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第十話 これから!

 



 ◇ ◇ ◇


 俺の昔の暴露話のおかげ?で父さん達は大分緊張がほぐれた様である。

 俺としては結果的に良かったのだが、別の方法があったのでは?と恨めしく思うのは仕方ないと思う。


「はぁ、とりあえず俺が聞きたい事を話すけど良い?」


「ん、あぁごめんごめん、大分話が逸れていたからね。

 今後イワンさん達がどうするかって話だったよね」


 そう、なのに何故俺の昔話が始まったのか……。


「取り敢えず住む場所に、戸籍、あと常識を教えなきゃいけない思うんだけど」


「そうだね、場所は私のお得意さんが趣味でやってる小さい民宿があるからそこを貸し切ったら良いんじゃない?

 ちょうど取引の用事もあるから、仕事がてら聞いてきてあげるよ。

 もしダメだったとしても何個か候補はあるから、場所に関しては心配しなくていい。

 戸籍や常識については猛に何とかしてもらいな」


 おぉさすが社長、行動が早い。

 既にスマホ片手にリビングを出て行ってしまった。

 そして適材適所、ちゃっかり厄介な方を父さんに丸投げしやがった……。


「はぁ、まぁ僕の仕事だろうけど見事に丸投げされたねぇ。

 さて、ぶっちゃけ戸籍に関してはどうとでもなる。

 いろいろ手続きは大変だけど何とかするよ。

 問題は常識を教える事だけど……」


 うーん、そうなんだよぁ……。

 まぁ、産まれたての赤ん坊じゃあるまいし、何人か心配な奴らは居るが、常識やマナーくらい多く見積もったとしても一月もあれば余裕だろう。

 完全に馴染むまでとしても数ヶ月ってところか。

 しかし、その間民宿でコイツらに常識を教える時間がある暇な奴って居るか?

 …………あれ?


「ん?豪って、店舗ができるまでまだまだ時間あるよね?」


「……まぁ、今やっと解体が終わって着工した所かな」


 やべ……俺って……。


「豪が彼等に常識を教えたら良いんじゃないかな?

 どうせ、手続きも完了して後は竣工待つのみでしょ?

 教えるって言っても別に一日中授業をする必要は無いと思う。

 彼らが分からない事をその都度答えれば良いんだし、今ネット社会だから全員にスマホと、共有用PC数台でも持たせたら、自分で調べることもできるだろうし」


 そうじゃん、俺、めっちゃ暇じゃん……。

 しかも、コイツら全員と唯一の面識がある地球人で、自分で言うのも何だがめっちゃ適任じゃないか……。



「どうせ、竣工まで数ヶ月もあるんだから、バカンスだと思って数ヶ月のんびり過ごしたら良いじゃないか。

 その間で彼らも各々興味が湧くものもあるだろうし、相談役としても豪以外の適任はいないと思うけど?」


「……ですよねぇ」


「よし、そうと決まれば、僕は戸籍の方を早速片づけに行くよ。

 早くて一、二週、長くても三週間もあれば出来ると思うから。

 美和さんの言ってた民宿がいつから貸し切れるかは分からないけど、それまでは数人で相部屋でも良いならウチにいても良いからさ」


 はぁ、ウチの人が優秀過ぎる。

 どんどん物事が決まっていく……そして、もう俺が保護者決定コースじゃん。


「分かった、取り敢えずそういう事だから親父」


「ふむ、助かる。

 ゴウの父上、大人数で申し訳ないが暫く世話になる」


「いえいえ、日本には困った時はお互い様って便利な言葉があるんです。

 ちなみに後ほど皆さんに紹介しますが、全員私達は名前でよろしいですよ?」


 親父は既にうちの父さんを信頼しているのだろう。

 我が父ながらやりおる。


「うむ、タケル殿、感謝する」


「いえいえ、取り敢えず他の皆さんに教えに向かわれてはどうですか?」


「うむ、そうじゃな……では失礼する」


 親父は父さんに挨拶をし、部屋から出ていった。


「……いいなぁ」


「ん?なんか言った?」


 親父の背中を見送った父さんが、何かつぶやいた気がする。


「いやぁ、ね?

