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第九話 これから?

 


 ◇ ◇ ◇


 家に帰り無駄に数があるうちの客室に、彼奴らを案内し、俺と異世界組の代表として、親父が父さん達と話をする事になった。

 家には俺と英以外全員が帰宅しており、今は母さんと父さんが卓についている。

 羽月と叶絵、そして英の三人は彼奴らにお茶を出しに向かった。

 別にいいのに……。





「そう言えば、何で俺と親父達は会話ができているんだろうな?

 俺も向こうで読み書き出来たし、親父もこうして読み書き出来ているのが謎だ」


 十年間も向こうにいて、全く気が付かなかった自分に少々呆れたが、父さんの「言葉や文字から教えないと」と言う言葉を聞いて初めて気がついた。


「ふむ、それに関しては管理者が手を尽くしてくれた様じゃぞ?

 どの言語を聞いても自身が知っている言語に聞こえ、読め、書けるらしいぞ。」


 え?管理者が言っていた?

 おいおい、ミスって俺を異世界に飛ばしたり、魔法道具を二個間違えて下界に配置したり、俺への説明不足とか、ポンコツなのか?管理者ってのは。

 いや、……流石に、ねぇ?

 それにどんな言語も、って既に日本語が通じている事から察するにら地球上何処でも通じるって事か……。

 今後世界中どこ行っても平気ってことじゃん、ラッキー。


「へぇー、良い事聞いたね。

 ゴウ、希望するならウチで何人かは雇ってもいいよ。

 それに冒険者が殆どって事は豪の様に強いんでしょ?それならボディガードにもなりそうだしね」


 母よ、何と強かなんだ貴女は……。

 父さんに、親父ですら苦笑いしているぞ。


「女子が強かなのはどの世界でも同じよのぉ」


 親父……全くもって同感だよ。

 母さんに関しては特殊だけどな。


「僕はむしろ、豪にうちの事務所で働いて欲しいかな?国際弁護士や通訳とのやり取りが楽になるからね」


 父さん、母さんに毒されてるぞ。


「フォッフォッ、ゴウの強さは母上殿譲りの様じゃの……。

 さて、本題に入らせてもらうぞ。

 父上殿、母上殿、まずはこれだけ理解してほしい。

 見ず知らずのワシらを、いきなり信じろと言うのは酷かもしれぬが、ワシらはゴウから聞いた限りでは超常と言える力を持っておるのは自負しておる。

 じゃが、決して皆悪き者では無い。

 この世界にはこの世界の常識、秩序もこれから学ぶつもりじゃ。

 そして学んだ、この世界での理から外れる行為はしないと誓おう」


『…………』


 親父の言葉を聞いた、父さんと母さんは言葉を発しない。

 どのくらい過ぎただろうか、何とも居心地が悪い静まった空気が場を占め、俺が何か言おうとしたら、父さんが口を開いた。


「アウグストさんと言いましたっけ?」


「イワンでよいぞ、親父殿」


「では、イワンさん。

 私はこの世界で弁護士という仕事をしています。

 主に憲法や法令…簡単に言うと国ごとの決まり事ですね。

 その決まり事に則り、何か問題が起きた際、依頼を受けた側にアドバイスをして解決に導く仕事です。」


 おぉ、凄く分かりやすい。

 親父も納得できている様だ。


「職業柄なのかも知れませんが、基本、法の観点から物事を見てしまいます。

 お堅いと思われるでしょうが……正直私の目から見て、貴方達はとても危うい。

 個人の保有する武力に対して直接的に捉えた場合は勿論ですが、まず貴方達はこの世界を知らな過ぎる。

 権力者達に利用された場合、この世界が破滅する力、影響力を持っている事。

 それをまず自覚してください」


「……そうじゃな、すまぬ、考えが甘かった様じゃ。」


 父さんの発言に、親父は思う事があったのだろう、素直に自分の認識の甘さを認めた。

 それにしても父さんの初めて見る姿だな。

 面と向かってこうも人に意見を言えるのは凄い事だと思う、そして何より雰囲気というかオーラが凄い。


