やっと会えた嬉しさを笑顔で
「喧嘩して疲れて寝たの……」
学園の寮に帰ってきたツムギ達。部屋に着くなりすぐ、疲れたのかベッドで一緒に眠りはじめたルトとララ。
「もー。仲良しなのはいいけどさぁ……」
二人の寝顔を見て呆れながらも、制服から部屋着に着替えを終えると、二人の隣に座ってララを見つめた
「そういえば、この子もずっと見たことなかったんだよね。授業中もずっと一緒にいたのかな」
ルトとララの頭を撫でて一人言を言いながら、ふぅ。とため息つくと少し気が抜けたのか、ぐぅ。とツムギのお腹がなった
「お腹空いたなぁ……。食堂行こうかな……」
また一人言を言いながらお腹をさすって、どうしようかと思いながら、ふと部屋の窓を見た
「なんだか変な感じ……」
いつもと変わらぬ窓から見える外の景色だが、なんだか不穏な気配を感じ、ゆっくりとベッドから立ち上がったツムギ。その時、ベッドが少し動いたせいで、ルトとララが目を覚ました。寝ぼけているルトとは違い、目覚めの良いララは、ツムギが見ている窓を見つけるなり、窓に向かって飛んでいくとカタンと音をたて窓を開けた
「ララ？どうしたの？」
隣に来たツムギが声をかけても、ララは無視して空を見上げている。ルトもツムギの肩に乗り、ララの様子を見ていると、突然ふわりと浮かんで空を飛び出した
「ララ、どこ行くの？戻ってきて」
慌てて大声で呼び止めるツムギ。ララは無視してどんどん空を飛び離れてく
「ルト、追いかけるよ！しっかりつかんでて」
そう言うとツムギもルトを肩に乗せたまま窓から飛び出すと、ふわり空を飛んでララを追いかけてく
「……ララ？」
レアスが居なくなった場所から大分離れた森の中、一人歩いていたレアスが、ララの気配を感じて振り返った。ガサガサと木々の揺れる音を聞きながら、辺りを見渡した後、空を見上げると、真上から勢いよく何かが舞い降りてきた
「お帰り、ララ。探したよ、どこに行っていたの？」
落ちてきたララを受け止め、嬉しそうにぎゅっと抱きしめるレアス。ララもニコニコと笑ってレアスに抱きしめた
「えっ？レアス？」
その頃、ララの後を追っていたツムギも森の中にいたレアスを見つけ、ゆっくりと降りていく
「レアス！どこにいってたの？心配したよ」
ツムギの声を聞いて、笑顔だったレアスの表情が少し困ったような顔に変わっていく
「ララを守ってくれていたの？ありがとう。でも、もう大丈夫だから……」
そう言うと、ツムギから背を向け歩きだしたレアス。その後ろ姿を見て、ツムギが慌ててレアスの腕をつかんだ
「どこ行くの？学園戻らなきゃ。先生達だって探してるんだよ」
「離して。私はやるべきことがあるの」
ツムギにつかんでいた手を振り払い、睨みながら強い口調でそう言うと、戸惑いから少し後退りするツムギ。二人に不穏な雰囲気が流れる中、それを振り払うように、少し離れた場所から声が聞こえてきた
「君に、その魔術は無理があるかな」
突然聞こえてきた、その声が聞こえた方に振り向くと、少し怒った顔をしたリンが、二人の側に歩いてきていた。リンの姿を見るなりレアスは顔を背けると、その態度にリンがため息つきながらレアスに声をかけた
「レアス。少々話を聞きたい。学園に戻るように」