 僕は子供が四人いるけど、皆父さんって呼ぶだろ?」


「そりゃ、父さんは父さんだろ?」 


「全員では無いけど、多くの人達はイワンさんを親父と呼んでいるだろ?豪もだよね?」 


 あぁ、その事か。


「それはギルド、まぁ気の合う冒険者達が自分たちで作る組織、まぁ会社みたいなもんだな。

 そこで親父はギルドマスター、つまり社長的立ち位置でさ。

 親父はうちの冒険者達を全員我が子の様に大切にしてくれさ、だから俺たちは親父の事を親父って呼ぶんだよ」


「僕も親父って呼ばれたかった……漫画とかアニメみたいでカッコよくない?」


「そっちかよ!」


 知らんわ!そんなん言われても困るわ!


「あー、英辺りなら呼んでくれんるんじゃね?

 俺のこと兄貴って呼ぶし……」


「豪は呼んでくれないのかい?」


「どっちがどっちか分からなくなるじゃん……」


「それもそうだね……」


 いや、今更親の呼び方なんて、変えねぇよ。

 てか、心底どうでもいいな、この会話。








 ◇ ◇ ◇


 季節は春、俺が帰ってきてから約二ヶ月、あいつらが来てから約一ヶ月程たった現代社会は、新年度を迎えた。

 各新人たちは胸をドギマギさせているだろう、今日この頃に……。


「おぉー!!これが海か!

 俺海見たことなかったんだよ!すげー!」


 ブラードが海を見て滅茶苦茶はしゃいでいる。

 確かに俺たちがいた国は内陸国だったし、海水浴の文化が無いため見た事がないというのも納得である。


「はぁ……それにしても、人生初の沖縄がコイツらとって、人生何あるか分からんもんだなぁ」


「俺達は遠慮なく楽しませてもらうぜ!兄貴」


「お前のそういうところ素直に尊敬するよ……」


 異世界組三十六人に加え、俺と弟の英、そしてもう一人を含めた、計三十九名は現在、沖縄のとある島へと来ていた。


 この一ヶ月で異世界組は、引くほどうちの奴らに馴染んでいた。

 そして、また逆も然り……酒の力ってすごいよね……。

 思っていた通り、英はその日の夜に既に馴染んでいたし。

 母さんなんか、最近一部の奴らにビビられてるからね?

 ……何をしたんですか、貴女は……。




 当初計画していた常識勉強合宿だが、母さんの民宿の方は都合がついたのだが、父さんの戸籍の方が思いの外長引いた。


 そりゃ、いきなり三十六人の無戸籍達が同時に戸籍を取得するって怪し過ぎるからね。

 俺が魔法を使って解決しても良かったのだが、父さんが「出来る範囲はなるべく魔法に頼るのはやめよう、というか後からボロが出るのが怖い」と譲らなかった為、一月ほど時間がかかってしまった。


 その間、家で何もしないというのも可哀想な為、俺が受付嬢に引き攣った笑顔をされながら、大量契約してきたスマホを個人毎に与えた。


 そしたらコイツら、スポンジの様に常識やらマナー、言葉の使い回しなんかをどんどん吸収していき、合宿をやる必要が無くなってしまったのだ。


 しかし、民宿は予約済みだった為、実践訓練と称し大都会東京では無く、まずは民宿のあるここ沖縄でまずは慣らしていこうという来ているのである。


 ここは世界でも有名な観光地だから、最悪常識がズレてても外国からの観光客って誤魔化すのも可能な筈。


 ちなみに、民宿は大口契約の丸々一年。

 母の知り合いで口の硬さもお墨付きの為、正直に事情を説明し、途中で期間を縮める事も可能。


 何故一年なのかといえば、俺の住宅兼店舗の施工期間が一年ちょいあるのだ。

 引き渡しの少し前にそっちに帰ったとしても、一年ほど暇なので、思い切って一年間バカンスとした。


 勿論、社会に出ても問題がないと俺が判断した上でそれぞれやりたい事が出来たのなら自由にどこにでも行ってくれて構わないと伝えている。

 流石に一年も居たら何かしら目的や夢でも出来るだろうさ。


 そして、何故英まで居るのかといえば……。

 ある日の夜……。


「兄貴、俺、兄貴の所に就職したいんだ……」


「……はぁ?」


 何を言い出してるんだこのバカは……。






第十話になります。


ここまで読んで頂きありがとう御座います。


日々アクセス数が伸びているのを見るたび、プレッシャーが凄いですが、何とか投稿していけたらなと思います。


是非評価などして頂けたら幸いです。


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