2 鳩尾に入りました
「ね、ねこみみ…?というかおじょうさま?なにこれいみわかんない…」
「ああ、お嬢様…!起きたばかりで混乱しておいでなのですね。高熱が出て回復魔法をかけても5日も目が覚めなかったのですよ!早く旦那様と奥様をお呼びしましょうね!」
猫耳メイドさんはそう言うとバタバタと急いで出て行った。奥様と旦那様ということは私の両親を呼びに行ったのだろう。
というか、起きたばっかりの幼女に畳みかけて喋りすぎでは…?精神年齢16歳の私じゃなかったら、今頃頭パンクするんじゃないですかね…
……それにしても、回復魔法と猫耳メイドさんが存在しているいうことは
「やっぱり、いせかいてんせいしちゃったのかなぁ」
高野あやめ。16歳にして異世界の美幼女になりました。
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待つことしばしば。
凄いスピードで入ってきたプラチナブロンドのイケメンに勢いそのまま抱きつかれる。
「うぐっ」
「アリスティア!目が覚めたんだね!ああ、心配したんだよ!?私の天使!」
イケメンはぐりぐりと頭を擦り付けてくる。いや、痛い痛い痛い!なんでこの人細身なのにこんな力強いの!?3歳(推定)に向けていい力じゃないよ!?
最初のタックルとグルグリ攻撃で会心の一撃2コンボ入ってますよ!?よ・う・じょ・に!!
「あらあらオーキッド。そんなに強く抱きしめてはアイリスがプチンと潰れてしまいますわよ?」
うふふと微笑みながら入ってきた美人さんは桃色の髪をしている。あ、アクアマリンみたいな瞳が綺麗ですね…。というか、こんなに優しそうな顔してるけど今この人凄いグロい表現したな…。
いや、それよりもこの人達誰だ?会話の流れ的に私の両親なんだろうけど…。
異世界転生にありがちな、体の持ち主の記憶持ってまっせ!ってパターンでもないみたいなんだよね。自分の年齢どころか名前も思い出せないところを考えるに。
まだ幼いから多少変な発言をしてもおかしくないだろうし、そういう性格になったんですよ〜ってことにも出来るだろうけど、後々無理が生じるだろうし、嘘をつくのはあんまり好きじゃないんですよね。
なら、はっきり言ってしまおう。
「……あの、どちらさまですか?」
ピシリ、と空気の固まる音がした。