「いや、でも父さん、親父達はまだ…」


「ゴウ、あんたは黙りな。

 猛だって人だよ、そんなこと分かってるさ」


 俺が親父達を庇おうとすると、母さんからのストップが入った。


「と、ここまでが弁護士として法に縛られている私の意見です。

 ここからは一人間としての私の意見です。

 先程、貴方達を化け物の様な扱いをした事で、気分を害されたのなら謝罪します」


「いや……父上殿なりの立場があっての事なのじゃろうて、理解はしておるよ」


「ありがとうございます。

 私としては正直、そこまで気にせず、自由に好きな様に生きて行けば良いのでは?と考えております。

 勿論、先程も申した通りこの世界この国の常識なんかは学んで頂きたいのですが、正直国によって法も常識も異なりますし、この世界はこの国も含め百九十以上の国々が存在しています」


「……なんと」


 親父が国の数に驚いている。

 向こうは両手で足りる程度しか国が無かったからな……。


「ここでは罪となる事が他国ではそうでは無い、なんて事は珍しい事ではありません。

 大事なのは人として、という価値観がしっかりしているなら基本的には大丈夫でしょう。

 性格的なもので、間違いを犯してほしくないのでキツイ言い方になりましたが、常に常識や法を考えて過ごしている人など居ないでしょう。

 何か間違いを起こしそうな際にストッパーとしえ知識が抑止力になれば良いのです。

 大分遠回りに堅苦しい話になってしまいましたが……」


「はぁ……話が長い!

 要するにイワンさん、人として間違っちゃいけない事をしなけりゃ何しても何とでもなるんだよ。

 善人が居りゃ、悪人だっている。

 裕福が居りゃ、貧乏だっている。

 色んな人がいるんだ、多少異世界人がいようが、別に何とでもなるさ。

 そもそもあんた達が強くて危険なら、私たちの息子だってその危険な一人じゃない?」


 うぐっ、確かに……。

 ってか、良いところを待ってかれて、父さん落ち込んどるぞ?


「フォッフォッ、ゴウは良い両親の元育ったのじゃな。

 ちなみにゴウは近接戦だけなら、ワシらの中でも一番強いぞ?」


 ちょっ!それ言う必要ある!?

 親父なりのジョークなんだろうけど!!


「はぁ、この子は妙に頑固で狡賢い、普段は単純で温厚そうに見えるけど、基本冷酷だからいつもやり過ぎるんだよねぇ……。

 考えてみたらこの子が一番危ないじゃない」


 母さん、それは酷いんじゃない?

 確かに自分でも思い当たる節はあるけど……。


「昔なんて酷かったからねぇ……。

「喧嘩した」って怪我だらけで帰って来たから、てっきり負けたのかと思ってたら、相手の方が重症で相手側に謝りに行くなんて、しょっちゅうだったからね」


「そうそう、しかもこの子のタチが悪いのが喧嘩前に録音して証拠を残した上で、絶対に自分からは絶対に手を出さないの」


「弁護士の僕でも引くくらい徹底して、正当防衛のスタンスで喧嘩するからね?

 しかも、やり過ぎて向こうが大怪我を負っても、自分も結構怪我しているから大事にはならないんだよね……僕はわざと怪我をしてると思って、本気で育て方間違えたかと悩んだからね」


 おいおいおいおい!何言っちゃってくれてんの!?

 親父!そんな目で俺を見るな!


「ゴウ……お主」


「いや、いやいや!大丈夫だからね!

 俺も流石に大人になったから!

 そんなヤバいやつを見る目で俺を見ないでくれる!?」


 おい、親父が引いているだろ!

 親父達のこれからの話はどうなったんだよ!

 俺の昔話はいいから、話を進めろや、コラ!!





 その後、しばらく俺の昔話や異世界での話を暴露する会になったが、個人的な理由で伏せさせて頂く。





第九話になります。


ここまで読んでいただき、ありがとう御座います。

次話も楽しみにして頂くと幸いです。

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