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恋文  作者: ひろ
2/17

僕 結構強いよ  1

閲覧ありがとうございます。登場人物が多いので話を分けました。

小喬、孫権、朱然、凌統が登場します。



 周瑜様は『また来るよ』って言っていたが、気まずくて再び城下に逃げ出した。

 皖城は先日落城したばかりとは思えない程に平穏を取り戻している。

 孫策様と周瑜様の治世がいいからだろう。

 現に城下ではすっかり人気者だ。


 まだ婚約中の為一緒の部屋には住んでいないけど、僕は一応敵側の捕虜として現在周瑜様と同じ城内に住んでいる。

 そう、捕虜なんだけど、一目見て、というかむしろ見る前から決めていたんじゃないかって程に同じく捕虜の姉の大喬はその場で結婚を決められてしまった。

 それは僕もなんだけど。


「本当は周瑜様も姉上が良かったのかなぁ?」


 なんて言ってみたものの、それはそうか。と思い直す。 

 だって何度も言うが姉上はそれはそれは絶世の美女なのだ。

 孫策様もなかなかの漢前だが、周瑜様と姉上が揃えばもはや画家がこぞって描くほどの美男美女になるだろう。

 僕より姉上が良いに決まってる。

 僕だって姉上の方が良い。

 自分のことなんだけどね。


 何よりも……、


「あっ!お前周瑜の嫁になった奴だろう!?」


 後ろから叫び声が聞こえてくるっと振り返る。

 と、そこにいたのは歳十六、七歳ほどの碧い目の青年。

 

「えっと、孫策様の弟の孫権様……?」

「そうだぞ、よく知ってるな。お前は確か……」


 言ってじっと僕の顔の下に視線を向け、


「小喬だろう!」


 と答えた。

 視線が一瞬動いたのはなんとなく理由がわかる。

 だって巷では僕たち姉妹のことを、


 胸の大きい大胸

 胸の小さい小胸


 なんて呼んでいる人もいるらしい。

 まぁでもそんなこと言われもしょうがない位に、姉上に胸は豊満だ。

 それに比べて僕の胸は小さいけど、その方が男装には向いていたし武芸の邪魔にもならないし、僕としては特段困っていない。


 けど確かに、胸が豊満な方が男の人はいいよなぁ。

 そんなことを考えてつい黙り込んでいたら、


「孫権殿!周瑜様の御婚約者に失礼ですよ!申し訳ありません小喬様。孫権殿に代わって私がお詫び申し上げます!」


 言って駆け寄ってきて拱手したのは小柄な成年。

 歳は孫権様と同じくらいだろうか?


「えっと、君は?」

「これは申し遅れました!私は朱然字を義封と申します。呉軍太守の朱治に養子にしていただいた縁で孫権殿と学友になった経緯がありまして、現在孫権殿のお目付け役をしております。何かあれば私から孫権殿に言っておきますので何なりとおっしゃってください」

「君しっかりしてるね」

「おほめ頂きありがとうございます!」

 

 僕の言葉に嬉しそうに返事をする朱然青年。

 しかしそれに不服そうに孫権様が答えた。


「小喬。あまり朱然を褒めないでくれ。調子に乗ってまた俺にお小言を始めるから」

「孫権殿が眼を離すと問題を起こすからですよ」

「だからってなんで同い年の朱然に怒られないといけないんだ」

「それは他の人の手が空かないからですよ。皆今戦後処理で忙しいんですから。ちゃんと孫権殿もお仕事の城下の見回りをなさってください」

「だからやってるだろ」

「孫権殿のはおしゃべりばかりなんですよ」

「城下の人と話すのも大事な仕事だろ?」

「でもそうやって話してばかりでなかなか先に進まないじゃないですか!」


 内容は喧嘩腰ではあるものの、なんだかんだで仲がよさそうだ。

 二人の会話をつい微笑ましく眺めてしまう。

 そういえば孫策様と周瑜様も仲がいいんだっけ?

 たしか断金と言われてるとか。

  

 ということはもしかして……。


 もう一つの可能性に気が付いて考え込んでいると、不意に「くいくいっ」と袖を引っ張られた。

 その方向を向いてみると、僕より頭一つ小さい少年が僕の持っている棍を見ながら袖を引っ張っている。


「何?」


 目線を合わせる為、屈んで尋ねる。

 歳は十歳程だろうか?

 瞳の大きなその少年は、その眼をくりくりっと輝かせながら尋ねてきた。


「えっと小喬様?でしたっけ?」

「うんそうだよ。君は?」

「凌統!統の父上は凌操。知ってますか?」

「確か孫策様麾下の特攻隊長だっけ?知ってるよ」

「ほんとですか!統の父上強いんですよ!」

「そうなんだ」

「はい!」


 なんか可愛いなぁ。

 そう思いながら凌統少年の会話に付き合う。

 と、ワイワイ話し合っていた孫権様と朱然が凌統に気が付いたようだった。

 孫権様が凌統に話しかける。


「あっ凌統!またついてきたのか?」

「はい!孫権様の護衛に来ました!」


 言ってニコニコ答える凌統。


「小さいのに護衛なんてかわいいなぁ」


 言ってつい凌統の頭を撫でていると、


「統、小さいけど強いです!小喬様より強い自信あります!」


 凌統が不服そうに頬を膨らませた。

 ぷくぷくに頬を膨らませるところが、ますます子供っぽくて可愛い。

 けど、


「うーんそうかな?多分僕の方が強いと思うけど」


 いうと、


「統の方が絶対強いです!」


 更に頬を膨らませた。

 本当に可愛い。


「なら僕と勝負する?」


 つい言ってみたが、


「勝負します!」


 眼をキラッキラさせて凌統少年は乗ってきた。

 まぁ少年だし手加減できるでしょう。

 そう思ってると朱然が割って入ってきた。


「だ、駄目ですよ小喬様!もし怪我でもしたら」

「大丈夫だって。僕ちゃんと手加減するから」

「そうではなくて!凌統は見た目は子供ですけど、こう見えても俺達でも敵わないくらいに素早いんですよ!現に幼少で父凌操と厳白虎討伐に加わっていて……」

「そうなんだ!じゃぁちゃんと護衛してるんだね!えらいね~」

「えへへ」


 言って頭を撫でると嬉し気な凌統少年。

 見ている感じは本当に無邪気な少年なんだけどなぁ。


「じゃぁ勝負してくれます?」

「いいよ」


 凌統少年の言葉に笑顔で答えると「ですから!」と朱然。


「危ないのでおやめください!」

「大丈夫だって」


必死に止める朱然にも振り返って、笑いかけた。


「僕、結構強いよ」




続きは明日夜22時に更新予定です

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