・・・ッぁ・・・おわァ!!」
痛む頭を押さえようと右手を上げると歪んだ視界に金属の棒が迫って来て慌ててかわそうと身を捩りベッドから転げ落ちた。
ガシャン!
室内に金属を打ち合ったような音が響く。
その凡そ人が床に転がったとは思えない音と視界に入った黒鉄の両腕を見て全てを思い出した。
「・・・いた、クなィ?・・・・・あ、そゥだっタ・・・おれワしがんシテ・・・・・」
そうだ、俺は自分から志願して生身の身体を捨てて金属の、不死身の身体を手に入れたんだった―――
ここまで読んで頂き有難う御座いました。




