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嫌なものは嫌だから

「嫌です。学園には戻りません」

 そうリンに返事をすると、ララと一緒に森の奥へと歩き始めたレアス。遠ざかっていくレアスの姿にツムギが大慌てて追いかけて、レアスの腕を強くつかんだ

「待って。レアス、帰ろうよ。怪我だってしてるし、カホとナオだって心配してるんだから」

「私はやるべきことがあるの。帰るのは、あなただけにして」

 行く手を止められ、少し苛立ちながら答えるレアスと、行かせまいと強く腕を引っ張り続けているツムギのやり取りを見ているリンが、はぁ。とため息ついた

「そういう訳にもいかないんだ。君のやるべきその事は、今されたら、ちょっと困るんだ。だから、話を聞きたいから、学園に戻るように」

 リンの言葉を聞いて、レアスが少しうつ向いた。その表情を見たツムギが、つかんでいた腕を離して、レアスから少し離れると、うつ向いた顔をゆっくりと上げ、側でレアスを心配そうに見ているララにニコッと笑った



「……ララ。あの子と、もうちょっと遊んでて。後で迎えに来るから」

 少し寂しげにララに言うと、ララも少し寂しげにツムギに向かうと右肩に乗った。ララの動きを見ていたツムギ。その一瞬の隙に、レアスの姿が見えなくなってしまった

「えっ、ちょっと……」

 慌てて辺りを見渡してレアスの姿を探すが、レアスの姿は見当たらない

「いなくなった……」

「せっかちだね。焦って術を行う事は良くないと授業で教えたはずだが」

 ため息混じりにそう呟いていると、レアスを探しに周辺を見て戻ってきたツムギが困ったようにリンに話しかけてきた

「あの、リン先生……」

「もう少しその子を預かってておくように。何かあれば連絡するんだよ」

 微笑みながら、ツムギにそう言うとメルガがリンの隣に現れ背中に乗り何処かへ飛んで行ってしまった。一人残ったツムギ。肩にはララをルトは抱きしめ、ふわりと浮かんで、学園の寮へと帰っていった





「まだ足りないか……」

 その頃、ツムギと離れた後のレアスは森を抜け近くにあった木にもたれ両手を見つめ、ため息をついていた

「ララは体が持たないみたいだし。どうしようかな……」

 ゆっくりと体を起こし空を見た。明るかった空が、いつの間にか夕暮れに変わっていて、思わずさっきよりも深いため息をついた

「悩んでる暇なさそう。早く行かなきゃ」

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