小覇王との再会 1
久々の投稿です。
閲覧ありがとうございます!
「私ったら小喬に逢えたのが嬉しくてつい。お腹空いちゃったわね。お食事にしましょうか」
その言葉に僕のお腹も「ぐぅ」となる。
お腹も空いたけど、姉上の食事は絶品なんだよなぁ。
思い出しただけで涎が出ちゃうくらいに。
「うん!姉上のごはん食べたい!」
「私も小喬の食べているところが見たいわ」
僕の言葉に姉上は「うきうき」といった感じで答えると、僕の背中を押すように屋敷の中へ。
そして景色のいい離れで姉上の運んでくる食事を待つ。
目の前に並んだお膳の中の食事はどれもホカホカの湯気を立てて、まさに出来立て!という感じ。
息を吸うといい香りが鼻腔をくすぐってくる。
ああ、久々の姉上の食事だ。
匂い嗅いでいるだけでもう美味しい。
そんな僕を姉上が嬉しそうに見つめる。
「うふふ、小喬のその顔を見ているだけで幸せになれるわね」
「僕は姉上のご飯を食べているだけで幸せになれるよ」
「小喬ったら。本当に可愛い妹」
言って笑みを零す姉上。
本当に美人だなぁ。
その様子に昔いた昔「褒姒」という傾国の美女の逸話を思い出す。
その「褒姒」という美女は笑わない女性で、笑顔が見たい幽王は笑わせるためにいろんなことをしたけれど駄目で。
けどある日、緊急の狼煙が上がった際、兵が右往左往しているのを笑ったそうで。
それを見た幽王が美女を笑わせる為に、狼煙を無意味に上げ続けて、結果緊急時の狼煙にも兵が集まらなくて国が滅びた。
っていう話なんだけど、姉上みたいな美女を笑わせる為ならそういう人も出てきちゃいそう。
優しくて美人で料理も上手で、教養もあって琴も弾けて、なんかまるで、
「周瑜様みたいだなぁ」
なんてぽつりとつぶやくと姉上が箸を止めた。
「何か言った?小喬」
「ううん」
姉上の言葉に首を振って箸を進める。
頬張った香ばしいお魚の香りが口の中いっぱいに広がる。
火加減も絶妙だ!
「んっー!」
「本当に可愛いわ」
味を噛み締める僕に、それを幸せそうに見つめる姉上。
ついつい美味しくて口いっぱいに運んじゃう。
「いっぱい食べてね。たくさんあるから」
「ふぁい」
次々に箸を進めるたび、姉上が食事を運んでくる。
それにしても僕突然実家に帰ったのに、よく僕の分までご飯あったなぁ?
なんて考えていると、
「大喬、腹減った。飯あるか?」
どんっ!
と、扉が破壊したのかと思う程、大きな音を立てて部屋に入ってきたのは、
「孫策様!」
「なんだ小喬、来てたのか」
僕の言葉にちらっと僕の方を見返し、そのまま目の前に「どかっ」と座り込む。
そして隣に座っている姉上に、
「俺の飯」
と催促し、そのままその場でくつろいだ。
けど、相変わらずの小覇王の迫力で、流石に僕でもつい圧倒されてしまう。
流石にお行儀悪く食べるのはやめないと、なんて思って姿勢を正すと、
「ありません」
と、一言、姉上の声。
その声の冷たさにぎょっとして姉上を見返すと、さっきまでの僕に対しての態度とは打って変わって無表情。
どころか見向きもしない。
それにもめげず、孫策様が姉上に詰め寄る。
「なんだよ、いつも用意してくれてるじゃねぇか」
その言葉にはっとする。
これ孫策様の分のごはんだったんだ!
どうりでこんなすぐ食事が出て来たわけだ。
慌てて僕が姉上の代わりに返事を返す。
「す、すみません!僕が食べちゃったみたいで!」
流石に食べかけを返すわけにもいかず、おろおろしていると姉上が僕に向かっていつもの様に穏やかに笑って、
「違うのよ。私はいつも小喬がいつ戻ってきてもいいように小喬の分を用意しているの。この人が食べているのは小喬が来なかった時のあまり物。だから今日この人の分はないの」
さも当然の様に話す姉上。
だけどさ、
姉上?この人って!
小覇王だよ!
旦那様だよ?
っていうかこんな「歩く覇王圧!」みたいな方にそんな口きくなんて!
全くいつもと違う姉上の様子と態度に驚きのあまり唖然とする僕。
どう反応していいかわからず固まっていたけど、
「しょうがねぇなぁ。じゃぁ大喬の分半分こしようぜ」
なんて食い下がる小覇王。
いやいや、僕の残ってる分食べていいんですけど。
ああ、でも残り物は嫌か。
それとも姉上と半分こして仲良くしたいのかな?
新婚だし僕お邪魔かな?
なんて考えていたけど、
「小喬と楽しく食事したいの。帰ってくれる?」
酷いとどめ。
「あなたがいるせいで小喬美味しく食事できないでしょ」
更に追い打ち。
「私も楽しい時間が過ごせないわ」
あの。
「帰って」
えっと……。
相手は小覇王なんですが……。
言ったきりそのまま背を向ける姉上。
姉上、そんなに孫策様が嫌いなのかな?
次はそれほど間を開けずにアップしたいです。




