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恋文  作者: ひろ
3/17

僕 結構強いよ  2

閲覧有難うございます!励みになります!平日夜22時に毎日投稿する予定です。

蒋欽、周泰が登場します。小喬は民間伝承で投げた鋏が池になったという逸話から怪力設定になっております。





「な?朱然のお小言は大変だろ?」


 変な所で同意を求めてきたのは孫権様。

 どうやら孫権様は止める気はないみたい。

 それを見て朱然が呆れて孫権様に言う。


「孫権殿も止めてください!」

「いいじゃないか。俺どっちが強いか見たいし」

「どちらも万が一怪我でもしたら!」

「大丈夫だって。ほら」 

 

 いって孫権様がみた方向には、こちらに向かってくる人影が二つ。

 

 なる程ね。

 だったらすぐにでも決着付けた方がいいかな?


「早くしないと止められちゃいそうだね。する?」

「はい!」


 僕の言葉に嬉しそうに凌統少年が答えて、ばっと二人同時に構える。

 それを見て止めるのは無理と考えたのか、それとも僕たちの視線に気が付いて判断したのか。

 朱然は孫権様を後ろにかばうように、共に一旦後ろに下がった。


 気持ちを一気に集中させる。

 相手の様子を伺うが、 子供だと侮るなかれ。

 なる程見た目に反してかなりできるようだ。

 

 凌統が一呼吸すると一気に纏う雰囲気が変化した。

 とても少年と相対しているとは思えない。

 まるで歴戦の将のようだ。


 持っている武器は細身の曲刀。

 棍を使うこちらの打撃とは違って、切り込んでくる感じだろうか?

 出来る相手のようで、だんだんワクワクしてくる。

 でも早く終わらせないと。


「行きますっ!」


 先の動いたのは凌統だった。

 と、その瞬間、目の前まで一気に詰め寄ってきた。

 正面から切り込んで来るかな?


 と思いきや、直前で飛び上がった。

 見上げるともう頭上で曲刀を振り上げている。


 速いなぁ。


 思わず心の中で感心、している場合じゃなかった。

 棍で攻撃を受ける。

 想像以上の衝撃だ。 


 相手は小さい身体でも最大限生かせるよう、巧く体重を乗せて斬撃に重みをつけてきていた。

 これは歳の割には戦闘慣れしてるな。

 でもね。

 凌統には悪いけど……。


「君みたいに軽い子が迂闊に飛ぶとこうなるんだよ!」


 受けた斬撃をそのまま力いっぱい跳ね返す。

 

「え?うっわっ!」


 と、そのまま弾みで凌統は吹っ飛んでいった。

 そして、


 ぼすんっ!


「っ!と、凌統?」


 周泰が驚きの声を上げる。

 飛んで行った凌統は一直線。

 丁度こちらに向かって来ていた周泰の胸の中に飛び込んでいった。


「あ、周泰殿。受け取ってくださってありがとうございます!」


 飛び込んで言った凌統はと言えば、まるで荷物を代わりに預かってもらっていたかのような反応。

 反射神経良さそうだから大丈夫だろうと思ったけどやっぱりちゃんと受け身とれたみたいだな。


「おーい、大丈夫か?」


 そんな二人に心配そうに孫権が駆け寄って声をかける。

 と、


「そういえば大丈夫ですか?周泰殿」


 凌統は自分の心配とは思わず周泰の心配をした。

 いい子だなぁ。


「少し前に死にそうになったばっかですよね?また華佗先生呼びますか?」


 言って本当に心配そう。

 そういえば周泰殿って先の宣城の戦いで孫権殿かばって瀕死だったんだっけ?

 

「あわわ、ごめんなさい。大怪我したばっかりでしたっけ?大丈夫ですか?」

 

 噂で聞いていただけだったんで、僕もすっかり忘れていて慌てて謝罪する。

 が、


「いやそれはだいぶ前なんで、今はもうすっかり元気っす。もう槍で串刺しにしても死なないっすよ」


 陽気な口調で適当なことを言いながら会話に入ってきたのは、周泰と一緒にこっちに向かって来ていた蒋欽。

 周泰、蒋欽とも孫策様麾下の武将なんだけど、最近はもっぱら周瑜様の指示で僕の様子をよく見に来るので覚えてしまった。

  

「それよりなんすか?凌統のこと吹っ飛ばして。凌統を球にして遊んでたんすか?」

「凌統を球にして遊ぶわけないだろ?小喬と凌統が勝負してたんだ」


 蒋欽の言葉に反論したのは孫権様。

 その言葉に蒋欽が呆れた声で返す。


「ええ?なにしてんすか?」

「言っときますが私は止めましたからね。でもお二人が来るのが見えていましたから、孫権殿的にはお二人が止めるだろうと踏んでいたみたいですが」

「その前にあっという間に終わっちゃったな!すごかったな!朱然!」

「ええ、流石にそれにはびっくりしましたが」

「すごいです!小喬様!」

「でしょ?僕強いって言ったじゃないか」

 

 三人に褒められてつい「えへん」と大きくない胸を張る。

 と、


「もしかして蒋欽や周泰より強いんじゃないか?!」


 なんて孫権様が言い出した。

 この二人……ねぇ。

 思わず僕と孫権様、朱然、凌統で蒋欽と周泰を見る。が、


「勘弁してくださいよ。俺たちが小喬様と手合わせするなんて」


 手を振って断る蒋欽。

 また怪我をさせては云々言うんだろうか?

 やっぱり女だからって甘く見てるのかな?なんて思ってると、


「俺達小喬様に負けても怪我させても、武将クビになってまた周泰と二人で賊に戻らなきゃいけないじゃないっすか」


 と、蒋欽がおどけて言って見せた。


「何も賊に戻らなくてもいいだろ」


 なんて言って孫権様と皆で笑ったけど、多分この二人、結構強いんじゃないかな?

 そもそも孫策様麾下の武将皆強いしね。

 凌統も将来いい武将になるだろうなぁ、なんて思って凌統の方を見ると、目が合った凌統が一言。


「え?じゃぁ小喬様に負けた統は賊にならないと駄目ですか?」


 なんて大真面目に言い出したもんだから、一同大笑い。

 本当に和やかな軍。

 こんなところにお嫁に行けてよかったけど……。

 でも周瑜様が好きなのは……。



続きは明日夜22時に投稿予定です。

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