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第八話 諦め

 



 ◇ ◇ ◇




「……それで?シルの口車に乗せられた結果。

希望者全員で仲良くこっちに来たと?」


『おう!(はい!)』


 頭痛が……。

 こうなるのを見越して魔法道具は誰にも見せず。

 わざわざ認識阻害をかけながら、時間をかけたってのに……。

 まさかシルがつけて来ていたとは、全く気付かんかった。


「バレない様につけたのだから当たり前だ」


 うるせぇよ、自慢げに言うことかよ。

 今のお前が伝説の聖獣、エルダーフェンリルとは誰も思わんぞ?

 何にワクワクしてるのかは知らんが、耳と尻尾が動きっぱなしだからな?


「わしは此奴らがゴウに迷惑をかけるのが分かりきっておったからのぉ。

 せめてもの償いと見張りを含めて、仕方なく着いてきたんじゃぞ?」


「分かってるなら、止めてくれよ……」


「わしが此奴ら全員を相手にできると思うのか?

 そこの駄犬だけならまだしも、加えて三十四人。

 元冒険者を含めても、Bランク以上の高ランクだけでも二十人は超えておるのじゃぞ?

 流石にわしでも此奴ら全員相手できるわけ無かろうて……」


 駄犬って……そういや親父とシルは仲悪いんだっけ?

 と言うか、何で転移の魔法道具がもう一つそっちにあったんだ?


「あぁそれはの、管理者とやらがミスったと言っておったわい」


「はぁ?親父達管理者とやらに会ったのか?」


 当事者の俺ですら干渉できないから手紙で事後報告だったんだぞ?


「会ったも何も魔法道具を発動したら目の前にいたって感じだな」


「はぁ……何でお前もいるんだマルコ。

 娘と嫁さんは……って、連れてきてんのかよ」


「ハッハッハ、そりゃあな!

 お前が居なくなってから、やっぱり寂しくてな。

 ニコもお前に懐いてたし悪くは無いと思ってな?」


 いや、躊躇えよ。

 そして、諦めろよぉ。

 本当に何で来ちゃうんだよお前達、嫌ってわけじゃないがお前達絶対何かやらかすだろ!?

 向こうでもいつもいつも親父が怒ってるのを見てきたんだぞ?

 はぁ……今度は胃が痛くなってきた。


「はぁ、んでマルコ。

 管理者に会ったって話は?」


「おぉ、そうだった。

 親父が魔法道具を発動したら、目の前に管理者って奴が居て、俺たちを見て慌てまくってたのよ」


 そりゃそうだろうな、いきなりキャラの濃い謎の軍団が現れたんだもんな。


「それで、シルさんがゴウが帰った世界へと俺たちをこのまま送れって言ってな」


「おい、シル」


「ピューピュー」


 おい、変な口笛吹いてないで目合わせろやコラ。


「管理者が言うには、干渉出来ないから無理、の一点張りだったんだが……。

 シルさんとアルさん、ブラードにヴェールさんの四人が送らないとここで暴れるって言い出してさ」 


 あ?何言っちゃってんの?彼奴らぁ……。


「おい!シル!アル!ブラード!ヴェール!

 そこに座れ!」


「は?何で俺たちが怒られなきゃ……」


「あ゛?」


『ひぃっ』


 四人が俺の目の前に素早く座った。


「話はマルコとの会話が終わってからだ、そこに黙って座ってろよ?」


『……はい』


 コイツらはやらかし常習犯だ。

 俺が異世界にいた時も、俺を巻き込んでは一緒に親父にいつも怒られていた。

 親父に無罪を訴えるも、俺の監督責任とか言われて、結局一緒に怒られた記憶が何度も、何度もある。


 てか、いつから俺は問題児達の監督になったんだよ。


「なんか思い出したらムカついてきた。

 後からシバくわ、お前ら」


『……』


 反省してる様に見えるが……騙されたらいけない。

 見てくれだけで、コイツらは一ミリたりとも反省していない。

 神に誓っても良い、これは断言する。


 周りの奴らが俺に怒られているコイツらを見て、俺の方を何とも言えない顔で見てくるが無視だ、無視。


 情に絆されるほど俺は甘く無い。


「それで?続きは?……ちゃんと真実をを言えよ?」


「お、おう……それで管理者は今すぐ元いた世界に今すぐに帰すと言ったんだが……。

 四人は……もし自分達をあの世界に帰したら、今度はあの世界を文明滅ぼすレベルで暴れまわる、と言い出してな?」


「……ちっ」


 ビクッ!!


