表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋文  作者: ひろ
9/17

僕は周瑜様の婚約者にふさわしいかな? 3

閲覧ありがとうございます!

孫権、朱然、凌統、蒋欽、周泰再登場です。



 そんな僕をじーっと見ながら虞翻が尋ねる。


「こんなことを聞くのは正直俺の柄じゃないんで、ものすごく嫌なんですがね」


 と苦虫をかみつぶしたような顔をしながら前置きして、虞翻が続ける。


「小喬様は今回の結婚。どう思ってるんで?」

「今回の結婚って周瑜様との?」

「ええ」

「孫策様が決めたし、僕は言われた通り結婚するだけだよ」

「……そんな感じなんですね」

「ってどういうこと?」

「あーそれはつまり」


 虞翻がすっごく言いにくそうに悩んで困り果てている。 

 やっぱり何か問題でもあるんだろうか?

 やっぱり周瑜様は本当は……、


「あっ小喬。此処に居たのか!」


 遠くから声をかけて来たのは孫権様。

 それを聞いて虞翻が眉を思いっきりしかめながら叫んだ。


「都合悪くくんじゃねぇよ。碧眼児!」

「はぁ?虞翻一応俺はお前の君主の兄上の弟だぞ!」

「なんだ?その言い回しは。頭の中空っぽなのか?学び舎では惰眠でも貪ってたのか?」

「虞翻殿!孫権殿のおっしゃる通り、彼は孫策様の弟君なのですから口は慎むべきですよ!」


 口喧嘩を始めた虞翻と孫権様の間に割って入ってきたのは朱然。

 しかし虞翻は言葉を収めるどころかさらに反論してきた。


「大体この辺の警備任されてんのに何処ほっつき歩いてんだ。小喬様が変なのに絡まれてたぞ」

「俺達は小火騒ぎがあって火消しに回っていたんだ。蒋欽達は?」

「あいつらは軍議中だ。ったくいいように引っ掻き回されてんな」


 言って虞翻が舌打ちをする。


「え?小喬様。危険な目に遭っていたんですか?」


 後ろから声をかけて来たのは凌統。


「統、護衛できなくてすいません!」


 ぺこん。

 と頭を下げる凌統に、僕が屈んで話しかけた。


「大丈夫だよ、全然大したことじゃないし。女の子たちとちょっとお話してただけだよ」

「お話ですか?」

「大勢に取り囲まれてたけどな」


 凌統との話に虞翻が割って入り、凌統が少し悲しい顔をする。

 が、その頭を撫でて僕が続けた。


「大丈夫。僕ほら強いでしょ?なんかあったら全員ふっとばしちゃえばいいし」

「俺としては是非ぶっ飛ばして欲しかったんですがね」

「あはは、周泰みたいに受け取ってくれる人いないから流石に可哀そうかなーって」

「地面に転がしときゃいいんですよ。あんな奴ら」


 ふん、と息を吐いて虞翻が言う。

 と、


「あっ!こんなところにいたんすね、虞翻殿。軍議抜け出して急にどっか行くからどうしたのかと」


 上から降ってきたのは蒋欽。

 って上?全然気が付かなかった。

 と思って見上げた先は背丈の倍以上もある城壁。

 どうやって飛び超えて来たんだろうと思っていると、


「俺を踏み台にしないでくれ兄貴」


 城門の方をくぐって後からやってきたのは周泰。

 その言葉に僕が尋ねる。 


「兄貴って蒋欽って、周泰のお兄さんなの?」

「実の兄じゃないっすよ。こいつが落ちてたの俺が拾って弟にしてやったんすよ。義兄弟ってやつっす。で、みんな集まってなんかあったんすか?」


 僕の言葉に蒋欽が答えつつ、一同が集まっている様子に疑問を投げかける。

 と今度は虞翻の怒りの矛先が蒋欽達に向かった。 

 

「なんか、じゃねぇよ。お前ら軍議で護衛外れるってこいつらに言ったのか?」

「え?だってこの時間は孫権殿たちが見回ってるんで」

「だからってちゃんと報告ぐらいしとけ阿保が!お前らそれでも将の自覚あんのか?」

「虞翻!別に僕そんな大した目に遭ったわけじゃないから」

「ええ?何があったんすか?」

「女の子にちょっと絡まれただけだよ。怪我も何もしてないし」

「ああ、そうなんすか。なら安心……」

「してんじゃねぇよ馬鹿が」


 いって切り捨てる虞翻。

 でも本当に大したことじゃないのに。

 何で虞翻はこんなに焦ってるんだろう?

 さっき聞きたかったこともなんだろう?


 聞いてみたいけど、あまり言いたくなさそうだったし周りに人がいる状況じゃ尚更言いたくないかもしれないし、

 そう思って悩んでいると、


「それで虞翻殿。軍議中飛び出して出て行ったんすね。よくわかったっすね」


 虞翻に貶されてもなんのその。

 へこたれる様子もない蒋欽が虞翻に尋ねる。

 と、虞翻が懐から筮竹を取りだし、


「軍議がつまんねぇから、占ってたらこっちの方角に良くない卦が出たから来て見りゃこの有様だ。ったくしょうがねぇなぁ」


 いって筮竹を一本掴んで蒋欽のおでこにブスリ。

 それそういう使い方じゃないと思うんだけど。

 おまけに筮竹の先尖っているみたいで、刺された蒋欽が「いてっ」って叫んでる。

 

 でも虞翻、占いなんてするのか。

 割と現実主義っぽいのに可愛いなぁなんて思ってると、おでこを蒋欽がさすりながら答えた。


「確かに虞翻殿のおかげで事なきを得たかもしんないっすけど、軍議聞かないと駄目っすよ」

「居眠りこいてるお前らに言われたくねぇな」


 蒋欽の言葉に鼻で哂って答える虞翻。


 いやみんなちゃんと軍議聞こうよ。

 軍議の進行多分周瑜様だよね?なんだか苦労してそう。

 なんて思っていると、


「兎に角」


 と虞翻。


「この件については上に報告して厳重に処罰……」

「わー僕もうお腹空いちゃったな。姉上の所に行くから蒋欽と周泰僕を送っていってくれるかな?いつも護衛してくれて助かるなぁ。本当に君たちがいないと僕困っちゃうよ」


 次失敗したら斬首だったことを思い出して、二人を押し出すようにその場を去る僕。

 そして、


「孫権様達も、気にかけてくれてありがとうね」


 声をかけた僕に、


「何かあったらいつでも言ってくれよ!」


 と孫権様。

 それに対して、


「なんか遭ってからじゃ遅いんだよ」


 とまたしても絡む虞翻。

 そして背中に聞こえる二人の喧嘩声。

 虞翻、孫権様相手に容赦ないなぁ。

 

 それにしても何を虞翻はあんなに心配しているんだろう?

 やっぱり周瑜様と僕との結婚を快く思っていない人がいるんだろうか?


 一体それは誰なんだろうか?


続きは金曜日夜22時に投稿予定です。(平日のみ更新です)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