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星を見つける【完】続編あり  作者: 壱原 棗
出会って今
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広がるあなたの世界

◆国名

・アラステア

 大陸のほぼ中央に位置する小国。周囲を5カ国に囲まれていて交易が盛ん。人材育成に力を入れており、魔術研究の最先端を走る。

・ディーダラス

 大陸の西に位置する。鉱山地帯がある。全ての分野が二番煎じ。魔術は武器などに宿す傾向がある。産業も学問も伸びにくい。

・ネビュラル

 大陸の東に位置する。自治都市。魔法アイテム研究が盛ん。武器や幻獣の捕獲アイテムなどに定評がある。大陸中の図書館を集めた王立図書館や世界一大きな天文台が有名で知識人が多く集まる。観光資源が豊富。

・ゼレストラード

 大陸の北に位置する。大陸最大の国領を持ち、軍事や資本主経済を推し進めるが、国民格差が広がる。宮廷での後継者争いが絶えない。


(by:マニアック会社幻想課 共同世界観企画『アラステア王立学術院』)

***


 部屋の主を退かしながら行う掃除は非常に厳しいもので、当の本人は作業に夢中である。ヨハネスが手伝ってくれたことで夕食の時間に差し掛かる前に掃除を終えることができた。


「ちゃんと風呂に入ってね!」

「ん〜〜♪」

「エト!」

「わかってるって」


 ドアの前で繰り広げられるのは生徒と教師のやりとりであり、決して母娘のそれではない。

 今日もこの2人はクレイジーだな、とヨハネスはその様子を眺めていた。

 リアンは扉を閉めると盛大なため息を漏らした。だいぶお疲れの様子だ。

 2人は最寄りの移動装置へ向かいながらヨハネスはいつものように軽口を叩く。


「ほんと君たちって見てて飽きないよね。オモシロイ」

「嫌味にしか聞こえないんですけど。それに、今日みたいに掃除で半日潰れるのは嫌だと思うなら甘やかさないでもらえませんか?」

「嫌じゃないよ。僕エトちゃん甘やかすの大好き」

「とんだドMじゃないですか…」


 楽しいのは事実なので鼻歌まじりでそう言えば、げんなりしたリアンが軽蔑を含んだ視線を向けてくる。


「そういえば聞いたよ。魔力鉱物学、また飛び級するんだって?」

「相変わらず耳が早いですね。まぁ、せっかくここで学べるなら、手取り早く博士はくしまで欲しいですし」

「うわぁ…さすがエトちゃんの弟子パピーって感じ。思考回路がエリートのそれ」


 はぁ〜やだやだ、とヨハネスは大袈裟に肩をすくませ手を動かした。


「エリートついでにさ、またウチの、手伝ってくれない?」

「この時期にですか?珍しいですね」


 リアンは育った環境から、鉱物を見る能力が人一倍ある。学問としてだけでなく魔力鑑別も同時に学んでいるようで、それは日々磨かれている。

 その能力を買ったヨハネスは、以前実家の事業の一つである宝石商を手伝ってもらえないかと声をかけた。同時に彼に見聞を広げてもらいたいという意味合いも含む。


「君の鑑別は正確だし評判いいんだよ」

「!……そう言ってもらえるのは嬉しい、です」


 シンプルな褒め言葉にリアンは口元を綻ばせた。自分の得意なことを生かせる環境はありがたい。


 思いがけない出会いや人脈作り。

 これもまた、アラステア王立学術院の役割の一つだ。


 読書が好きなリアンとしては王立図書館のあるネビュラルにあのままいてもよかったと当時は思っていた。エトは自分に声が掛かっていた時、一緒に来ないかと言ってくれたのだ。

 本当に感謝しきれないと常に思う。


「それに今回はディーダラスの即売会だ。君が探してたモノも出回るって話だよ」

「本当?」

「僕はそっち方面詳しくないんだけど、手に入れば叔母上にも協力してもらえるから、存分に活躍してくるといいよ」


 などと言っているうちに扉の前に到着し、「おやすみ」とヨハネスは鍵を作動させて光に包まれて消えた。


「ディーダラスか」


 あれから3年が経ったのか。

 学院に来てから遠出をすることがほぼないので、久々の故郷訪問になんとも言えない気持ちになる。

 明日にでもリュバン家の担当者に連絡を入れようと思い、リアンは鍵を作動させ黒曜館に戻って行った。

続きは明日の18時に更新します

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