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恋文  作者: ひろ
5/17

周瑜様の好きな人ってもしかして?  2

閲覧ありがとうございます!

某映画が面白かったのでちょっと小ネタ挟みました。


「周将軍。小喬様をお連れしましたぁ」


 城に戻り、だいぶ扉と離れた所から周瑜様の部屋に向かって声をかけた蒋欽。

 と、部屋の中から、


 ガタガタガタン!!


 と、ものすごい音が聞こえ、扉から飛び出してきたのは孫策様。

 

「はぁ、ったく。んじゃぁ後は頑張れよ」


 と周瑜様に振り返って言うと、僕を一目見て軽く笑い、そのまま颯爽と去っていった。

 何で僕を見て笑ったかはわからないけど、それを除いては流石小覇王というか。

 傍を通っただけでその気迫で背筋が伸びてしまいそうな程、迫力に溢れている。

 これぞ君主、って感じだなぁ。

 

 まぁでも姉上の婚約者ならそれ位じゃないとね。

 なんたって姉上は傾国の美女、と言っていい程の美しさなんだから。

 この国倒されたら困るけどね。


「ああ小喬。蒋欽と周泰に様子を見に行かせただけなのに、わざわざ来てくれたのかい?」


 あとから優雅に部屋を出て来たのは周瑜様。

 先ほどの物音は嘘かの様に泰然自若とした感じで、まさに軍師様っていう感じ。

 よほど白熱した議論をしていたのか、やや息は上がっている。

 周瑜様の言葉に、蒋欽が何て言おうと視線を一瞬こちらに向けたので、先に僕から口を開いた。


「二人が僕の様子を見に来た時、丁度飛んで来た凌統を棍で打ち返していた所だったので、報告に困ったみたいで。僕が直接説明に来ました」

「そうか、なる程。ん?」


 僕の説明に最初ニコニコ聞いていた周瑜様は、整った笑顔のまま僕の報告に混乱。

 そこで蒋欽が慌てて補足したら、一応納得したみたいで、

 

「確かに凌統は珠の様な可愛い子供だけどね。二人とも怪我をするといけないから次はやめておいてくれないかな?」

 

 と、周瑜様から優しく諭された。

 視界の端で、蒋欽が「そういう問題じゃないと思うんすけど」と小さく呟いた気がするけど、気のせいだと思っておこう。


「それと周瑜様」

「ところで小喬」


 気になっていることを聞こうと思って口を開くと、周瑜様も同時に口を開いた。


「えっと、周瑜様からどうぞ」

「いや、小喬から。私は後でいいから」


 優しく促され「じゃぁ」と僕から先に質問することにする。

 ちらっと周瑜様の様子を伺うと、いつもの通り穏やかに笑顔をたたえてはいるけど、少し顔が紅潮している。

 ……やっぱ、そうなのかな?

 

「あの周瑜様」

「なんだい?」


 直接聞こうかな?

 ああでも少し遠回しに、


「周瑜様って……」

「うん」

「男が好きなんですか?」

「……んん?」


 僕の質問に周瑜様の首がやや傾く。

 が、元に戻り、


「そんなことはないが、どうしてそう思ったのかな?」


 尋ねる周瑜様。

 違ったのかな?


「だって僕男装したままでいいっていうし」

「……小喬が女性らしい格好をしたいというのならもちろんしてもいいよ」


 なぜか返事に間が空いたのが気になるけど。それはさておき、


「それにこれ……」


 僕が後ろ手に持っていたものを周瑜様に差し出す。

 と、周瑜様がそれを覗き込んだ。


「どれどれ……、ん゛ん゛?!」


 差し出したのは周瑜様と孫策様が【自主規制】な様子が描かれた一枚の画。

 その画の上に息もつかぬほどの速さで傍にあった手巾をかぶせて隠すと、


「これはどうしたのかな?」


 声が多少上ずりながらも、笑顔で尋ねる周瑜様。

 その動揺した様子に「やっぱりそうなのかな?」と思いつつ尋ねた。


「ここに来る途中、城下の店で見つけて。こんな画があるってことは……」

「巷の人々の勝手な妄想じゃないかな?私と孫策は天に誓ってそんな仲ではないよ!!」


 穏やかにかつ力強く否定する周瑜様。

 さっきも部屋でなんかドタバタしてたし、そういうことなのかな?って思ったけど、違ったのかな?


「そうなん、です……」

「そうだね。全くもって違うよ」


 僕の返事に少々食い気味に返事をする周瑜様。

 いつも落ち着いているのに動揺しているのがちょっと怪しいけど、でも違うっていうのなら違うのかな?

 まだちょっと怪しんでいる僕を見て、周瑜様が後ろに控える二人に視線を向ける。


「……蒋欽、周泰」


 顔は笑顔のまま、いつもの穏やかな声からは想像もつかない、地を這うような低い声で二人の名を呼ぶ周瑜様。

 途端に二人が震えあがった。


「は、はい!」

「なんでこんなものを小喬の目に?」

「あ、あの違うんすよ!俺は止めたんすけど、直ぐに店いって隠したんすけど、その小喬様が力づくで買い物を、っていうか小喬様見かけによらず力が強くて簡単に跳ねのけられてしまって」

「……斬首」

「へ?」

「次こんなことがあったら斬首」

「え?あ、その」

「斬首。わかったね」


 有無祖言わさぬ声に「わかりました」と答えた蒋欽。

 どうやら武将クビ、どころじゃなくて実際に首が飛んじゃうみたいだ。

 悪いことしちゃったなぁ。

 もう周瑜様と孫策様の仲を疑う事はやめよう。


 でも、ってことは?


「では後は私から小喬に話が。二人は出て行くように」


 周瑜様に促されて、出て行く二人。

 部屋を去り際周泰が「俺も止めました」って小さく言っていたけど、だからもっと早く言おうね。



続きは明日夜22時に投稿予定です。

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