ぽあち観察記録② 「ぽあち」と「ぽあきゅん」
人生は理不尽の連続と言うが、ぽあきゅん生は不可思議の連続である。
『勝負! 本日の運勢ゆ!』
「メガ大吉! わー! おめでとうだゆ~」
『けっ、大外れゆ』『不正だゆ!』
「なんで捨てるの!? あと不正なんてしてないから!!」
ぽあきゅんは尻尾の花に謎パワーがあるらしく、これを通貨として使用できる。
花びら1枚でおみくじを引くことができる。
「メガ大凶!? なんでーー!!??」
『ヒーーハーー!! 当たったゆーー!!』
『『ウォオォォォォーーーー!!』』
『今日も正義の大勝利ゆーー!!』
おみくじは通常のものにメガ大吉とメガ大凶が追加されている。
で、普通は大吉・メガ大吉が良いもので、大凶とかメガ大凶は避けられるもののはずなんだけど。ぽあきゅんたちは大吉を嫌がり、大凶でテンションを上げる。
大凶が出ると快哉を叫び、みんなで喜ぶ。メガ大凶おみくじは花壇の自分スペースに飾られたりするほど人気が高い。
大吉が出ると『不正だゆ!』『つまんねー』とおみくじを捨てる。確保されることはまずない。
自分の尻尾から花びらを毟るのは、痛くて簡単ではないのに、それでも扱いが軽い。
おみくじの他には、手紙を送るぽあきゅんもた。
『ぽあち大好き』
「あらー。お手紙ー? 嬉しいゆ!」
手紙を送るときは、花びらを半分以上毟らないといけない。手紙一枚を贈るだけでも、ぽあきゅんには大きな負担である。
だからそこまでするぽあきゅんはあまりおらず、背中に貝殻を背負った――なんで貝殻を背負っているかは意味不明だが――ぽあきゅんだけと言っても過言ではないほどだ。
なお、手紙は朗読されるのだが。
「きゃっ、おにいちゃん(中略)ぺぺろんち~の」
その内容は、ぽあちいわく「怪文書」だったりする。読んでいるぽあちの顔が羞恥に染まる程度にエロ系で酷い。
『あいつ何言ってるゆ』
「貴様が書いた文章だろうがーー!!」
だからぽあきゅんたちにぽあちがからかわれ、犯人にドロップキックが炸裂するまでがお約束。
手紙を朗読し恥ずかしくてもだえるぽあちを見てぽあきゅんたちは大喜びだが、その目はおませな幼女を見ているようで微笑ましそうでもある。
ぽあち自身も怪文書と言いつつ、もらった手紙はきっちり読むし、大切に保管しているでの、本気で嫌がってる様子はない。
仲がいいなぁ。
ぽあちに大切にされながらも、まだまだぽあきゅん仲間の輪に入り損ねている俺は、それを遠目に見ていた。