「管理者も流石に余裕が無くなってな?

 エルダーフェンリルにエンシェントドラゴンの聖獣二大巨頭にSランク冒険者が二人。

 四人が徒党を組んだ場合の影響力を考え、判断したんだろう……。

 渋々俺たちがこの世界に来るのが認められたって訳だ」


 向こうの世界の管理者か、この世界の管理者かは知らんが……どちらにしても迷惑な奴らである。


 向こうの管理者からすれば、まず俺の件でこっちの管理者に迷惑をかけられたのに加え、自分が管理する世界で暴れると脅されている。


 俺に手紙をくれた管理者側からとしても、元に戻したところで自分が起こしたきっかけのせいで、向こうの管理者に再び迷惑をかけてしまうのだから。

 管理者さん……不運。


 ん?俺?俺は悪く無い…(だってコイツらが勝手に来たんだもん)……よな?


「まぁ、取り敢えずお前達の理由は分かったし、俺も諦める事にする。

 てか、どうせ帰る手段無いんだろ?」


「うむ、転移に使った魔法道具はお主が使ったのと同様使い捨てだったぞ」


 だったぞ、じゃねぇよ。

 はぁ、これどうしよう……。


「あ、兄貴……」


「ん?なんだ?」


 あまりの驚きの連続に、いる事すら忘れていた英が話しかけてきた。

 ってか、お前ビビりすぎな。


「この人達さ、兄貴のやる焼肉屋に働いてもらったら従業員問題解決じゃね?」


「っ!!それだ!」


 おぉ、ナイスアイデア!

 やるじゃないか!英!


「いや、しかし全員雇うには多すぎるし……そもそもこの人数どうするよ……」


「兄貴が当分面倒見るしかないんじゃないか?」


「……はぁ、だよなぁ」


 はぁ、取り敢えず暫くウチに泊めるのは不可能だが……。

 入れるだけなら無駄にでかいウチには入るだろうから、一先ず連れて行くか。

 てか、連れて行くしか無いんだけどな……。


「おーい、お前らよーく聞けよ。

 今からおれの実家に向かうんだが……サラ」


「っ!何だ!ゴウ久しぶりだな!」


「おっ、おう、久しぶり」


 ビックリした、コイツこんなニコニコしているキャラだったか?


「この世界でも向こうと変わらず魔法は使える。

 今から出来ないやつには透明化の魔法と認識阻害をかけてやってくれ、出来るやつは自分でやれよー。

 んで、一時間くらい走りっぱなしになるから飛んでも走っても何でもいいが、他の人に見つからない様に着いてこいよー」


『了解』


「よし、英、ちょっぱやで帰るぞ」


「えっ?俺たちバイクだぞ?」


「大丈夫だ、着いてこれなそうな奴は出来るやつが何とかするだろうさ、ほらっ」


 俺の予想通り、冒険者達は走りに自信がある奴は走る気満々。

 その他走りに自信がない奴は、ドラゴン形態に変化したアルや、同じくフェンリル形態になったシルの背に乗る様だ。

 親父やサラなんかは飛行魔法で既に浮いてやがる。


「うぇ!ドラゴンにオオカミ……あの人達浮いてるし……」


「まぁ、これからこっちで過ごす以上、お前も付き合いは増えるだろうから、今のうちに慣れとけよ」


「う、うん」


 ま、コイツのことだ、何時間かしたらブラード辺りと肩でも組んで酒を交わしているに違いない。


「よし、それじゃ逸れずに着いてこいよー」


 こうして俺達は、三十六名の異世界人を連れ家へと帰るのであった。







第八話になります。


何とか毎日続けて投稿できております。

このまま続けれる様頑張りますので、見守って頂くと幸いです。

(まずはエタらせることの無い様頑張ります)


そしてここまで読んでいただきありがとうございます。

次話もお楽しみください。


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